Dear Great Hackers

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執筆論文がトップカンファレンスに採択。長期インターン参加学生も、社員と変わらず活躍できる日立の魅力

学生から社会人へのステップの過程で、誰もが一度は「自分はどう働きたいのか」と考えるものでしょう。とはいえ、体験したことがないので、なかなか解像度高く「働く姿」を考えることは難しいもの。だからこそ、企業へのインターンシップは、自分がどう働きたいのかを考えるきっかけとして、非常に有効な選択肢だと言えます。

今回の記事は、日立製作所における技術系インターンシップについてです。同社ではこれまで2〜3週間のインターンシップから、学生の方がより長期目線で研究開発に従事できる長期インターンシップまで、様々な学びの機会を創出してきました。

具体的にどのようなインターン生が参加していて、どんな研究に従事して成果となるアウトプットを出しているのか。現在、長期インターンシップに参加している学生と受け入れチームのおふたりに、それぞれお話を伺いました。

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プロフィール

岡本 悠希(おかもと ゆうき)
株式会社 日立製作所
インターン生 
普段は立命館大学大学院の学生として、環境音を人工的に作り出す環境音合成の研究に従事。長期インターンシップを通じて執筆した、複数の混ざり合った環境音の中から特定のある1音のみを抽出する“環境音抽出”という技術の論文が、ICASSP2022に採択される。また、環境音合成のためにオーディオサンプルと対になった15,568個の擬音語テキストからなるデータセット「RWCP-SSD-Onomatopoeia」を整備するなど、精力的に活動している。

 

川口 洋平(かわぐち ようへい)
株式会社 日立製作所
研究開発グループ 人工知能イノベーションセンタ メディア知能処理研究部
2007年4月、日立製作所に新卒入社。これまで中央研究所において、音響、振動、水中音響、化学信号等を対象とする信号処理と機械学習の研究を担当。近年は2020年9月に販売開始されたDNAシーケンサーや、同年10月にリリースされた製品・設備の異常音を検知・解析するAIなど、様々なプロダクトに関わる。2017年に社会人博士課程で筑波大学大学院修了。

 

堀口 翔太(ほりぐち しょうた)
株式会社 日立製作所
研究開発グループ 人工知能イノベーションセンタ メディア知能処理研究部
2017年4月、日立製作所に新卒入社。大学で画像認識系の研究をした後に、日立のメディア知能処理研究部にて、画像および音声のマルチモーダル領域での研究に従事。3年目から現在に至るまで音声チームに所属して研究を進めつつ、各メンバーのメンターも担当する。

研究から開発まで。日立の仕事の醍醐味を体感するためのインターンシップ

――今回は日立製作所が取り組むインターンシップについてということで、まずはその概要を教えてください。

川口 : インターンシップ自体はずっと前からやっていまして、私たちメディア知能処理研究部もかなり前から受け入れてきました。
基本的には「夏季インターンシップ」「冬季インターンシップ」などと呼ばれるもので、2~3週間ほどかけて実務を通した仕事の醍醐味を体感してもらうことを目的に実施しています。夏は8月から9月にかけて、冬季は1月から2月に実施していますね。

――そこで川口さんと堀口さんは、どのような役割を担っているのですか?

川口 : 自部署に配置されたインターン生のメンターを担当しています。朝と夕方に定例でミーティングを実施して、3週間後に成果発表してもらうという流れになります。

堀口 : 基本的には、インターン生1人に対して1人の担当メンターが就くのですが、私みたいに複数メンバーの様子を見たりアドバイスをしたりしている社員もいます。
実は私、厳密には岡本さんのメンターではありません。

川口 : 実は僕も岡本さんのメンターじゃないんですよ。

――なんと、本日は担当メンターが不在なんですね(笑)

川口 : 部署に配置されたインターン生は、部署のメンバー全員で面倒を見るというマインドでいるので、メンターがいなくても岡本さんが何をやっているかはちゃんと分かっているので大丈夫です(笑)

堀口 : やりとりするSlackが部署内のメンバーであれば誰でも見れるようになっていますしね。

――なるほど。インターン生にとっては関係人口が多いので、相談もしやすそうでいいですね。ただ仕方ないことですが、2〜3週間だと技術的にできることも限られてきそうですね。

川口 : そこは前から課題に感じていて、短い期間だと機密情報の提供が難しいので公開データしか触ってもらうことができず、どうしても深いレベルでの研究につなげにくい部分があります。
そんな背景から、昨年(2021年)から長期インターンシップも始めており、岡本さんはそのメンバーの一人です。

堀口 : 長期のプログラムでは日立と学生さんの間で有期雇用契約を締結するため、日立社内にある機密情報を含めた実際のデータに触ってもらうことができるので、例えば論文などでアウトプットする際にも十分なものを扱えることになります。学生さんもそちらの方が、成果が出て嬉しいと思いますし、私たちとしても研究が進むので、Win-Winな仕組みだと感じています。

――つい最近始まった取り組みなんですね!

川口 : 人事のインターンシップ担当者とは前から話をしていましたが、実際に進めていこうとなったのは2021年のゴールデンウィーク明けくらいからですね。インターンシップ担当者も基本的には同じ考えだったこともあって、スピーディーに進んで。

長期インターン参加学生の論文がトップカンファレンスに採択される

――岡本さんが日立の長期インターンシップに参加を決めた経緯を教えてください。

岡本 : WEBページの公募を見て応募しました。自分の研究領域である環境音合成・分析に近いテーマで、学会などを通じて日立のことはよく拝見していたので、たまにチェックしていたのです。
あと、僕が大学生だった頃に(現在は大学院生)お世話になった先生が日立と技術指導契約をされているということもあって、ご縁もあったのだと思います。

川口 : 現在、同志社大学の准教授をされている先生で、環境音認識の分野での第一人者といっても過言でない方です。研究全般で諸々の技術相談をさせていただいていて、インターン生の研究内容についてもアドバイスをいただいています。

――なるほど。では、岡本さんの研究内容について教えてください。

岡本 : 複数の音が混ざり合った環境音の中から、特定のある1音のみを抽出する「環境音抽出」という技術に取り組みました。
世の中には様々な環境音があって、データベースとして整備されているものも複数あります。ただ、それらのデータベースの中に目的とする環境音がない場合もあるので、ネット上などにある膨大な環境音データの中から目的の環境音のみを分離・抽出できるようにする技術になります。

従来手法で使用していた音響イベントの代わりに、「擬音語」(例えば風であれば「ビュービュー」など)を使用した環境音の抽出手法を提案。U-Netと呼ばれる深層学習モデルをベースとした手法となっており、全部で5つの処理フローとなっている。STEP1:擬音語と混合音をそれぞれEncoderに入力し特徴マップを獲得、STEP2:特徴マップをチャネル方向に連結しDecoderに入力、STEP3:Decoderにより擬音語で指定した環境音のみを残すような時間周波数ソフトマスクを推定、STEP4:時間周波数ソフトマスクと混合音の要素積を求め環境音のスペクトログラムを抽出、STEP5:スペクトログラムを時間波形に変換して擬音語で指定した環境音のみを得る。詳細はこちらのQiita記事を参照

岡本 : 川口さんや堀口さんをはじめ、多くの方からアドバイスをいただけたこともあり、こちらの研究成果はICASSP2022*¹に採択されました。

*¹ ICASSP(International Conference on Acoustics, Speech, and Signal Processing):音声・音響信号処理、機械学習分野におけるトップカンファレンス

――素晴らしい成果ですね!ちなみに、どんな助言をもらったのですか?

岡本 : 提案手法のシステムを構築するところや、擬音語を使って具体的にどのようなシステムにするのかという、研究の根幹になる部分をガッツリと議論させていただきました。

川口 : 評価の部分も結構議論した気がしますね。「擬音語の指示どおりに音が抽出できた」というのをどうやって評価するかが非常に難しかったので。

岡本 : そうですね。日々様々な相談をさせてもらいました。
それこそ担当メンターの方には、例えば研究部分以外でも産業への応用シーンについてのヒントをいただきましたし、3週間という短期間である程度の形に持っていくという経験は初めてだったため、スケジュールの組み方についてもアドバイスしていただきました。
大学の研究ではスケジュールをそこまで細かく詰めたことがなかったのですが、企業だとそうもいかないということを痛感しましたね(笑)

オンラインなので学業との両立も問題なし

――インターンシップを受け入れるにあたって面談をされると思うのですが、どなたが岡本さんを担当されたのですか?

川口 : 私です。本人を前にしてあれですけど、真面目に考えていますよね。しっかりと勉強して研究されているし、足りない情報があってもその場で推論して自分なりの考えで答えることもできる。妥当な推論に基づいて導く力があると感じて、それは面接テクニックでどうにかできる部分ではないので、いいなと思いました。

――日立の長期インターンシップに参加されての岡本さんの感想はいかがですか?

岡本 : 先ほど少しお伝えしましたが、担当メンター以外でも同じユニットの方がガッツリと議論してくださるので、そこはとてもありがたいです。皆さん、分野やバックグラウンドが全然違っていて、大学では接しないような方々ばかりなので新鮮ですね。
また、いま参加している長期インターンシップはオンラインでの実施なので、それも学業との両立という観点で助かっています。

川口 : そこは僕たちもいいと思っている部分ですね。他のユニットやチームではハイブリッドでの実施のところもありますが、うちは完全オンラインで実施しています。オンラインだからと言って研究が何か滞るわけでもなく、大学研究室の研究も続けながら長期インターンシップもできるので、学生の方にとっては負担が少なく参加できるのではないかと思います。

――完全オンライン実施の他に、川口さんと堀口さんが長期インターンシップ受け入れをするにあたって工夫されていることがあれば教えてください。

堀口 : 長期に限定せず短期でもそうなのですが、基本的には社員に接するのとあまり変わらないコミュニケーションにしています。インターン生もみんな研究者だと思っているので、良くも悪くも思ったことを伝えています。

川口 : 私も、コミュニケーションにおいてはインターン生だからというのは考えていないですね。
とはいえ細かい話ですが、全部が全部社員と同じように、というわけにもいかないのも事実です。
やはり社員になると、それなりに研究以外でもやらなければいけないことがあります。それをどこまでやってもらうかの線引きは悩みますね。

堀口 : 必ずしも良いところばかりではない部分もありますからね。

川口 : そうそう。そういう部分を見せなさすぎるのも疎外感があるよね、とも思いますし。いずれにしても、最後まで自分で責任を持ってやってほしい、という思いで受け入れています。

日立の長期インターンシップは、なによりモチベーションが上がる

――長期インターンシップへの参加前後で、日立製作所の印象は変わりましたか?

岡本 : 基本的にオンライン実施なので、正直なところ職場の雰囲気は分からない部分もあるかと思います。
ただ、インターンシップ前は日立の環境音周りの研究内容についてばかりキャッチしていたので、それしか見えていなかったのですが、実際にユニットの一員になったら「異常検知だけじゃなくって、こんな研究もやっているのだ」という発見が多くあり、そこは印象がだいぶ変わりましたね。

――長期インターンシップを受け入れる立場として、やって良かったと感じることがあれば教えてください。

川口 : 冒頭でもお伝えしたとおり、これまでも短期では受け入れていましたが、最後の成果まで持っていくのが難しかったのが課題で、学生さんも歯がゆく感じている部分があったと思います。長期インターンシップの実施によって、国際会議の発表などにもつながったのは良かったなと感じます。

堀口 : 私がメンターしていた学生さんは2022年2月まで長期インターンシップをしていたのですが、その方も論文を投稿して無事に採択されていたので、そういう成果につながるのはいいなと改めて思いました。岡本さんに至っては、海外に行って発表することまで実現しましたからね。

岡本 : 今までも何本か国際学会の論文は書いていましたが、ICASSPは今回初めてで、音響系の中ではトップカンファレンスなのでチャレンジできたのはすごく良い経験になりました。全体の構成も然り、細かい書き方も堀口さんにご指導いただいたので、非常にありがたかったです。

――今後の岡本さんの長期インターンシップでの目標はいかがでしょうか?

岡本 : 先ほどのチャレンジ研究について、論文にすることを目標にしています。また中長期的な話になりますが、自分が研究開発した技術を使って、実際に世に出るプロダクトに仕立てていきたいとも考えています。

――それでは最後に、これからインターンシップに参加する学生の方に向けて、それぞれメッセージをお願いします!

堀口 : インターン生とお話をしていると、皆さん純粋な視点で研究に向き合っているので、こちらも新鮮な気持ちになります。なので、主体的に物事を進めてくれる方だと、こちらもより楽しくやりとりができていいなと思います。

川口 : たしかに、インターン生との会話って楽しいんですよね。社員との会話とは違った楽しさがあります。ピュアな技術の話ができるのが面白く、非常に知的好奇心を満たしてくれます。インターン生にとっても、大学で扱うテーマとはまた違った環境で研究ができるので、そういうところに魅力を感じてくれる方だと、お互いにとっていいことかなと思います。

岡本 : やはり環境を変えて研究できていることがいいなと長期インターンシップをやってみて思いました。ずっと大学で研究をしているだけでは見えてこないこともあるので、いかに普段意識していないことに意識を向けるかが大事です。なによりモチベーションが上がるし、研究の方向性を見直すときにも良い経験になっているので、ぜひ参加してみてください!

編集後記

今回、現役の学生の方にじっくりとお話を伺ったのですが、非常に研究のレベルも高く、長期インターンシップの成果である論文がトップカンファレンスで採択されたのは納得でした。とはいえ、その能力を発揮できる環境が整備されているか否かは大きなポイントです。インタビューでもお話があった通り、社員とインターン生で分け隔てなくコミュニケーションすることは大前提であり、かつ重要なことだと感じました。早い段階で刺激的な職場環境を体験したい学生の方は、ぜひ日立の長期インターンシップに挑戦してみると良いと思いました。

取材/文:長岡 武司
撮影:平舘 平


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