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到達率99%は驚異の高さ!プログラマブルなSMS送信サービス「Karaden SMS API」

テクノロジーの発達に付随して、顧客とのコミュニケーションチャネルがますます多様化しており、企業として設計すべきコミュニケーション戦略もさらに重要になってきています。

中でもSMS(ショートメッセージサービス)は、根強い人気を誇るチャネルの一つと言えるでしょう。ユーザーの着眼率や開封率が高いことから、SMSを活用した施策へのニーズは年々高まっている印象です。実際、企業向け国内SMS送信サービスの送信数は、2021年度で25.9億通。また2026年度までの年平均予想成長率は140.3%と、高い需要拡大が見込まれています。

今回は、プログラマブルなSMS送信サービス「Karaden SMS API」を提供するNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社にお話を伺いました。2023年5月18日より提供開始されたKaraden SMS APIでは、NTTグループの中でも先進的なサービス設計がなされており、実に多様なユースケースがあるとのこと。

具体的にどのような工夫がなされていて、どのような導入事例があるのか。長年同社にてメッセージサービス事業の企画/運用/開発を手がけてきたメンバー2名に聞きました。

プロフィール

黒田 和宏(くろだ かずひろ)
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
ビジネスメッセージ・サービス部 部長
2005年、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社に入社。コンシューマー向けISPサービス「OCN」関連事業の企画立案、人事での若手育成担当を経て、2016年に現在のNTTコム オンラインに着任。メッセージサービス事業の責任者として、「空電プッシュ」及び「Karaden SMS API」事業を牽引している。

 

岩水 堅治(いわみず けんじ)
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
ビジネスメッセージ・サービス部 担当部長
1996年、日本電信電話株式会社(NTT)に入社。エンジニアとしてNTTの通信設備のメンテナンスなどに関わったあと、インターネット関連ビジネスの企画・構築・運用に関わる部署に配属。2015年にはグループ会社間での「空電プッシュ」事業の移管に伴い現在の部署に所属し、サービス企画・運営、および各種開発の進捗管理などを担当している。

プログラマブルな形でのSMS送信APIとしてサービス設計

――まずは「Karaden SMS API」のサービス概要を教えてください。

黒田:端的にお伝えすると、セルフオンボーディング型のSMS送信サービスです。特徴としては大きく2つの側面があると考えています。まず一つは、当社が以前からご提供している「空電プッシュ」というSMS送信サービスで培ってきたノウハウを引き継いでいて、高い到達率や大容量での高速配信、なりすましの防止対策などに強いサービスになっていることが挙げられます。

――「Karaden SMS API」も「空電プッシュ」も、両方ともSMS送信サービスですが、なぜサービスを分けてご提供することになったのでしょうか?

黒田:当社で「空電プッシュ」を提供開始したのが2015年(※)でして、その頃と比較すると、特に昨今では「APIを使ってSMS送信をしたい」というシステム連携のニーズが高まっていると言えます。

よりエンジニアの方々にとって簡単で使いやすい形態でのサービスをご提供する必要があると考えて、プログラマブルな形でSMS送信APIをご提供できるよう、「空電プッシュ」をSMS送信基盤として連携する新しいAPIプラットフォームをご提供するに至りました。

また中長期的にはSMS送信サービスに限定せず、いわゆるグローバルでも主流になりつつある「CPaaS(Communications Platform as a Service)」として電話やLINE、WebRTCなどの様々なチャネルにも対応したいという思いもあります。だからこそ、サービス名もローマ字にしてリブランディングする形で、SMS送信に特化した「空電プッシュ」とは分ける形にしました。

※2015年7月1日より、株式会社エヌ・ティ・ティメディアクロス(当時)からNTTコム オンラインへと「空電プッシュ」および「空電」事業の譲受が行われ、国内最大級のSMS送信サービスとして提供開始された

――なるほど。「プログラマブルな形でのSMS送信APIの提供」とは、具体的にどのようなことでしょうか?

黒田:エンジニアフレンドリーで、いわゆるローコード、かつ、セルフオンボーディング型であるという意味合いで「プログラマブル」と表現しています。

具体的には大きく以下の4点です。お客さまはすぐにサービストライアルを始めることができ、採用したいと思ったらWeb上で契約の申し込みや開通依頼を出すことが可能です。つまり営業スタッフなどが介在することなく、すぐに利用開始できるようになっています。

黒田:ライブラリやAPIドキュメントとしてはPython、PHP、Java、Node.js、Rubyの主要な言語、さらにLinuxコマンドラインのcURLをご用意しています。

岩水:基本的にはAPI仕様に沿ってプログラミングをしていただき、システム間接続をします。こちらにあるようにダッシュボード上でサンプルコードを表示しています。これをコピペしていただき、お客さま側で実装してもらえるようになっています。

岩水:いわゆるローコード系のサービスだとこの形式が一般的だとは思うのですが、「空電プッシュ」だとこれができていませんでした。API仕様書を渡してプログラミングしていただくという形でご提供していたので、エンジニアの皆さまも試行錯誤がありました。

今回の「Karaden SMS API」ではそうではなく、画面に表示されたサンプルコードをコピペしていただき、かつGitHub上にライブラリも公開しているので、手間なくコーディングしてすぐにSMS送信していただけるようになっています。

黒田:また、「日本語サポートがある」という点は当たり前に思われるかもしれませんが、「Karaden SMS API」のようなセルフオンボーディング型のSMS送信サービスでは、日本国内ではほぼ初の提供だと思っています。現時点で提供されているセルフオンボーディング型SMS送信サービスの多くは外資系なので、どうしてもマニュアルやカスタマーサポートの対応が英語ベースになっています。そのような中で我々のサポートは日本語ベースのため、より迅速にご対応できると考えています。

SMSの到達率99%という数字のすごさ

――先ほど「高い到達率を誇る」とおっしゃっていましたが、一般的に、ショートメッセージが到達しないこともあるんですね。

黒田:そうなんです。SMS送信サービスには大きく2種類、海外系の主なサービスで採用されている「国際網接続」方式のものと、国内主要サービスで採用されている「国内直収接続」方式のものがあり、どちらを使っているのかによって到達率が変わってきます。

国際網接続では海外のサーバーを経由するため、ホップ数(経由するルーター総数)が非常に多くなることがあり、そうすると途中でロストすることがあります。最終的な到達率としては80〜90%程度と言われています。

――そういえば、とある海外発SNSの復旧用にSMSの送信手続きをしたはずなのに全然届かなかったことがありました。そのような理由だったのですね。

黒田:一方、国内直収接続では、ドコモなどの携帯キャリアに直接接続してSMSを送信するため、国際網接続と比べて安定しています。特に我々の「Karaden SMS API」では、「空電プッシュ」で培ってきた正確なキャリア判定と通信を最適化する技術によって、到達率99%を誇っています

――なるほど。NTTグループだからこその強みが発揮されていますね。

黒田:サービスを選んでもらえる理由は、技術面はもちろん、NTTというブランドを持っていることも大きいと感じています。例えば「Karaden SMS API」のエンドユーザーには自治体もいらっしゃるのですが、選定理由として、開発のしやすさや価格以外に、NTTが提供しているという一種の安心感もあると伺っています。

岩水:そもそも「空電プッシュ」が、SMSアグリゲーターとしては老舗の部類に入るサービスです。長年継続して提供しているため、信頼性の醸成に寄与していると感じています。

――セルフオンボーディング型で営業スタッフの介在がないということですが、お客さまからのフィードバックとしてはいかがでしょうか?

岩水:プログラムの中身に関するお問い合わせはほぼないですね。先ほどお伝えしたサンプルコードを出すことによって、お客さま側での試行錯誤は相当軽減されたと思います。そのため、今どきのプログラマブルなサービスを実現できているかなと思います。

黒田:とはいえ、設定のチュートリアル的なところまでは実現できていないので、そのあたりのプロダクトツアー組み込みは、今後のToDoの一つと捉えています。

――機能追加や改善のスピード感に関してはいかがでしょうか?

岩水:NTTと聞くと、機能追加までに相当な時間がかかると思われることがあるのですが、毎月何かしらの機能をリリースするようなスピード感で、ご要望などに対応しています

今年(2023年)5月のリリース時点では、サンプルコードのプログラミング言語はPHP、Java、Pythonしか対応していなかったのですが、お客さまからのご要望により、Node.js、Ruby、cURLにも対応しました。今後もご要望に応じて対応言語を増やしていきたいと思います。このようにスピード感に関しては、いわゆるスタートアップと同等の速度を意識して対応しています。

SMS認証から被災時の連絡業務まで、多種多様なユースケースあり

――ユーザー属性はどうでしょうか?

黒田:主に中規模以上の企業さまを想定してサービス設計してはいるものの、実際には想像以上にSMB企業からのニーズやお申込が増えています。クレジットカード対応によって、このような多様な顧客層にも訴求できているのかなと感じています。

――お客さまとしては、特にどのポイントが評価されて選定されることが多い印象ですか?

黒田:個人的には、すぐにトライアルができる点が、一番響いているかなと思っています。岩水さん、いかがですか?

岩水:そうですね。例えば当サービスでは地域に根ざした地場のSIerさまからお問い合わせいただくことも多いのですが、往々にして開発や導入を急がれているケースが多い印象です。そのような中、これまでの「空電プッシュ」だと営業スタッフが電話などで対応して、紙の申込書やPDFマニュアルを使って案内をするなど結構アナログな対応をしていたので、どうしても時間がかかってしまっていました。

今回リリースした「Karaden SMS API」だと、すぐに検証・開発フェーズに入ることができるので、早め早めに動きたいお客さまには特に、トライアルの提供がありがたいと感じていただけていると思います

――導入事例も教えてください。

黒田:もともと私たちが想定した使い方として、いわゆるSMS認証があります。そのような使い方をされて効果が出ているケースの一つをお伝えしますと、エンドユーザーがアカウント発行をする際の本人確認の一環として携帯電話の所持認証で当社サービスをご利用いただいています。もともとは海外製SMS送信サービスを使われていたのですが、先ほどお伝えした到達率に課題があり、本人認証をしようとしたエンドユーザーに二度手間を掛けさせたり、不安にさせたりすることがある状況でした。

UX改善のためにも、到達率の高いサービスを採用する必要があったことから、当サービスへと切り替えていただき、他の施策も合わせて改善を進めた結果、導入年度のアカウント作成における離脱率を3%改善することができました。

――なるほど。本人確認における当人認証手段としてSMSを利用するケースは多いですからね。他にはどのような事例がありますか?

黒田:ある引越事業会社さまには、見積もりのために自宅へ伺う訪問時間のリマインドを自動送信する用途でご利用いただいています。ご利用前は、予約をされたお客さまが訪問時間を忘れて当日不在にしてしまうトラブルが時折発生したり、営業所によっては前日に架電でリマインドを行ったりしていました。弊社のサービスを導入いただきリマインドを自動送信すると、訪問時不在のトラブルが解消し、前日のアポイントメントのためにかけていた4,400時間ほどの業務が軽減されました。

他にも損害保険会社さま向けに、被災時の連絡業務の自動化を行いました。それまで画像をアップロードするためのURLを手作業で通知していたのですが、自動化したことでコピペミスなどがなくなり、作業時間を従来の10分の1程度に低減させられるようになりました。

また、病院での診療待ちの呼び出しや、飲食店での予約管理の連絡、ECサイトにおけるかご落ち対策や不動産企業における内見予約のリマインダーなど、多種多様な業界のお客さまに活用いただいています。

初期費用・月額費用が無料で、かつSMS送信1通あたり税込10円という価格設定もあり、様々な業種業態での引き合いが増えている

――様々なユースケースがあるのですね。今後どのような企業に、特に「Karaden SMS API」を使用してほしいと考えていますか?

黒田:もともと僕らはIT系で47%、金融系で40%のシェアがあるので、引き続きそこでの強みを発揮したい、というのが基本路線です。一方でそれ以外ではまだまだ開拓の余地が大いにあると思っています。

今まで導入に結び付かなかった要因の一つが価格面だと捉えています。今回、初期費用・月額費用が無料で、SMS送信1通あたり10円(税込)という、業界的にも安価な価格設定にしているので、ゲームを含むアプリ開発事業や人材派遣業、不動産業など、他業界にも注力していきたいと考えています。いずれにしても、SMSのシステム組み込みをしたいお客さまに対して、一つでも多くご提供したいところです。

CPaaS化を進めつつ、SMS機能強化も加速させる

――「Karaden SMS API」の今後の展望を教えてください。

黒田:先ほどもお伝えしたとおり、メッセージチャネルを増やしてサービスをCPaaSへと昇華させていくチャレンジは、今後の中長期的なミッションと捉えています。海外でCPaaSの流れが進んでいる中で、日本でもマルチチャネルをシームレスに使っていただく世界へのニーズは徐々に高まっていくと考えているので、プロダクトとしてCPaaSへと向かっていくのは必然かなと思っています。

そうは言ってもSMSの部分でまだまだ強化できるポイントがあると思っているので、まずは「空電プッシュ」でできて「Karaden SMS API」でできないことを無くしていき、またプロダクトツアーの組み込みやお客さまへの情報提供も強化していきたいと考えています。

――ありがとうございます。それでは最後に、読者の皆さまに一言ずつお願いします。

岩水:今回の「Karaden SMS API」で採用しているようなライブラリ公開やクレジットカード決済といった現代風なやり方を採用しているケースは、BtoB向けサービスとしてはNTTグループ内でもレアだと感じています。「良い意味でNTTグループらしくない」部分も、加えて知っていただけると嬉しいなと思います。

黒田:繰り返しになりますが、自分たちでも「こんなに良いサービスができたんだ」と思えるくらいに、エンジニアフレンドリーなサービスになったと思っています。まだまだ改善点も多いですが、SMSを組み込みたいと思っている方には非常に使いやすくなっているという自負がありますので、ぜひ、まずはトライアルで触ってみていただいて、プロダクトマネジメントの観点でも見ていただけると嬉しいなと思います。

編集後記

セルフオンボーディング型のSMS送信サービスの国内競合はどこか?というご質問に対して、実は国内の主要どころでは初の試みだと教えていただきました。たしかに取材後に調べてみましたが、いわゆるセルフオンボーディング型でのサービス提供は、海外製品ばかりという状況で、そういった先進的な取り組みをNTTグループが実施したというのは岩水さんがおっしゃるとおり非常にユニークな事業開発事例と言えそうです。価格面でも導入スピードの面でもユーザー属性を問わない作りになっていると感じるので、SMSチャネルを強化したいという事業者は、まずはトライアルで使ってみてはいかがでしょう。

取材/文:長岡 武司

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