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世界的自動車サプライヤー・アイシン精機の人工知能エンジニアに迫る

アイシン精機株式会社(以下、アイシン精機)は、トランスミッションやブレーキ、シャシーなど、各種自動車部品のメーカーとして国内で圧倒的なシェアを持つ企業。トヨタグループの一員として、トヨタのあらゆる車種の部品の開発・製造を手掛けるほか、海外メーカーへの部品供給も行っており、国内外で広くビジネスを展開する日本を代表するモノ作り企業として、世界中の完成車メーカーのパートナーとして頼られています。

アイシン精機の本社は、トヨタのお膝元である愛知県に立地していますが、2年前に東京のお台場に「台場開発センター」を開設しました。同社はここを「AIの研究開発の一大拠点」と位置付け、現在腕利きの技術者たちがAIを使った最先端の研究や製品・ソリューション開発に取り組んでいます。多くの方々にとって、「自動車サプライヤー」と「AI」のイメージはなかなか結び付かないかもしれませんが、実は自動車業界は将来的に最もAIの活用が有望視されているジャンルの1つだと言われています。そのあたりの最新事情について、実際に台場開発センターで働く技術者の方々に話を聞いてみました。

台場開発センターでのイベントを詳しく見てみる

目次

「100年に一度の危機」をバネに飛躍を狙うアイシン精機
ディープラーニング技術を使ったさまざまな研究開発テーマ
AIとはほぼ無縁の仕事からAI開発の仕事へと転身
技術者が自身の希望に沿ったテーマで日々研究開発に専念

プロフィール

加藤浩明(かとうひろあき)
アイシン精機株式会社 データサイエンス技術部 部長
大学院卒業後、1998年4月にアイシン精機に入社。以降、モデルベース開発(MBD)を専門に、オートマチックトランスミッション変速制御等、幅広い製品分野の電子制御システム製品の制御ソフト開発に携わり、2017年4月より現部署にて人工知能の技術開発と社内展開に従事中。

 

周防高志(すおうたかし)
アイシン精機株式会社 データサイエンス技術部
複合機メーカーにてプリント管理ソフトウェアの開発に従事。主に印刷処理に関する設計、C#やJavaを用いたコーディング、個別案件のプロジェクト管理を担当。2018年11月にアイシン精機へ入社。台場開発センターにて時系列データの異常検知プロジェクトと人工知能の社内教育に従事中。

 

池田惇郎(いけだあつろう)
アイシン精機株式会社 データサイエンス技術部
SIerにて銀行勘定系システムの運用請負プロジェクトに従事。主に運用自動化の仕組みの構築とOSのセキュリティパッチマネジメントを担当。2019年2月にアイシン精機へ入社。台場開発センターの機械学習インフラの整備に参加。また、D-Wave社の量子アニーラーの活用に関する研究も行う。

「100年に一度の危機」をバネに飛躍を狙うアイシン精機

──まず、自動車サプライヤーであるアイシン精機がAIの研究開発に取り組む理由について教えてください。

加藤:自動車業界には現在、「100年に一度の危機」が訪れていると言われています。アイシン精機は自動車のメカニカルな部品を開発・製造・販売する会社ですが、現在のクルマは電子制御が進んでいて、レクサスなどは70~80個のコンピュータを搭載しています。クルマの心臓部が、メカからコンピュータへと急速に移り変わっているのです。

また、これまでクルマは「所有」するものだと思われてきましたが、これからはカーシェアリングなどのサービスを通じて「利用」するものへとシフトしていくと言われています。そんな中、自動車産業もこれまでの「製品を販売する」ビジネスモデルから、「サービスを提供する」というビジネスモデルへの転換を迫られています。

──カーシェアリングや自動運転などの分野では、旧来の自動車メーカー以外の企業の進出が目覚ましいですね。

加藤:例えばグーグルやアマゾンといった企業は、大量の地図データやAI技術などを武器に、MaaS(Mobility as a Service)の分野に進出してきています。こうした分野では、私たち自動車サプライヤーは正直、これまで立ち遅れていた面が否めません。しかし自動車のことを最も良く熟知しているのは、やはり実際に長年に渡ってモノを作り続けてきた私たちです。従って、私たちサプライヤーがスピード感を持って新たな技術やトレンドにキャッチアップできれば、海外の新興企業に必ずや勝てると信じています。

──2年前に東京のお台場に「台場開発センター」を開設したのも、まさにそのためだったのですね。

加藤:はい。弊社ではここを、AI研究開発の一大拠点と位置付けており、現在最先端の研究や製品・ソリューション開発を積極的に進めています。自動車サプライヤーというと、いかにもお堅くて「工場で作業着を着てヘルメットを被って作業する」というイメージが強いかもしれませんが、台場開発センターは社内でも“特区”と位置付けられていて、ほかの部門や拠点とはまったく雰囲気が違います。あらゆる面でこれまでの製造業のイメージを払拭し、AI技術者が働きやすい環境を目指しています。服装も比較的自由で、開発者が創造力を発揮できるよう、オフィスデザインにもさまざまな工夫を凝らしています。

カフェスペースがあり、リラックスしながら議論を交わすことができる

ディープラーニング技術を使ったさまざまな研究開発テーマ

──具体的には、どのような分野の研究開発が行われているのですか。

加藤:台場開発センターでは主に、現在弊社がAI分野で最も力を入れている「工場の働き方改革」「スマートファクトリー」といった分野の取り組みを行っています。弊社の工場では現在、数千人の検査担当者が製品の最終品質チェックを目視で行っています。この作業をAIの画像認識技術によって自動化し、作業効率を大幅に向上させることを狙っています。

ここで鍵を握るのが、ディープラーニング技術です。ディープラーニングが現在最も威力を発揮するのが、「人の目を超えた」とも言われている画像認識の分野で、この技術を活用することで工場に変革をもたらすことができると考えています。ロボットアームの制御なども、ディープラーニングの画像認識技術を適用することでより高度な自動化が可能になります。またOCR機器と組み合わせて、手書きドキュメントの自動読み取り処理を行う技術の開発も行っています。

──画像認識技術をベースに、さまざまなユースケースに向けた研究開発を行っているのですね。

加藤:はい。加えて、私が部長を務めるデータサイエンス技術部は、九州にも研究開発の拠点を構えています。ここでは、画像認識技術にセンサー技術を組み合わせた「物体認識技術」の研究開発を行っています。具体的には、弊社が得意とする「自動駐車」のシステム開発に力を入れています。自動車の後方を映し出すバックガイドモニタのカメラと障害物検知センサーを組み合わせて、駐車場の地面に引かれた白線や周辺の障害物を識別して、クルマが自動的に駐車スペースを見付けて駐車してくれるという技術です。

ここで研究している物体認識技術は、既に実用化間近の自動駐車だけでなく、将来実現が見込まれている自動運転によるカーシェアリングにおいて、無人車の乗員の動きを監視するための技術としても期待されています。現在、自動車業界では「CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electrification)」というキーワードが取り沙汰されていますが、現在九州で研究している物体認識技術は、これから弊社がCASEに対応していく上でも重要な基礎技術になると見込んでいます。

台場開発センターと九州にある開発拠点での研究テーマなどを具体的に説明。「どの研究テーマもディープラーニングが要の技術となる」と語る加藤さん

──やはりどの研究テーマも、ディープラーニングがベースになっているのですね。ということは、現在台場開発センターで働いている方々も、皆さんもともとディープラーニングの専門家だったのでしょうか?

加藤:そうとは限りません。ディープラーニングの基礎理論は既にかなり前に確立されており、そこの学問的要素は少なくなってきています。現場の技術者は、ネット上に公開されている出来合いのディープラーニングのモデルを持ってきて、そこに少しの知恵を入れてうまくカスタマイズするというスタイルが、現場での開発の主流になっています。つまり「ディープラーニングに詳しい」ということは、大げさに言えば、そういうモデルに関する知識を豊富に持っているというだけに過ぎないんです。

むしろ私たちは、ディープラーニングのベースとなる機械学習の知識、もっと噛み砕いていえば統計学と数学の知識を重視しています。この2つさえしっかりおさえていれば、後はツールの使い方を覚えるだけでディープラーニングを使った開発は行えます。加えて、実際にディープラーニングを製品に実装するには、プログラミングのスキルが不可欠です。「統計学と数学の知識」、そして「プログラミングスキル」。この両方のスキルがあれば、ディープラーニング開発者になるための素養としては十分です。実際には両方を兼ね備えている人は少ないのですが、片方だけでも十分に対応できます。

AIとはほぼ無縁の仕事からAI開発の仕事へと転身

──池田さんはキャリア採用でアイシン精機に入社されましたが、前職ではAIに携わっておられたのでしょうか。

池田:仕事上では、ほとんど関わっていませんでした。ただ学生時代から研究のためにPythonを使っていたこともあり、Pythonがとても好きだったんです。そこで個人的な興味から、Pythonのユーザーカンファレンス「PyCon」に参加したところ、アイシン精機がブースを出展していました。そこで社員の方からいろいろ話を聞いたのが、アイシン精機との初めての出会いでした。そこで、台場開発センターの仕事現場を見学できるイベントがあると聞き、参加してみることにしました。

──イベントに参加してみた感想はいかがでしたか?

池田:実際にどんな環境で仕事をしているのか、実際にこの目で確かめることができて、とても興味深かったですね。自動車サプライヤーというと製造業のイメージがとても強かったですが、まったくそういう雰囲気がなく、いい意味で裏切られました。また当日、社員の方々といろいろお話しできる場があったのですが、そこで量子コンピュータの研究を行っていることを聞き、俄然興味がわきました。

「もともとアイシン精機のことは名前ぐらいしか知らなかったが、職場見学や面接で思わぬ魅力を発見した」という池田さん

台場開発センターでのイベントを詳しく見てみる

──もともと量子コンピュータに興味があったのですか?

池田:はい。前職でも自主的に勉強していましたし、将来的に量子コンピュータに携われる仕事ができればとずっと思っていましたから、ぜひアイシン精機で量子コンピュータの研究がしてみたいと考え転職を決意しました。現在ではカナダの量子コンピュータメーカー「D-Wave」のクラウドサービス「D-Wave Leap」を使って、量子コンピュータで自動運転の経路の生成を行うための方法や、製品設計で発生する組み合わせ最適化問題を解く方法などの研究を行っています。

──周防さんは、どんな経緯でアイシン精機に入社されたのですか?

周防:私はもともと複合機メーカーで、プリント管理ソフトウェアの開発と、複合機の運用状態を示す大量のログデータをPythonを使って分析する仕事に携わっていました。もともとはソフトウェア開発がメインだったのですが、徐々にデータ分析の仕事の魅力に惹かれて、この道を究めてみたいと考えるようになりました。そんな折、ちょうどアイシン精機がデータ分析の人材を募集していたので、応募してみることにしました。

──データ分析の仕事というと、世間一般的にはWebサービス企業やゲーム会社などのイメージが強いと思いますが、そこでアイシン精機を選んだ理由は何だったのでしょうか?

周防:コネクテッドカーやカーシェアリングなどを実現するには、大量のデータを扱う必要があります。従って将来的に自動車業界は、一大データ集積産業になると言われています。これはデータ分析を志す者にとって、極めて魅力的なフィールドだと思ったのです。また入社を検討する際も、実際に職場を見学させてもらったり、仕事内容について細かく教えてもらったりしました。自身の希望もしっかり伝えましたし、実際に入社した後もほぼ希望通りの仕事に就くことができましたから、結果的にはとてもハッピーな転職になりました。

技術者が自身の希望に沿ったテーマで日々研究開発に専念

──普段はどんなお仕事をされているのですか。

周防:私たちが所属するデータサイエンス技術部は、4つのチームに分かれています。1つはインフラと教育を担当するチーム、1つは自動駐車等の物体認識に関する研究開発を担当するチーム、残り2つのチームが工場のスマートファクトリー化に関する研究開発を担当するチームで、製品の外観検査や工場の設備故障検知、ロボットアームのピッキング制御や自動走行などをテーマにしています。

私が現在主に担当しているのは、工場内の設備や機器に設置したセンサーから集めてきた大量の時系列データにビッグデータ解析を施すことで、設備の異常や故障の予兆を検出して、予防保全などにつなげるための技術の開発です。製品検査の自動化やロボットアーム制御と同じく、ここでもディープラーニング技術が鍵を握ることになります。

池田:私は量子コンピュータの研究と並行して、インフラチームでAIの学習処理を効率的に行うための分散処理環境の設計や運用に従事しています。台場開発センターには、GPUを搭載しているサーバやワークステーションが大量にあるので、それらを使ってユーザーの要件に合うようなインフラ環境の設計をしたり、場合によってはプロトタイプを構築してユーザーに試してもらうこともあります。今後は、ここで構築した先進的なインフラ環境を、全社規模に展開していきたいと考えています。先進的なインフラ技術に触れる機会が多いので、インフラ好きな方にとっては働きがいのある職場だと思います。

──前職と比べて、職場の雰囲気はいかがですか?

周防:全体的に若い人が多いので、とても和気あいあいとやっている雰囲気がありますね。またAIをはじめとして先進的な技術を扱う機会が多いので、前向きに仕事に取り組む人が多い印象ですね。ITの場合、システム開発や研究以外の業務に費やす時間が多いため、なかなか前向きに取り組めない仕事も多いですけど、ここはまったく違いますね。

池田:私が前職で携わっていたような、システムの保守の仕事などは、まさにその典型ですね(笑)。それにここでは、個々人の希望にかなり沿った仕事を与えてもらっているので、その点も仕事に対するモチベーションが高い理由だと思います。ただし、仕事の量や取り組みたい研究開発テーマの数に比べ、人数がまだまだ不足していますね。

周防:そうですね。私が現在取り組んでいる異常検知のプロジェクトも、私も含めてわずか2名で取り組んでいる状況です。明らかにリソースは足りていません。

「自動車業界における『100年に一度の危機』『CASEの波』はソフトウェア技術者にとって大きなチャンス」と語る周防さん

──現場の方から見て、具体的にどのようなスキルや素養を持った方に加わってほしいですか?

周防:プログラミングのスキルはやはり必要ですね。実際、私たちが使っているのはPythonなのですが、必ずしもPythonは知らなくても大丈夫だと思います。何らかのプログラミング言語をきちんと習得できていれば、Pythonにもすぐ習熟できるはずです。後は、チーム内のほかのメンバーと円滑にコミュニケーションが取れるコミュニケーション能力や、社内で成果を報告するためのプレゼンテーション能力もあるといいですね。

池田:インフラチームでは、やはりインフラの知識はあった方がいいですね。あと必要なのは、「自分で考えて動ける能力」でしょうか。私たちが取り組む研究開発テーマは、どれも「どう進めるのが正しいのか」が分からないものばかりですから、自ら研究や開発の進め方を考えて、それをほかの人と議論しながら自ら仕事のやり方を切り拓いていけるような人が向いていると思います。一方で、クルマの知識は必ずしも必要ありません。私も採用面接の場で「クルマにはまったく興味ありません」と堂々と言いましたけど、採用してもらえましたから(笑)。

周防:私もクルマは持っていません(笑)。意外とそういう人も多いんですよね。自動車業界はこれから、AI技術者にとって極めて魅力的なフィールドになるはずです。製造業というと、業界特有のお堅いイメージがどうしても付きまといますが、台場開発センターに限って言えばそうした雰囲気は一切ありません。にも関わらず、自動車業界の未来に深く関わっていけるというのは、とても魅力的な職場だと思います。

【総括】

インタビューさせていただいたお三方もおっしゃっていた通り、世間一般的にはアイシン精機のような自動車サプライヤーはAIやビッグデータといった先進的なソフトウェア技術と無縁だと思われていますが、実はそうでないことが分かり大きな驚きでした。取材の最後に加藤さんが「これからの自動車業界は、自動車業界以外から来た人たちがけん引していく」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。
ちなみにアイシン精機では、台場開発センターでのAI開発の仕事を見学し、技術者と交流できるイベントを開催する予定です。この記事を読んで興味を持たれた方は、ぜひ気軽に参加してみてはいかがでしょうか。

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