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創業フェーズでジョイン、ゼロからプロダクトを開発したメンバーが見てきたウェルスナビの変遷と面白さ

「働く世代に豊かさを」というミッションのもと、日本の働く世代の豊かな老後に向けた資産形成をサポートするウェルスナビ株式会社。政府による「貯蓄から投資へ」の積極的な政策などが展開される中、国内における資産運用の認知拡大と普及等に向けて事業展開を進める同社の開発組織のあり方について、前回は執行役員 / VPoE(Vice President of Engineering)にお話を伺いました。

▶︎ IPO推進経験が豊富なウェルスナビ・VPoEが語る、エンジニア組織の魅力と事業のポテンシャル

そこで今回は、2015年のウェルスナビの創業フェーズにジョインし、現在は資産運用サービスに関するソフトウェア開発部分全般を主管する執行役員の保科 智秀氏にお話を伺いました。

今でこそ同社はグロース市場へと上場し、従業員数も150名を超える会社となっていますが、保科氏が入社したタイミングではまだ5人ほどしかいない、ザ・スタートアップな状況だったとのこと。

入社から8年が経過し、プロダクトと組織はそれぞれどのように成長していったのか。そして、これからどのような未来を志向しているのか。ざっくばらんにお話しいただきました。

プロフィール

保科 智秀(ほしな ともひで)
ウェルスナビ株式会社
執行役員
東京大学卒。新卒でシンプレクス株式会社に入社。大手銀行、大手信託銀行、大手FX事業者で様々な商品のトレーディングシステム開発に携わる。2015年にウェルスナビに入社。トレーディングシステム開発や提携先へのシステム導入、事務オペレーションの構築等を幅広く担当した後、現在はプロダクトのソフトウェア開発全体をマネジメントしている。

農学部から、金融専門のフルスタックエンジニアへ

――はじめに、現在のお仕事内容を教えてください。

保科:ウェルスナビが提供する資産運用サービスに関するソフト開発部分全般を担当しています。ユーザーが使う画面からスマホアプリの開発、バックエンド開発、あとは社内で使うシステムの開発も担当しています。

――保科さんはウェルスナビの5人目の従業員とのことですが、ウェルスナビ以前も含めたこれまでのキャリアについて教えてください。大学ではどのようなことをされていたのでしょうか?

保科:今でこそ金融システム開発の仕事をしていますが、大学ではエンジニアも金融も関係なく、農学部で魚の研究をしていました。

――魚の研究ですか、面白いですね! 何がきっかけでシステム開発に携わることになったのでしょうか?

保科:就職活動スタートのタイミングでは、正直、社会人になるにあたって自分が何をしたいのかが明確ではありませんでした。様々な会社を見ていくうちに偶然シンプレクス株式会社の記事が目に入り、金融とITをミックスして新しい価値を創出するという部分に強く惹かれました。

その会社の新卒採用メッセージで「何をやるかではなく、誰とやるか」がキーメッセージとして掲げられていまして、特にそのメッセージに共感して志望し、入社しました。

――シンプレクス株式会社といえば、金融に強いシステム開発会社ですよね。そこで初めてエンジニアとしてのキャリアをスタートさせたのですね。

保科:はい。金融機関のプロフェッショナルと同程度の会話ができる前提で、エンジニアリングできることが求められる。そこが他のSIerとは少し異なるポイントです。新卒採用者の配属は、基本的に開発エンジニアでした。

とはいえ私自身は開発未経験だったので、配属直後はテスターとしてひたすらテスト業務を行なっていました。そこで、自ら言うのは気が引けますが、テスト実施のスピードがかなり早かったので、テスト業務以外の開発部分なども、早い段階から任せてもらえるようになっていきました。

そのシステムをリリースした後は、お客さま先での常駐プロジェクトに携わっていました。既存システムの運用保守のほか、追加の開発案件についてのリーダー的な役割をしており、設計〜コーディングまでを担当しておりました。

――どのようなシステムだったのですか?

保科:大手信託銀行の資産運用部署でファンドマネージャーやトレーダーの方が使う、国内債券を取り扱うシステムです。またお客さまと社内の部署間を繋ぐための後方支援システムのスクラッチ開発にも携わりました。エンジニアリングのことはもちろん、ビジネスのことも考えて吸収していく必要があったので、そこで資産運用のシステムに関する知識を得ていきました。

その導入が終わったタイミングで、「ソフトウェアだけ分かっていても仕方ない」「ハードウェアやネットワークの知見も必要だ」と思い、次のFX部署で導入プロジェクトに参加しました。そこではサーバ上で動くアプリケーションのためのミドルウェアの設定や、サーバのパフォーマンス管理、さらにはネットワークの構築管理などを幅広くやらせていただき、そこでベーシックなインフラ・ネットワーク知識を学びました。

――着実にと金融システムのフルスタックエンジニアへの道を歩まれていますね!

保科:そうですね。さらに次のタイミングでは、国内外の株式を取り扱うシステムのフルスクラッチ開発の導入担当になりました。ハードやネットワークの担当経験を経て、もっとソフトウェアエンジニアとしての技術力を高めたいと思っていたタイミングだったので、ここでも開発リーダーの立ち位置でプロジェクトに参画しました。前回のスクラッチ開発で扱った債券以上に、株式は取引のタイミングがシビアで取引回数も多くなるので、多くのデータを捌いたり、細かいデータの整合性をどのように構築するかなどの設計・コーディング・運用・保守までを一気通貫で考えていく必要があったのです。

それらの経験を経て、最後はコンサルティングという形で大手銀行に常駐し、行内での為替システムをリプレイスするための現状分析や新システムの要件定義などをやっていきました。

当初から大事にしていた「既存の金融機関のやり方に縛られない」姿勢

――それらの経験をされたのちにウェルスナビに入ることになりますが、知ったきっかけは何だったのでしょうか?

保科:シンプレクス時代に一緒に仕事をしていた人がウェルスナビのことを教えてくれたのが、最初のきっかけです。2015年夏頃に、まだ創業して数ヵ月で、シリーズAの調達を進めているような段階のウェルスナビに関する取材記事が日経新聞に出ており、その知り合いが見つけて教えてくれたんです。

興味を持ち、その知り合い経由で代表の柴山を紹介してもらい、話をさせてもらいました。ウェルスナビとしては株のトレーディングシステムの経験がある人が欲しいタイミングで、私自身も新しいフィールドで自分を試してみたいと思っていた時期だったので、そのままジョインを決めました。創業半年後の2015年10月のことです。

――入社当時は、どのような業務をされていたのですか?

保科:先ほどお伝えしたトレーディングシステムの開発が担当領域でした。お客さまからお預かりしたお金を、証券自動売買で運用するというものです。もちろん、ただ取引をするだけではシステムが成立しないので、取引結果を処理するためのシステムなども含めて作っていきました。

――大きな企業からスタートアップへと移られたので、大変なこともあったのではないでしょうか?

保科:開発自体は楽しかったのですが、求められるスピード感が早かったですね。2015年8月中旬、最初に柴山と話したタイミングで、「年内にはトレーディングシステムをリリースしたい」と言われました。結局私が入社したのはその2ヵ月後の10月で、入社したタイミングではまだソースコードは1行もなかった状況です。

――それは難しかったのでは…。

保科:はい、さすがに年内は無理だったのですが、翌年1月にはベータ版として、関係者限定でサービスリリースすることができました。

――すごいですね! まだまだ創業1年未満のスタートアップであればリソースが足りないフェーズだったと思います。入社当時に大事にされていたことをお聞かせください。

保科:既存の金融機関のやり方に縛られないというのは、当初から特に大事にしていました。もちろんサービス開始にあたっては色んな証券会社のオペレーションフローなどを参考にはしていたのですが、それがウェルスナビでは本当にあるべき姿なのかをゼロベースで考え、極力簡単に次の操作/処理へと進むことができるよう、不要と判断できるオペレーションはどんどんと削ぎ落としていきました。そのために、社内のコンプライアンスチームなど金融系の法律に強いメンバーと一緒になって法律の条文から読み解いていき、ユーザーにとって本当に良いサービスは何なのかという最適解を探していきました。

――保科さん自身も法律を読んでいたのですね。技術面で大事にされていたことはありますか?

保科:金融を扱うということで、数値の間違いといったトラブル発生時に、いかに影響範囲を狭くして迅速に収束させることができるかを意識して設計しました。システム全体として連続したバッチ処理で進んでいくのですが、ネットワークエラーやサーバー負荷など、何かしらの要因でジョブが途中で止まるなどして失敗したとしても、後続処理が詰まらないように、どのような状態でもすぐに再実行できるようにしています。リリース当初からそのような形にしていたので、障害発生時には随分と助けられましたね。

――トレーディングでシステムの遅延は致命傷ですから、非常に大事な観点ですね。ここはやはり、前職でのご経験からの学びも大きかったのでしょうか?

保科:そうですね。例えば前職でも扱ったFXは非常に時間の流れが早かったです。それこそ1秒が非常に長く、マイクロ秒の単位で取引が動いていく世界です。システムが止まるなんてあり得ない話なので、必然的にシステムの遅延に対して非常にセンシティブになります。

また為替システムの場合は24時間ずっと止まらずに動いており、往々にして夜中にトラブルが起きたりします。深夜対応となるとどうしても判断が鈍ってしまうこともあるので、人が考える部分を極力少なくすることで、システムをより安定的に運用保守できるということを学びました。そのような経験があったからこそ、ウェルスナビで新しくシステムを作るときは、最初からそれらの観点を考慮して設計できました。

早い段階から継続的に、技術的負債の解消に取り組んでいる

――リリースから現在に至るまで9年強「WealthNavi」に携わられてきて、開発や運用に関して変わったことがあれば教えてください。

保科:創業当初は社員が本当に少なかったので、使う技術スタックが最適なもので考えられていませんでした。特に2015年の入社直後は、コーディング担当が自分一人という状況だったので、プログラミング言語やフレームワーク、ミドルウェアなど、自分が一番作りやすいもので作ったというのが正直なところです。ソフトウェアも基本はフリーで使えるものを使い、フリーのサービスがない領域であれば、なるべく安価に済むようにコスト重視で判断していました。

しかし当然ながらそのままではいけないということで、2016年1月のベータ版リリースの後、同年7月の一般公開までの間でフロントエンド側は全て変えていきました。ユーザーが使う画面はもともとC#メインで開発していましたが、全てをJavaで作り替えたのです。それ以降も継続的に技術的負債の解消に取り組んでいまして、2018年くらいから本腰を入れていますね。少なくとも自分が入社当初に組んだソースコードは何一つ残っていないと思います。

――ひとりだけで開発を行っていた体制から次第にチームメンバーが増えていったと思いますが、そのあたりの開発組織の変遷に付随した変化としてはいかがでしょうか?

保科:創業当初は、一人で非常にたくさんの業務を行うという状況だったのですが、最近では分業が前提になってきているので、得意な領域に注力しやすくなったと感じます。一方で、自分が担当するところ以外の仕組みや状況を把握しにくくなるというデメリットもあるので、自分の得意領域に注力しつつ全体感も捉えられるようなプロジェクト体制を組むように日々意識しています。

メンバーの傾向としては、以前は金融系出身者が多くを占めていましたが、最近ではIT系のスタートアップやベンチャー企業出身者も増えていますね。ただ考え方に関しては、創業時も現在も、マネジメントとプレイングの両方をしたいという人間が多い印象ですね。何かを作ることに楽しみを覚えている人や、作りたいという想いが強い人も多いと感じます。

――技術を突き詰めるかマネジメント方向にいくかは、多くのエンジニアが悩むキャリアテーマだと思うのですが、ウェルスナビのキャリア制度はどのようになっているのでしょうか?

保科:ゼネラリストとエキスパートという形で、キャリアパスを2軸に分けるようにしています。マネジメントをしないと出世できない仕組みにしてしまうと、モノを作る人が評価されないという会社になってしまいます。モノを作ることに対してバリューを出せる人をしっかりと評価できるようにしたいということで、そのようなキャリア制度になっています。

――前職からずっと金融の世界に身を置かれてきた保科さんだからこそ感じる、ウェルスナビの特徴や面白みも教えていただきたいです。

保科:前職ではかなり大手の金融機関のシステム開発に携わることが多く、必然的に既存の枠組みやルールを変えるのがすごく大変、と言いますかほぼ不可能な状況でした。

一方でウェルスナビの場合は、金融機関として本質的に守らなければならないところは守った上で、ユーザーにとってプラスになるような部分があれば柔軟に変えるようにしています。そのような変化に対する抵抗がなく、むしろ積極的に効率化していこうとしている点が、金融機関の中では珍しい姿勢だと思います。

エンジニアがモチベーション高く仕事ができる環境に向けて

――保科さんが働く上で大事にされていることを教えてください。

保科:昔は一匹狼的なタイプだったのですが、ゼロから会社のサービスを立ち上げるとなると、自分一人でできることなんて本当に少ないと感じるようになりました。今では様々な人たちが集まって目標に向かって進んでいかないと、良いモノなんてできないと思っています。この考えの変化が、自分の中で大きく変わった点ですね。自分と異なるタイプの人の方が一緒に仕事をしていると楽しいし、新しい価値が生み出せると感じています。

またエンジニア同士だけでなく、例えば私の場合、入社当初から管理部門のメンバーとよく話すようにしています。システムを実際に作るところだけでなく、システムを作るための土台を支える管理部門の業務を考えることで、自分たちが作るべきシステムや持つべきデータへの解像度がより高まると毎回感じています。

――それは面白い観点ですね! 多くのメンバーが一丸となって取り組むということで、職場環境作りの観点で意識されていることはありますか?

保科:はい。例えばオフィスの作り方として、社内のいろんな職種がコミュニケーションしやすいように、普段の業務であまり関わらないような人と近くに座るような設計にしています。私自身、みんなと同じテーブルにいるので、ちょっと目が合えばすぐに話ができるような環境で働いています。

また毎週金曜日は「ハッピーアワー」という社内イベントを実施していまして、自分の趣味などのプライベート面での発表をしたり、後半には自由交流で仕事以外のことも含めて何でも話せるような時間を提供したりして、お互いの理解を深めることができるようにしています。

――今後、保科さんとして開発組織をどのようにしていきたいと考えていますか?

保科:ウェルスナビでは「働く世代に豊かさを」というミッションを掲げていますが、そのミッションに対して開発チームとして何ができるかと考えたとき、「ユーザーに使っていただくシステムをいかに安定的に稼働させていくか」が非常に重要だと捉えています。

安定稼働のためには、膨大な量のデータはもちろん、サービスを育てていくエンジニアがモチベーション高く仕事ができる環境を整える必要があります。働く人がしっかりと成長していけるような開発組織にしていきたいと考えています。

――ありがとうございます。それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。

保科:ウェルスナビは、まだまだこれから成長していく会社ですし、多くのエンジニアと仕事をしたいと思っています。今以上にモノづくりに強くコミットしたいエンジニアの方、ぜひ一緒に仕事をしたいと思っています。

ウェルスナビ株式会社(金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2884号・加入協会/日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会)
・金融商品等の取引に関するリスクと費用はこちら:https://www.wealthnavi.com/rule/01.html

編集後記

現在多くの方の資産運用を支援しているプロダクトをゼロから立ち上げて運用されてきた方のお話は、なんとも面白く、システム設計で工夫したポイントなどは思わず大きく頷いてしまいました。ウェルスナビはこれからさらに大きく飛躍していく予定とのことです。攻めの姿勢をもつ金融機関でチャレンジしてみたいエンジニアにとっては、今が絶好のチャンスでしょう。

取材/文:長岡 武司
撮影:法本 瞳

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