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「DevRel / 技術広報というキャリアとその醍醐味〜 開発者を支える入口 〜」Qiita Conference 2023 Autumnイベントレポート

2023年10月25日〜27日の3日にわたり、日本最大級*¹のエンジニアコミュニティ「Qiita」が開催するオンライン技術カンファレンス「Qiita Conference 2023 Autumn」がオンライン開催されました。
*¹「最大級」は、エンジニアが集うオンラインコミュニティを市場として、IT人材白書(2020年版)と当社登録会員数・UU数の比較をもとに表現しています

当日は、ゲストスピーカーによる基調講演や参加各社のスポンサーセッションを通じて技術的な挑戦や蓄積された知見等が共有され、登録参加者数も2,800名を超える盛況ぶり。

ここ最近、DevRel/技術広報を配置する企業が増えてきました。組織化していなくても、エンジニアがテックブログを執筆したり、社内勉強会を開催したり、イベントに登壇したり、X(Twitter)で情報発信をしたりといったケースもあるでしょう。これらはまさに、DevRel/技術広報が担う業務範囲です。

そんなDevRel/技術広報は、どのような役割を担っているのか。そして、現在のDevRel/技術広報における課題やそのキャリアは。今回は、ファインディ株式会社 (以下、ファインディ) DevRelチームリーダーの北川 雅士氏に「DevRel/技術広報というキャリアとその醍醐味〜 開発者を支える入口 〜」というテーマでお話しいただいた内容をお伝えします。

プロフィール

北川 雅士(きたがわ まさし)
ファインディ株式会社
DevRel チームリーダー
大手証券系シンクタンクにて金融系SIerとして6年半、リース会社基幹系システム、地銀向け投資信託のシステム開発に従事。その後、人事部にて新人研修なども経験し、ファインディ株式会社へ入社。 エンジニア向けキャリア面談を行うユーザーサクセスチームに約2年、昨年よりDevRelチームの立ち上げ、リーダーとしてイベントの開催や自社メディア「Findy Engineer Lab」の運営を行う。

エンジニアから「もっと人と向き合う仕事」へ

まずは簡単に自己紹介をいたします。現在ファインディにて、開発者を主なターゲットに関係構築活動を行う「DevRelチーム」のリーダーを務めています。元々はエンジニアでした。

私は大手証券系シンクタンクの金融系SIerで、エンジニアとしてのファーストキャリアをスタートさせました。入社してわずか半年で客先に常駐することになり、諸先輩方から「死ぬ気でくらいつけ」と言われながら、過酷な状況下で奮闘。その努力が実を結び、最終的には100人程度が参画するシステム開発プロジェクトのうち、サブシステムの1つのリーダーを任されるまでになりました。7〜8人のチームを回し、クライアントと同じオフィスで直接話しながら要件を決め、パートナー会社の方とともに開発を進めていました。

その後、エンジニアとして開発業務を行う傍ら、人事として新人研修も担当。約80名の新入社員のメンターや研修の企画・実施にも携わりました。これらの経験を経て、他の人と共同してスピーディに新しいものを作っていくことや誰かの仕事や成長をサポートすることが得意であり、好きだと気づきました

一方で金融向けシステムの開発では、一番業務量が多く負荷が高いと噂の部署に配属されました。自ら志願していたのですが、その部署では退職者が多く、また古き良き日本企業の体質でして、ウォーターフォール型でレビュー回数も多く、疲弊してしまって生き生きと働けない人が多かった印象がありました。そして私自身も楽しんで働くことはできませんでした。

私の見方にもよる部分もありますが、元気に入社した新入社員が、数年後には目の輝きが失われてしまうような環境でした。そのような状況を見ているうちに、エンジニアがもっと生き生きと働けるようなサポートができないかと考えるようになりました。

エンジニアにとって働きやすい環境は、採用から育成、組織づくりまで一貫してつながっていなければ実現できません。決して開発が嫌いなわけではありませんでしたが、それまでの経験を振り返って、もっと「人に向き合う仕事」の方が自分には合っているのではないかと思い、ファインディに転職することになりました。

DevRel/技術広報として取り組み約1年、イベント企画運営の面白さに気づいた

当時はまだファインディのなかにDevRelというチームがなく、私はエンジニアのキャリア向け面談を行いながら、月1回程度のイベントを企画・実施していました。兼務かつ1〜2名で回していたということもあり、どうしても納得のいくイベントを企画できず、回数も行えませんでした。基本的にはキャリアに関するイベントが多く、技術系のイベントは少なめ。きっと当時の私と同じような悩みを抱えているDevRelの方も多いのではないでしょうか。ファインディでは、納得のいくイベントを行うためにも、昨年(2022年)にDevRelの立ち上げを私ともう一人のメンバーで行うこととなりました。

DevRelとして様々な取り組みを続けて約1年が経ち、改めて気付いたのは「イベント企画運営の面白さ」です。イベントを通し、業界を超えて多くのエンジニアがつながり、技術や知見を共有し合いながら、自分自身もたくさんの刺激をもらっています。

もう1つ、大きな気付きがありました。それは、これまでのエンジニアとしての開発経験とイベント運営が非常に似ているということです。無理矢理当てはめる部分もありますが、例えばイベントのテーマを考え、登壇者を検討して調整を行う企画は「要件定義」に似ています。調査しながらイベントの内容を決め、構成やトークテーマを検討していく工程は「設計」、イベントページの作成やデザインは「開発」。OGP(Open Graph Protocol)確認や文言レビューを経てテストページをオープンし、イベントをSNSで拡散していくところは「リリース」。そして、イベントへの集客は「運用」の工程に似ていると言えます。

SIerのときは複数の案件を抱えながらアジャイル型で素早く回していました。イベント運営もその感覚に近いですね。同時並行で発想を切り替えながら、それぞれのタスクを進めていたこれまでの開発経験は無駄ではなかったと感じています。

今回、この登壇のお話をいただいてから約10名のDevRel/技術広報部門の担当者にヒアリングをしたところ、仕事内容がかなり細分化されていると、多くの人が話していました。DevRel/技術広報の業務を整理するとこちら(上図)の通りです。非常に幅広い専門分野をDevRel/技術広報部門担当者が担っていることが分かりますよね。イベントの企画実行やプロジェクトマネジメントをしたり、テックブログのようなコンテンツを作成したり。ポッドキャストやYouTubeで配信されている方もいるかと思います。これらを全て1人で行うのはかなり難しいでしょう。チーム内でメンバーの得意分野に合わせてタスクを振り分けていく必要があります。

私の場合、エンジニアのときからプロジェクトマネジメントをアジャイルで回してきたのでその領域との親和性が高く、現在も強みになっていると思います。自分が興味を持っていること、知りたいこと、面白いと感じることを日々模索してイベントとして企画していたら、イベント開催数は259回、平均申込数は330名、connpassメンバー数は16,000名と、自分でも驚くほど着実に実績が積み重なってきました。

エンジニアに「機会」を提供するDevRel/技術広報

続いてDevRel/技術広報のトレンドについてお話しします。そもそも、なぜ最近、DevRel/技術広報を設置する企業が増加し、注目されているのでしょうか。その背景として、各業界でエンジニア採用の競争が激化していることが挙げられるかなと思います。

市場全体でエンジニア不足が深刻化する中、ハイスキルなエンジニアと接触できる機会は減っています。そこでエンジニア向けに企業の魅力を発信したり、関係構築が課題となっており、開発環境や開発生産性、カルチャー、社内のエンジニアの働き方などの発信が大事になっているとみなさん感じられているようです。そして働くことでどのようなスキルが身につくのか、技術的な面白みはどんなところかなど、企業の魅力を訴求するために、新たにDevRel/技術広報という役職を作る企業が増加しているのかなと思います。

ところで最近X(Twitter)界隈では、タイミーのDevRel/技術広報をされている@r_kawamataが設立したコミュニティ「DevRel Guild」が話題を集め、設立からわずか2日で150名近くが参加しました。DevRel/技術広報担当者同士がフラットに情報交換できる場として、今後さらに盛り上がっていくことでしょう。

そんなDevRel/技術広報では、どんなキャリアの人がどのような役割を担っているのでしょうか。整理すると以下の通りです。

エンジニアの経験が直接生きる領域から、採用広報・人事・マネジメントといった別のキャリアが必要な領域まで、その役割は幅広いです。そしてDevRel/技術広報では「ひとり担当」が多いのが実情。私も最初は様々な役割を兼務していましたが、かなり大変でした。

次に、DevRel/技術広報が活動する目的を掘り下げてみます。まず、DevRel/技術広報は事業会社において、社外向けに発信していく部隊と社内向けに発信していく部隊と、大きく2つに分かれます。

社外向けに発信していく部隊としての役割は、テックブログの運営やオンライン/オフラインイベントの実施、カンファレンスの開催やスポンサー協賛などです。目的としては、主に新たなエンジニアの採用や企業の認知向上。先述した通り、エンジニアの人材不足が叫ばれる日本においては、こうした社外向けの発信を強化する目的でDevRel/技術広報チームを新設する企業が増えています。

一方、社内向けに発信していくDevRel/技術広報の役割としては、自社カンファレンスの開催や社内開発環境の整備、社内勉強会などが挙げられるでしょう。この目的は、社内エンジニアの発信増加による技術共有やコミュニケーションの活性化。結果として、社内の開発生産性の向上にもつながるかと思います。

特にメガベンチャーのDevRel/技術広報は、この「内向け」と「外向け」を意識し、使い分けて発信をしています。「内向け」と「外向け」の他に、自社プロダクトの認知拡大や利用者の増加を目的として、自社プロダクトのセミナー開催やコミュニティ運営を行っているケースもあります。アマゾン ウェブ サービス ジャパンやマイクロソフトなど、エンジニア向けのツールを提供している企業がこうした取り組みを行っているケースが多く、なかにはエバンジェリストのような役割を置いて積極的に情報を発信している企業も存在します。

DevRel/技術広報に共通するマインド

様々な役割を担うDevRel//技術広報の業務内容を、改めて見てみましょう。昨今におけるDevRel/技術広報の役割と目的は、こちら(上図)の通りです。

これらを全て1人で行うのは不可能です。しかし、やれること、やるべきことが多いからこそ、自分の得意分野を生かしながら様々なことに横断的に携われるチャンスがあるとも言えるでしょう。私であればプロジェクトマネジメントを回していた経験が、今活きています。

一方、海外ではDevRel/技術広報チームの仕事が細分化されているケースもあります。テクノロジーエバンジェリストやデベロッパーアドボケイト、コミュニティマネージャー、テクニカルライター、トランスレーター、マーケティングなどの専門職がDevRel/技術広報チームの中に存在し、彼らをマネージャーが取りまとめて動かすという感じです。

DevRel/技術広報の役割は国ごとに異なります。日本では先ほどからの話にある通り技術広報や採用文脈のDevRelが発達していますが、例えばエンジニア人口が多いインドでは、高スキルなキャリア人材の採用よりも、次世代の人材を育成・発掘するために学生向けのカンファレンスやイベントを多く開催しているようです。

日本の場合、DevRel/技術広報ではエンジニア出身の人材が一手にその役割を担っているのが現状です。エンジニアの中で物書きが得意な人がテクニカルライターとなり、様々な関係者を巻き込みながら計画を練り、プロダクトを作っていくことが得意な人がPdM、採用戦略やブランディング、育成に強みを持っている人がVPoEやCHROとして動いています。

そんなDevRel/技術広報で経験を積んだ先には、一体どのような未来が待っているのでしょうか。正直なところ、まだまだ新しい役割のため、一般的に考えられるような明確なキャリアパスは不明です。私自身も自分の適性から自然とDevRel/技術広報という役割にたどり着いたものの、次に何をやるのかは分かっていません。今後この領域に興味を持つ皆さんと一緒に先のキャリアを切り開いていきたいですね。

まだまだ未知の領域ですが、私がこれまでにたくさんのDevRel/技術広報担当者と関わる中で気付いた「DevRel/技術広報担当者に共通しているマインド」は次の2つです。

日頃から仕事のなかでこういった観点を大切にし、重きを置いている方はDevRel/技術広報の仕事にハマっていくはずです。

エンジニアの可能性を拡げるプラットフォームが必要

一般的なDevRel/技術広報の役割や目的、求められるスキルやキャリアについて、理解していただけたでしょうか。それらを踏まえて、私たちファインディにおけるDevRelのミッションについて、少しお話させてください。

ファインディは「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」を企業のビジョンとして掲げています。テクノロジーによる社会変革の時代に最も必要なことは、エンジニアの可能性を拡げること。ファインディは、アルゴリズムとヒューマニティの融合によって、すべてのエンジニアが不安なく挑戦できる世界共通のプラットフォームをつくっていきます。個人にチャンスをもたらし、組織の生産性を向上させ、社会の人材資産を好循環させる。エンジニアプラットフォームが、デジタル社会の発展を加速させ、多くの人の暮らしをさらに豊かにすると考えています。

現在ファインディが提供しているサービスは以下の通りです。

・Findy
ハイスキルなエンジニアと企業をマッチングする転職サービス。GitHubの開発履歴をもとにスキルと適正年収を可視化

・Findy Freelance
フリーランスエンジニア向けに高単価やリモートワークOKな案件の紹介を行うエージェントサービス

・Findy Team+
GitHubやGitLab、Jiraなどエンジニア向けツールを解析することで、 エンジニアリング組織の生産性を可視化するサービス

・Findy Global
ユーザーが3万名を突破する外国籍エンジニア採用プラットフォーム

そんなファインディのなかで、DevRelの役割について日々考えて導き出した答えは、「挑戦するエンジニアのプラットフォーム」への入り口となることです。

新しいことに挑戦しようとするエンジニアが、発見し、学び、出会える場所や機会、コンテンツを作っていきたい。直近の1年はオンラインイベントを特に集中して行い、同時に自社カンファレンスも開催してきました。

今後は、DevRelが運営するメディア「Findy Engineer Lab」にもさらに力を入れていきたいですし、配信する動画コンテンツのクオリティも上げたいと思っています。その他、オフラインイベントの開催やカンファレンスへのスポンサー参加、素敵なノベルティの制作など、様々な角度からのアプローチで皆さんにより良いものをお届けしたいです。

こうした取り組みにより、他の人がどのように開発をしているのか、開発手法やトレンドの「発見」や、最新の言語やツールの「学び」、同じ課題感を持つ人や、メディアにも登場していたあの人との「出会い」など、たくさんの機会を提供できるDevRelを目指します。

改めて、ファインディにおけるDevRelの役割や、エンジニアにもたらす価値をまとめると以下の通りです。

  • 新しい挑戦するための不安を取り除く
  • 新しい価値観に触れられる
  • 新しい仲間や知らない人に出会える
  • 新しい自分に出会える
  • 挑戦するための後押しとなる
  • ワクワク感、高揚感、安心感が味わえる

イメージはこの(上図)ような感じです。ファインディの強みは、エンジニアとのつながりが豊富にあること。エンジニアの組織や海外で活躍している開発系の新しいベンダーなど、多種多様な人や組織をつないでいくことが私たちのミッションです。

DevRelとしてやるべきタスクはたくさんありますが、これからも楽しみながら挑戦を続けていきます。私個人の目標としては、世界中のエンジニアが常に新しいことに挑戦し、生産性高く働ける土台をつくることです。

世界でエンジニアの人口が増えれば、彼らを支え、環境を整える人ももっと必要になる。現場で活躍するエンジニアの方には、DevRel/技術広報というキャリアがあることも頭の片隅に置いていていただけると嬉しいです。

最後に、ファインディでもDevRelとしてジョインしてくださる方を随時募集しています。ファインディのDevRelは、現状やりたいことがとても多く、頭の中で夢は広がっているものの、人手が足りずに追いついていない状態。仲間を募集しています。ぜひお気軽にご連絡ください。

質疑応答~遊んでいるように見られないためには?~

最後に、イベントのなかで参加者の方からのご質問にお答えしていきます。

――私もDevRel/技術広報として、開発者の体験をより良くしていくために、楽しさや働きがいをスローガンに業務をしています。一方で自分自身が楽しめることも大切だと思っていて、やりたいことを実行しているのですが、それが遊んでいるように捉えられてしまうことがあります。理解を得るための活動が甘いのでしょうか?

北川:エンジニアとして兼務で活躍するDevRel/技術広報担当者が活動内容の発信をしていくと、「開発もそっちのけで遊んでいる」と言われ、理解を得られないという悩みはたまに聞きます。解決策の第一歩としては、やはりDevRel/技術広報として関わる仲間を増やしていくということが大事だと思います。開発業務に取り組むだけでなく、「こういう会社・組織にしたい」というマインドをもつ人を見つけてDevRel/技術広報チームに参加してもらうのが近道かもしれません。特にCTOのような経営層の方が味方になるとDevRel/技術広報としての活動が進めやすくなるかなと思います。

――DevRel/技術広報の業務は情報過多になりませんか?

北川:確かに、キャッチアップしなければならない情報は非常に多いですね。私の場合はたくさんのイベントを企画するので、はてなブックマークやZendesk、Speaker Deck、X(Twitter)などを常にチェックしています。面白いテーマや技術については調べる性格なので、自分自身は苦ではありません。興味を持って深ぼることが大事だと思います。

――DevRel/技術広報はタスクの優先度を考えるのが大変ではないですか?

北川:優先度を考えて最適なコンテンツを提供していくために、「選択と集中」がとても大事だと思っています。DevRel/技術広報は発信の手段が多い分、選択肢がたくさんあります。そのなかで、まずは自分の得意なものを優先に進めるのが健全ではないでしょうか。自分が得意な分野や興味を持つ分野について、自分がやりやすい方法で発信し、必ずその振り返りをする。これを繰り返すことで、少しずつ選択肢も広がり、エンジニアのニーズに合わせた発信ができるようになると思います。

――DevRel/技術広報の人材を採用するにあたって一番重視している点を教えてください。

北川:エンジニアとしてのスキルよりも、開発領域や事業に対する興味や好奇心が強いことを重要視しています。面白そうだと思ったことを積極的にキャッチアップして、それを広めようとするマインドの強い人。エンジニアでなくても、そのような人の方がDevRel/技術広報として活躍してくれます。

――イベントを開催する際、テーマに対してアサインした登壇者から難色を示されたことはありませんか?

北川:それはイベントの企画でよくあることかもしれませんね。登壇者が乗り気になれないテーマ。これは残念ながら、企画の時点で失敗していると思います。登壇する方が本当に話したいことを発信し、参加者とのニーズもマッチする企画が理想的です。登壇者を選定する段階でその人のキャリアや経歴をよく調査し、そのうえでテーマを選定すればそうしたトラブルは回避できるはずです。

――マーケティングとDevRel/技術広報の業務の棲み分けについて、どのように考えていますか?

北川:確かにマーケティングとDevRel/技術広報の業務領域は似ていると思います。DevRel/技術広報としての活動がマーケティングの役割を担う場合も多分にあります。しかし、マーケティングとDevRel/技術広報では「目的」に違いがあります。マーケティングの目的は収集したデータをもとにKGI・KSF・KPIといった明確な指標を設定し、その目標を達成することです。対して、DevRel/技術広報の目的は数値を追いかけることではなく、有益な情報を発信しながら人や組織のつながりを作ることです。この目的が混同し、DevRel/技術広報で変に数値を意識してしまうと間違った方向に向かってしまうかもしれません。ファインディでは、そういった問題を防ぐために、マーケティングチームとDevRel/技術広報チームを別で置いています。

――北川さんが思い描くキャリアビジョンについて教えてください。

北川:現在は面白い企画をどんどんつくり、エンジニアにとって有益な情報を伝えることを自分自身のミッションにしています。一方で、元々ファインディでDevRel/技術広報を立ち上げたときの「組織づくりや育成を強化したい」という想いは今も忘れていません。今後はDevRel/技術広報の組織をさらに拡大しながら、情報発信だけでなく組織づくりや育成の分野でもさらに取り組みを強化していきたいです。

編集後記

エンジニア不足が叫ばれる昨今、労働者にとって魅力的な条件を提示することで人材確保に走る企業はよく見受けられます。そのなかで、エンジニアが長期的に働ける環境づくりには採用活動にとどまらず、一貫した人材育成や組織づくりが重要であると説く北川さんが非常に印象的でした。DevRel/技術広報の設置は、エンジニアが長く活躍できる組織づくりに必須の取り組みとなるでしょう。ファインディを含め、様々な企業のDevRel/技術広報がどのような活動を展開していくのか、これからも目が離せません。

文:ノーバジェット

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