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「SESのメリットを最大限活かす新しい働き方〜」Qiita Conference 2023 Autumn イベントレポート

2023年10月25日〜27日の3日にわたってオンライン開催された、日本最大級*¹のエンジニアコミュニティ「Qiita」が開催するオンライン技術カンファレンス「Qiita Conference 2023 Autumn」。ゲストスピーカーによる基調講演や参加各社のスポンサーセッションを通じて技術的な挑戦や蓄積された知見等が共有され、登録参加者数も2,800名を超えるという盛況ぶりでした。
*¹「最大級」は、エンジニアが集うオンラインコミュニティを市場として、IT人材白書(2020年版)と当社登録会員数・UU数の比較をもとに表現しています

レポート第4弾では、株式会社テクニケーション 代表取締役の西田 拳氏によるセッション「SESのメリットを最大限活かす新しい働き方」の様子をお伝えします。

※本レポートでは、当日のセッショントーク内容の中からポイントとなる部分等を抽出して再編集しています

プロフィール

西田 拳(にしだ けん)
大学卒業後にリユース業の会社を設立し、その後SES企業に入社。2019年11月に株式会社テクニケーションを設立し、現在に至る。 従来のSES企業に対するネガティブな印象を払拭すべく、エンジニア主体で会社の仕組みを構築。4期目時点で社員200名超、売上高11.5億円、営利11.6%と、急拡大を継続している。その他、同業の社外取締役も兼任。
・HP:https://www.technication.co.jp/
・X(Twitter): @IT21592349
・YouTube:https://www.youtube.com/@SES_CH
・note:https://note.com/tech0710

技術力 × コミュニケーション能力=テクニケーション

西田:テクニケーションという社名は、SESエンジニアに求められる要素の「技術力」と「コミュニケーション能力」を掛け合わせた造語です。設立は2019年の11月ですので、今月末で丸4年を迎えるまだ若い会社ではありますが、従業員数は222名となりまして、行っていることはいわゆるSES事業1本になります。

特徴はここ(上図)にも示しているのですが、給与の決め方に関して自社と取引先との契約単価に応じて決まる「単価連動制」という仕組みを取り入れ、定量評価を行えるようにしている点です。

あとは「高効率の採用活動」もあります。会社設立から4年で200名を超えるエンジニアを採用したとお伝えしましたが、採用エージェントなどにコストをかけて採用しているわけではなく、会社の仕組みを上手くアピールすることでなるべくコストを抑え、その分より多くエンジニアに給与として支払えるようにしています。その結果、集まってきた優秀なエンジニアたちでチーム体制を組み、先輩エンジニアが若手エンジニアをフォローすることでステップアップできるような「体制参画強化」の取り組みも進行しています。

ということで今回のテーマ「SESのメリットを最大限活かす新しい働き方」について、お話を進めていければなと思います。

SESエンジニアの変化

西田:まずは「SESエンジニアの変化」についてお話しします。そもそも私がこの業界に来たのが2018年10月でして、SESという言葉自体は2000年代あたりからもうすでに出ていたようなので、本当に若輩者だったわけです。諸先輩方に過去の歴史についていろいろと伺う中で、SESエンジニアの流れみたいなものを簡単にまとめたものがこちらになります。

西田:SIerが受注した案件を進める上で不足したリソースを埋めるために、SES企業のエンジニアのリソースを借りていたという歴史的背景があります。請負契約ではなく準委任契約か派遣契約が多く、また評価制度については、日系の大手企業のものを踏襲した年功序列型のケースが多いです。

また、そういったSES企業に勤めているエンジニアは基本的には自社から「次はこのプロジェクトへお願いします」というような形で、アサイン先は自社の裁量に委ねられていたケースが多かったかと思います。

つまりトップダウンで業務をこなしていき、評価も年功序列で徐々に上がっていくというような仕組みでした。また新卒や未経験者を先輩エンジニアが育成する方針の会社が多かったかなと感じています。よってSES企業というのは、エンジニアのキャリアを歩む第一歩としての機能を果たしている側面があり、そのような意味では社会貢献性が高いと考えます。ここまでが「年功序列の従来型SES」の話です

年功序列の働き方では、待遇がスキルと連動しないことがあったり、業務内容についても基本的には会社からの指示に基づいて案件対応をしたりする点があるので、自分が本当にやりたいこととのギャップがあったり、残業が多くなるような働き方が前提にあったりしました。

そのような課題を感じていた方が、今度は「フリーランス」という道を選び始めたと思っています。フリーランスに関しては、大手のエージェントがありますが、ある程度経験を積んだSESエンジニアであれば案件も比較的自由に選ぶことができ、かつ単価に関する交渉もしやすいため、徐々に流れていったという背景があると考えています。

3つ目は「単価連動型SES」です。ここまで「年功序列の従来型SES」から「単価連動型SES」へと流れてきているのですが、今後は「フリーランス」を起点にして「単価連動型SES」へと流れてくるんじゃないかなと予測しています。

この単価連動型SESについて弊社で観測している44社分を調査した結果、直近の半年間で約1,000人弱ぐらい社員数が全体で増えているため、月あたり164名ぐらいの比較的速いペースで単価連動型SESに人が流れているような状況です。

ちなみに、この44社を対象に日本年金機構のサイトで調査した結果、2023年10月時点で4,533名が保険に加入していて、つまり社員もしくは役員として働いていることが確認できました。ITエンジニア人口が約132万人ぐらいと言われているため逆算すると0.3%程になるのですが、実際弊社が調査した44社以外にもいわゆる単価連動型SESの会社はあると思っていまして、それを考慮すると1%ぐらいの人が単価連動型SESに今在籍してるんじゃないかなというふうに思っております。

単価連動型SESのニーズが高まった背景

西田:続いては、単価連動型SESのニーズが高まった背景についてです。全体のパイが132万人と多いので、その中の1%となると結構大きいと思っています。それだけの人が流れたのには背景があると思っています。

西田:まず単価連動型SESでは、会社間での契約の単価に応じて給与が決まります。例えば「単価100万円で月給は×0.65であれば65万円」のようなイメージです。単価と給与が連動している会社では、案件を選べることがセットになっているケースがほとんどです。そうなると、それらの会社では「フリーランスと会社員のいいとこ取り」をしているのではないかと思っています。

社員とフリーランスはそれぞれメリットがあると思っていまして、こちら(上図)の1番と2番が主にフリーランスのメリットです。フリーランスの能力に応じて狙える案件や単価も変わってくるので、いわゆる市場価値と収入が連動します。

またエージェントからの紹介を受けるか受けないかというのも基本的には選べるので、「キャリアプランの自由度」もあります。これはある種、フリーランスのエージェントと同じような機能を単価連動型SESが担っているわけです。違いとしては、いわゆる単価連動型SES企業は会社組織でして、自社の営業や社内のエンジニアなど自分が将来目指したい人を見つけてキャリアを歩むことができるので、個人の力だけではなく会社組織に所属するというメリットを享受できると考えています。

そして3つ目が「社員としての安定性」です、例えばフリーランスで案件に参画していない期間に関しては、当然ノーワークノーペイとなり収入が途切れてしまいます。一方で会社員として雇用されている身としては、案件に入っている/いないに関わらず月給というものが必ず発生しますし、社会保障の面でも社員としての権利を享受できます。

このように、フリーランスと会社員の良いとこ取りをしているのが単価連動型SESであるからこそ、昨今の市場ニーズと合致して伸びているという背景があります。

SESのメリットを最大限活かす

西田:続きまして「SESのメリットを最大限活かす」について説明していきます。先ほどからお伝えしてきました通り、これまでは会社が働き方を決めてきました。例えば参画先のプロジェクトも会社からの依頼に基づいて「次はこの案件でお願いします」というように。

給与に関しても年功序列で、例えば年に数千円から数万円という上昇の幅があって役職がつけばさらに増えるみたいなテーブルがありますが、これも基本的には会社の裁量によって決まってくるので、自分でコントロールするのがなかなか難しいのかなと思います。いわゆるイニシアチブが会社にあるような状態がスタンダードだったと思うんですけれども、今後はSESという仕組みをうまく活用すれば、自分の希望をクリアしていけるんじゃないかなと思っております。

西田:例えばこの(上図の)1番のところですね。3年後に結婚しようかなと思っていて、年収700万円達成したいなという思いがある方がいたとしたら、今の経験からあと3年後にどのような経験を積めば年収700万円の案件に参画できるだろうということを考えて、キャリアを構築していくことができるというわけです。

また2番目にあるように、リモート勤務でワークライフバランスを保ちたいという方に関しては、リモートと親和性の高い技術に触れられる案件に参画するなどが考えられるでしょう。例えば、これまでインフラのオンプレ環境がメインだったけれども、クラウド環境の案件に参画して徐々にそちらの方にスキルセットを寄せていくことによって、オンプレよりはリモート率が高くなることが想定されますよね。

あと3番目にある、モダンな技術に携わりたいというのも、よくある話だと思っています。やはり自分が興味関心を持っている分野の方が業務に対して前向きに取り組めると思いますし、SESはクライアントワークですので、いわゆる顧客満足度にも結果的につながってくるのかなと思っております。高いモチベーションで業務対応ができて、お客さまが評価して単価が上がって、結果的に1番や2番も達成できたりすることもあるでしょう。

このように、今後は会社でなくて「自分がどうしたいのか」を考え、それを達成していくという手段においてSESを利用することが有効になるのではと思っています。

単に単価連動型SES企業に入るというだけではこれらの恩恵を受けることはできませんが、自分が実現したいことを描いて、それを達成するために逆算する。それらがまだ明確でない方に関しては、自社の信頼できる営業やエンジニアに相談しながら目標を定めていき、目指すところに向かって前進していく。そのように働くことができると、人生がより豊かになるんじゃないかなと私は思っています。

テクニケーションの実績紹介

西田:最後は「テクニケーションの実績」をご紹介します。ここに挙げた事例の3点は、いわゆる転職市場でよく言われる要素ですね。

まずは「スキルチェンジできた事例」です。もともと医療系のお客さまに特化した受託開発の企業に勤めてらっしゃる方がいらっしゃって、その方はC#で業務用のデスクトップアプリの開発をしていました。その方の知り合いであった弊社の社員がいるのですが、そのメンバー経由でカジュアル面談を実施して「スキルチェンジできますよ」とお伝えしました。ただし、これまで経験してこなかったことをしていく上では、事前に準備していく必要もありますということも。

弊社にはJavaエンジニアが多く、例えばJavaのベンダー資格を取得していただければJavaの基礎的な構文に関してはキャッチアップしていますというようなアピールができますし、弊社に入社した後もスムーズにJavaの開発に取り組めるため準備してもらうよう依頼しました。すると、その方は約束通りその資格を取ってくれまして、弊社に入社することになりました。社内の先輩Javaエンジニアがフォローするという前提でJavaの開発案件に参画できました。

単にスキルチェンジしたいというだけでは希望の業務に参画するきっかけをなかなか掴みづらいですが、先輩のJavaエンジニアがいたということと、もともとC#で開発の経験があったこと、さらにJavaのベンダー資格も取得していてちゃんとキャッチアップできていることを前提にお客さまに相談したところ「それであれば問題ないですよ」と言ってくださったので、無事にその案件に参画できたという流れです。その方は1年近くプロジェクトに参画した後、現在は一人立ちして別のプロジェクトに参画しています。全く問題なく業務対応いただけているので、スキルチェンジができて本当に良かったなと思っています。

2つ目の「年収UPした事例」です。こちらに関しては、実務経験が10年目の
35歳Javaエンジニアと、実務経験が6年目の28歳Javaエンジニア、あとは実務経験が6年目の33歳AWSのエンジニアがいます。この3名が来年から、それぞれ年収1,000万円になります。これが一番、弊社の中で語れる実績になるかなと思っています。SES企業でも、きちんとしたキャリアを構築していけば稼げるということを彼らが証明してくれてモデルケースになることによって、他の社内の若手エンジニアが「自分もこうしていけば、この人たちみたいになれるんだな」と思ってもらえるかなと思います。今後は彼らがモデルケースとなって、また彼らが起点となって社内のナレッジを共有していって、若手エンジニアの成長のきっかけというのを創出していければな思っています。

最初のSESエンジニアの働き方についての説明のときに「従来型のSES企業」とお伝えしたのですが、これらの企業は育成をすごく大切にしている会社が多いと思っています。いわゆるフリーランスライクに働けるというのも一つの魅力なんですけれども、せっかく会社組織としてやっているので、先輩が若手をフォローするというところは推進していき、次世代の若手が育ってリーダーになって、また新しくやってきた若手がフォローを受けてその人がリーダーになってみたいな、そんな連鎖を作っていきたいと思っています。

そして最後は「リモートワークの事例」です。例えば埼玉の中でも東京から離れてたところに住んでいる、もともとフリーランスをやっていらっしゃったネットワークエンジニアの方がいました。その方はオンプレのネットワークエンジニアだったので、どうしても出社が発生しがちでした。それがちょっと億劫だなとおっしゃっていたので「リモートを優先するならクラウドにスキルチェンジした方がいいんじゃないか」ということを提案したところ、興味を持ってくれました。

前からAWSについて興味を持っていて、自宅で環境構築してハンズオンも進めていたという話だったので、先ほどの年収UPアップの事例で触れた33歳AWSエンジニアの方がフォローするという前提で、複数名体制でAWSの設計構築の案件に参画できたという事例があります。その後も業務の中でキャッチアップして、プライベートでもハンズオンを進めていったことで、気づけば年単位での参画につながっていて、今現在は一人でフルリモートAWS案件に参画できる状態にまで至っています。結果的に希望を実現することができて良かったのかなと思っています。

これ以外にもいろいろな実績があるのですが、全部説明すると大変な時間になってしまいますので、もし興味を持っていただけましたら、YouTubeやX(Twitter)から気軽にコンタクトいただき、カジュアルにお話しできればと思います。ありがとうございました。

文:長岡武司

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