Dear Great Hackers

  1. インタビュー
  1. タイアップ

日立のエンジニアライフの実態とは?超エンジニアドリブンな、OSSセンタのワークスタイルに迫る。

社会の共有財産として、コミュニティドリブンな貢献によって進化してきたオープンソースソフトウェア(以下、OSS)。デジタル分野での先進機能はOSSによって実現されるケースが増えており、企業においても先進的な技術によるメリットを享受するためにOSSが広く活用されています。

そんなOSS活動に、1990年代より積極的に参加してきたのが日立製作所です。同社は、メインフレーム時代からの豊富なプラットフォーム開発と顧客サポートの経験を活かして、Linuxカーネルの強化をはじめ、様々なOSSコミュニティに貢献してきました。

さらに2015年には、「OSSソリューションセンタ」というオープンソースに特化した組織も設置し、ソリューションの提供のみならず、OSSコミュニティや標準化活動への参加を通じて、OSSとその関連技術やコンプライアンスの発展や普及に貢献し続けています。

今回は、日立が取り組むOSS活動に携わるメンバー2名にお話を伺いました。OSS選定のやりがいや面白さから、日立のソフトウェア開発の変化まで、ざっくばらんなテーマのインタビューとなりました。

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プロフィール

茂木 昂士(もぎ たかし)
株式会社日立製作所
Software CoE OSSソリューションセンタ
2012年、日立製作所に入社。大学院までは一貫して情報工学を専攻。ソフトウェアエンジニアとしてストレージやサーバの管理ソフトウェア開発に従事した後、2017年にOSSソリューションセンタに異動。主にアイデンティティー管理OSSやAPI管理OSSの検証、導入支援などのサポート業務を担当。2021年より企画グループに移り、現在はサポートするソフトウェアを探す役割を担う。

 

上野 里奈(うえの りな)
株式会社日立製作所
研究開発グループ デジタルPFイノベーションセンタ サービスコンピューティング研究部
2019年、日立製作所に入社。大学では情報理工学にてメディア情報研究を専攻、大学院ではAuto-IDラボラトリ(慶應義塾大学村井純研究室所属の研究グループ)にて物品管理システムの開発および画像処理による個体識別について研究する。入社後は研究開発グループにて、様々なサービスやOSSを活用して新しいサービスを創生・開発・運用するための技術の研究開発を担当している。

ソリューション提供と開発コミュニティの両軸で貢献

――まずはおふたりの日々の業務内容を教えてください。

茂木 : Software CoE OSSソリューションセンタという、OSS活用推進やOSSコミュニティ活動などを行う組織に所属していて、主にOSSの探索をしています。

日々新しいソフトウェアが出てくるので、それらをチェックしながら、実際にお客さまと接するSEに向けて、発信やサポートをする役割です。
OSSソリューションセンタは、日立の中でOSSに関してはここに聞けば良い、という部署になります。

上野 : 私は研究開発グループのサービスコンピューティング研究部という、サービスコンピューティングを支えるアーキテクチャやプラットフォーム、開発・運用技術、OSSの研究開発を行う部署に所属しています。この部署ではLumada関連の研究開発をやっている方が多くいます。Lumadaとは、お客さまのデータから価値を創出し、デジタルトランスフォーメーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション/サービス/テクノロジーの総称です。私は今年の4月よりOSSの研究開発するテーマのグループに加わり、OSSソリューションセンタと連携してOSSを活用した新サービスのための研究開発に取り組み始めたので、茂木さんの所属するチームとよくやりとりをしています。

茂木 : 日立の事業で活用するOSSは継続して探索していかなければならないのですが、そのような新しいものの先行検証の部分では、研究所にも協力してもらっています。

――なるほど。日立のOSS関連事業についても教えてください。

茂木 : 導入から設計/構築、運用/保守まで、様々なフェーズにおけるOSS活用をサポートするソリューションを提供しています。また、OSSの開発コミュニティや標準化活動にも積極的に貢献するようにしています。

茂木 : 私が前にやっていたKeycloakの話になるのですが、うちのチームの方で乗松さんという方がいます。乗松さんは金融系で必要とされるFAPI(Financial-grade API:ファピ)というセキュアな仕様に準拠した機能を実装する、FAPI-SIGというプロジェクトのメンテナーなのですが、OSSを開発した成果をコミュニティのカンファレンスなどで発表することで専門家として広く知られ、社外へのアピールにつながっています。

――例えばKeycloak関連ですと、どんなご相談がクライアントからあるのでしょうか?

茂木 : 例えば金融機関だと、金融商品取引法の改正でAPIを更改する必要があった際にKeycloakを使ってAPIを提供する基盤を作るなど、設計の支援を担当しました。先に述べたFAPIに準拠している点などを強みとして提案しています。

結局は、面白い(≒価値になる)かどうかが決め手

――素朴な疑問なのですが、扱うOSSって、どんな基準で決めているのですか?

茂木 : 今、そこでちょうど悩んでいるところです。
基本的には、できるだけ広く使ってもらうものでなければいけないのですが、ビジネスにおいて実際に組む人が本当に必要なものか、ライセンスは問題ないかなどについても悩むわけです。

――悩んだ結果、最終的にはどうされているのですか?

茂木 : 結局は「面白そうだよね」が決め手かもしれません(笑)

――いいですね(笑)最近「面白い」と感じたOSSはありますか?

茂木 : 最近見ているものだと、ポリシー管理ツールである、「Open Policy Agent(OPA)」が面白いですね。Kubernetesの設定検証などによく使われるものですが、APIアクセスの認証認可の検証で使えばAPI Gatewayの処理から認可処理をOPAに分離できるため、異なる種類のAPI Gatewayで認可制御のロジックを再利用できるなどのメリットがあります。

――面白いですね!新しいOSSを取り入れる際に難しいなと思われるポイントはありますか?

茂木 : 新しいOSSを見つけたとして、それの継続性ですね。ライセンスなどの観点含め、果たして会社の中で使っていって良いものなのか、コミュニティの開発が止まってしまわないか。技術のトレンドは移り変わりが早いし、人の育成も必要だし、お金もかかる話なので、ちゃんと継続して使えるものになるのか、価値を生み出せるものなのか判断は、本当に難しいところです。

――なるほど、そこを読むのは至難の技ですね。上野さんは、4月にOSS関連テーマを変更されたばかりだと思いますが、元々はどんな研究をされていたのでしょうか?

上野 : API連携を容易化するためのAPI開発基盤の研究開発のテーマの中で、OAuth 2.0を使った認証認可の実装を容易化する方式について研究をしていました。

――テーマ変更後に「難しいな」と思うのは、どんなときでしょうか?

上野 : 配属される研究テーマによりますが、本テーマは事業部門から伺った話をもとに研究を進めていくため、お客さまから直接お話を伺う機会は限られます。なので、しっかりとお客さまのニーズを捉えるという部分は難しさを感じますし、自分でも積極的にミートアップとかに参加して市場調査をするようにしています。

日立のソフトウェア開発はどう変化しているのか

――おふたりの、OSSに対して抱いている率直な思いや考えを教えてください。

茂木 : OSSなので、やっぱりみんなで集まってワイワイとプログラミングをやってるような楽しさはあってほしいというのが、正直な思いです。私も、パッチを書いて出すなど、新しいOSSにチャレンジしていく活動は楽しいので、そういうところはあってほしいかなと。

上野 : 本当にその通りですよね。
仕事を堅実にやることももちろん必要だと思いますが、好きなことや趣味だから楽しいと感じながらやっていくことも研究開発においてはすごく大事だと思います。
最新の技術を学んでいくのって、トレンドが早いので常に追っていかないとすぐに置いていかれます。

なので、自分で社外の勉強会やミートアップに参加したり、そこで学んだことを社内勉強会などで会社にフィードバックしたりしています。
会社の中だけで完結しないというのは、研究開発の良いところだし、OSSの良いところだと思います。

――勉強会やカンファレンスって、会社としても参加を積極的に推進しているのですか?

茂木 : うちの部署は業務扱いです。海外のカンファレンスを聞きに行ったりだとか、プレゼンターとして発表しにいくことも多いです。

上野 : 研究開発グループでも、コントリビューション活動やミートアップでの発表は業務扱いとされおり、数値化され成果として認められています。

茂木 : 仕事の方が、趣味に寄ってきた感じですね。かつてはQiitaのOrganizationを立ち上げた際は「社外寄稿」という括りでなんとかやっていました。ソフトウェアエンジニアをやっていると、発信するのは普通なことなので、ソフトウェアエンジニアらしい活動ができるようになってきたのは、すごく良い変化だなと思います。

――この辺りの「日立の変化」という観点でのお話、面白いですね。それこそ最近ではLumadaに注力されているわけですが、今年で9年目になる茂木さんから見て、どんな変化を感じられていますか?

茂木 : 私が入社した頃と全然違いますね。
先ほどのアウトプット文化以外にも、ソフトウェアの作り方についても変わってきたなと感じています。私が最初に入ったところは、アジャイルに近い開発に変えていこうとしていたタイミングだったのですが、ウォーターフォールで開発を行うところが圧倒的に多いという状況でした。現在はニーズに素早く対応するために様々なプロジェクトでアジャイルが採用されています。

長年日本を支えてきた「技術の軸」を変えることができる可能性

――日立でOSS関連事業に携わることの意義や醍醐味とは、なんだとお考えですか?

茂木 : 大きい案件に携われるのが良いですね。鉄道会社もあるし電力会社や大手金融機関もあります。そこにOSSが組み込まれて社会インフラとして動いていくことを実感できます。「ここの画面、Keycloakなんだ」って思うと、それだけで嬉しいですよね。

上野 : 日立って世界的にも大きい会社なので、「日本の技術の軸」みたいな印象があります。日本の技術を背負っているからこそ、自分たちがOSSのような新しい技術を取り入れることの必要性を発信したり、実際に取り入れていくことで、長年日本の工業や産業を支えてきた技術の軸を変えることができるかもしれない。そんなことを日々考えています。

――OSSという観点だと、どういう人に日立にジョインしてほしいですか?

茂木 : 新しい技術に興味を持っていて、かつ楽しいと思える人ですね。新しい技術をひたすら探していくので、楽しくないと辛いです。
あとは、コードが書けないと厳しいとかはもちろんありますが、お客さまのことも幅広く見れることが大事かなと思います。

――実際に今いらっしゃるチームメンバーで、面白いなと感じる方はどんな人でしょうか?

茂木 : やはり、先ほどお伝えした乗松さんですかね。
私より大分前に入社された方で、それまでOSSをあまりやったことがない方だったのですが、黙々とKeycloakに向き合うことで、ついにはメンテナーになってコミュニティの中でも信頼されているのは、すごいなと感じますね。

上野 : やりたいことに向き合っている人は、輝いていますね。楽しいことに没頭するのは純粋にいいなと思います。

日立にも「化け物」みたいなエンジニアがいる

茂木 : お話していて思い出したのですが、あともう1人いました。前の部署の上司なのですが、部長に上がるときに「コードを書いてていいのなら部長になるよ」って言って、部長になった人がいます。社員の私がコードを書いている目の前で、部長もコードを書いている。お互いにコードレビューもしてもらっていたんですよ。

――日立に、そういう方がいらっしゃるんですね!

茂木 : いるんですよ。「化け物」みたいなエンジニアが。連休の間だけで新しい技術を習得して、作ったものを公開したりしていましたね。ずっとガリガリガリガリとコードを書いていたいタイプです。日立でもそういう働き方が認められるって、ちょっと意外ですよね。

会社として、多様なキャリアという観点で、そういう人も増やそうとしているところがあります。私もそういうタイプなので、いいなと思っています。

――外部のカンファレンスとかでOSSを話す機会は多いと思うのですが、それを日立主催でやる予定はあるのでしょうか?

茂木 : まさにここからですね。Qiita Organizationを作ったときから、どんどんやっていこうかなと。

上野 : 研究開発グループでは結構やっていますね。Node-REDに詳しい外部の方を呼んだり、さまざまな企業の方を呼んだり。

茂木 : 例えば私のチームに「OSSセキュリティ技術の会」を主宰している方がいるのですが、もともとは趣味の団体だったんです。元々は仕事でやっていたSELinuxが趣味に転じて、SELinuxやOSSセキュリティ技術の普及活動を行っていました。そこで私もKeycloakのことを喋らせてもらったりして。そんな場を、もっと設けていけたらいいなと思います。

――せっかく素敵な社屋があるので、勉強会やテックイベントに活かせたらいいですね!最後に、読者の皆さまに向けたメッセージをお願いします!

上野 : 日立はそれなりに有名な会社なので、自分がやったことは全体から見たら小さいことかもしれませんが、確実に社会にインパクトを与えることができると思います。なおかつ、その中でOSSという新しい技術を取り入れていけるので、新しいことをやりながら社会に何かしらの足跡を残したい人には、すごくいい会社なのかなと思います。

茂木 : 日立は、外から見えるイメージと、中の実態がどんどんと大きく変わってきています。私自身、趣味が仕事になってきたみたいなところがあるので、楽しく仕事ができる環境だと思いますよ。

編集後記

「新しいOSSにチャレンジするのは楽しい」
インタビュー中に茂木さまが放ったこのOSSへの率直な言葉は、日立という会社がそのようなメンバーの思いをしっかりと許容して事業を推進していることを、よく表しているなと感じました。
未だに日立に対しては、ウォーターフォール的なイメージを持たれている方もいるかと思いますが、中身はかなり変わってきていると言えるでしょう。まさに、アジャイルにコードを書き、ニーズにスピーディに応えるものをリリースしていくような文化が、急速に形成されてきています。
社会的にインパクトのある領域の事業に関わりつつ、自分の好きな動き方をしたいという方には、もってこいの環境なのではないでしょうか。

取材/文:長岡武司
撮影:太田 善章


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