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Podcast番組 | やめ太郎さんに、エンジニアの情報発信と個性について聞いてみた

『エンジニアストーリー by Qiita』は、「エンジニアを最高に幸せにする」というQiitaのミッションに基づき、エンジニアの皆さまに役立つヒントを発信していくPodcast番組(無料・登録不要)です。
毎回、日本で活躍するエンジニアの方々をゲストに迎え、キャリアやモチベーションに関するお話をしていただきます。

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今回の記事では、前回に続き、株式会社ゆめみの無職やめ太郎さん(以下、やめ太郎さん)をゲストにお迎えした2回目の配信模様をご紹介します。
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30代実務未経験からエンジニアとして新たなキャリアの道を歩むやめ太郎さんに、エンジニアの情報発信と個性についてお聞きしました。
関西型言語の技術記事に込められた記事構成の秘密や、アウトプットでの個性の出し方などについて語られています。技術記事を書いたことがある方や、より良い記事を書きたいと思っている方は是非ご覧ください!

【番組ホスト】

清野 隼史 / Qiita株式会社
内定者アルバイトを経て、2019年4月にIncrements株式会社(現 Qiita株式会社)へ新卒入社。Qiita Jobs開発チーム、Qiita開発チームでプロダクト開発や機能改善等を担当。2020年1月「Qiita」のプロダクトマネージャーに就任。

 

【出演者ゲスト】

無職やめ太郎(本名) / 株式会社ゆめみ
30歳からJavaScriptの勉強を始め、異業種からプログラマーに転身。2019年より株式会社ゆめみに所属。現在はコーポレート・エンジニアリングチームに所属し、社員向けWebサービスのフロントエンド開発を行っている。
関西型言語を駆使した技術記事をQiitaに投稿している。

テーマ「エンジニアの情報発信と個性〜やめ太郎さんと関西型言語〜」

清野:本日のゲストをご紹介します。株式会社ゆめみの無職やめ太郎(本名)さんです!

やめ太郎:皆さんこんにちは。無職やめ太郎です。よろしくお願いします。

清野:よろしくお願いします。今日はすごいノーマルですね(笑)

前回は、30代実務未経験から株式会社ゆめみに転職するまでの話をお伺いしました。今回は、「エンジニアの情報発信と個性」というテーマでいろいろお話ししていければと思っています。本当にやめ太郎さんは情報発信スタイルが物凄く個性的なので、その個性について詳しくお伺いしていきたいです!

独特な情報発信スタイル

清野:「個性」と聞いて最初に思い浮かぶのは、独特なQiita記事の書き方ですよね。
やめ太郎さんは関西型言語と自分でおっしゃっていると思うんですけど、あれはどういう経緯で書き始めたんですか?そもそも関西に住んでいらっしゃらないですよね?

やめ太郎:そうですね。僕は関西に住んだことはなくて、愛知県生まれ愛知県育ちなんです。
もともと奥さんが2chのまとめサイトが好きで、VIPPER速報みたいなサイトをよく読んでいました。その中で、2ch内では「猛虎弁」とか呼ばれている、語りをするスレみたいなのがあったんです。それは関西弁とはまた違うものらしく…

清野:初めて聞きました。

やめ太郎:「わいはなんとかやで~」みたいな、自分の人生の中の出来事をエセ関西弁みたいなもので、会話形式にして面白く紹介するみたいなのが結構バズってて。
素人の方が面白く書けるってことは、僕もこの形式なら書けそうだ!と思ったのがきっかけですね。
あとは、普段プログラミングの勉強してるときに記事とかを読んでいたんですけど、ストーリー仕立てで技術について説明したらより分かりやすくなるなと思っていました。

清野:なるほど。確かに結構技術記事って淡々としているというか…

やめ太郎:そうですね。要するに技術がこういうものですっていう記事が多いなって印象を自分の中では受けていました。それよりも、「実際にこういったものをプログラミングで作ろうと思っていて、作ろうとしてみたけれどもうまくいかない。だから、このライブラリや考え方を使ってみたら困り事が解決しました」っていう様を、そのままストーリー形式で書いたらものすごく分かりやすくなるんじゃないかなって思いました。

他にも、「この技術ってこういうときに役立つんだ」って気づいた内容を書くのではなく、困り始めてこれが使えるんじゃないか、この技術が使えて解決できたみたいな気づくに至ったプロセスを、会話形式でそのまま全て言語化すれば、読者の方も僕が気づくに至ったそのプロセスを追体験できるみたいな分かりやすい技術記事が書けるような気がしたんですよね。

清野:確かに、やめ太郎さんの記事のほとんどは課題発見から始まっていて、これをどうするの?みたいな形のストーリー形式で進んでいくみたいな構成になっていますね。
そういった独特な書き方でのアウトプット活動は、どういうモチベーションでやっていらっしゃったんですか?

やめ太郎:僕はもともと文章を書くのが苦手で、小学生の時の読書感想文も母に書いてもらっていました(笑)それぐらい文章を書くことが苦手だったので、プログラミングを勉強し始めてから5年くらいは記事を書こうなんてそもそも思いませんでした。

清野:でもそこから記事を書き始めたんですね。

やめ太郎:2chサイトの猛虎弁での会話形式みたいなものであれば、プロじゃない方々でも出来るんだから僕にも出来そうだなと思って、それから書けるようになりましたね。

アウトプット活動を始めた背景

清野:2chサイトの影響で、この表現であれば記事を書けると感じたのが大きなきっかけだと思うんですけど、そもそもなぜアウトプット活動を始めようって思ったんですか?

やめ太郎:たしかQiitaで記事を書き始めた時は、最初にHTMLコーダーとしてアルバイトしていた一社目の会社を既に辞めちゃってたんですよね。それで無職だったので、転職活動のために書き始めたっていう感じですね。その中で、2chサイトの方々を見てこれなら書けそうだと感じたのと、技術記事についてもっとこうだったらいいのになと思っていたものをかけ合わせて書き始めました。

清野:そうなんですね。転職のために他にしていたことはあるんですか?

やめ太郎:いや、Qiitaを書くことだけでしたね。その時は一社も応募していなかったです。

清野:そうなんですね。やめ太郎さんの記事は、文章の中で新しいキャラクターが増えていくじゃないですか。あれはどういうアイデアで出てきたものなんですか?

やめ太郎:そうですね。初めて記事を書いた時は、ただ分かりやすい記事を書きたいっていうだけだったのでふざけるつもりは特になかったんです。ですが、5行目ぐらいになったら結構ふざけたことを書き始めちゃっていました。主人公一人だけの記事を書くつもりだったんですけど、途中で社長というキャラが出てきてくれて、そこに対してやめ太郎が失敗して怒られるみたいな流れになると面白いな~とか、登場人物が何人かいた方がいいなと思っていたらどんどん増えていきましたね。

清野:やめ太郎さんは面白いことを考えるのが得意なんですね!

やめ太郎:そうですね。昔からふざけて怒られる子供でしたね。

発信することへの恐怖とネットの反応

清野:独特の文章や今までにないスタイルのアウトプットの仕方だと思うんですけど、アウトプットすることに対しての恐怖はなかったですか?

やめ太郎:そうですね。昔から僕の2chサイトでアンチとかいたので、あまり恐怖心はなかったです。21歳の時に、僕が好きなART-SCHOOLというバンドの曲をコピーして、mp3の音源を作ったら、2chサイトで物凄く受けてたんです。そしたら急に「新参者が人気者になっていてけしからん!」みたいな感じで、結構アンチっぽい反応をされて。スレッドにアスキーアートを何個も投稿して荒らしてくる人がいました。

清野:アンチに何かされるみたいなのには少し慣れていたということですか?

やめ太郎:そうなんです。

清野:2chサイトを読むだけじゃなくて、自分も発信する側で活動してらっしゃったんですね。

やめ太郎:そうですね。クリスマスはネットカフェで2chを見ていましたね。やっぱそういうのもあってプログラミングに興味持ったのかもしれないです。

清野:記事を投稿して注目度が上がっていくと、やっぱりアンチの方って絶対現れるとは思っていて、実際にそういった反応を受けたときはどんな気持ちでしたか?

やめ太郎:Qiitaに記事を書き始めて何個かバズったあたりで、2chサイトに悪口を書かれたことがありました。でもそれはあまり何とも感じませんでした。それよりも傷ついたのは、一生懸命書いた記事の内容がちょっと間違っていて、真っ当な指摘を結構厳しい言葉で、ツイッターやはてなブックマークで言われるとすごい辛かったですね。

清野:なるほど。

やめ太郎:僕はメンタルがあんまり強くないので、真っ当な指摘でも物凄く落ち込みました。1週間ぐらい気分が沈んで、もう記事を書くのをやめようかなとさえ思うこともありました。でも、結局自分だったらより分かりやすく書けるかもしれないってアドレナリンが出てきましたね。落ち込んでも、なんだかんだやめられない才能というか…
僕の知り合いのエンジニアで、僕よりわかりやすくて面白い記事を書ける人はいましたけど、サイトで良くない反応や嫌なこと言われたりして、記事投稿を辞めてしまった人が何人もいました。

清野:そうなんですね。

やめ太郎:Qiitaで新しい機能リリースしましたとか言うと、ユーザーの方々からネガティブな意見が出ることもあると前回の配信で話されていましたが、大変なこともあるけどそれでも続けられる清野さんと僕は少し似ているなと感じました。

清野:そうですね。僕はQiitaが好きですし、良いプロダクトにしたいと思いながら常に向き合っているので、色々ご指摘をいただく時もありますけど、ちゃんと向き合って頑張っていきたいなと思ってます。

個性の必要性

清野:エンジニアはアウトプット文化が大事みたいなのが漠然とあると思いますけど、実際どう書けばいいのかが分からないだとか、記事を書いてもあまり読まれないみたいなことって結構あると思うんですよ。やめ太郎さんは、関西型言語という個性を取り入れてアウトプットをしていると思うんですけど、そういった個性についてどのような考えをお持ちですか?

やめ太郎:記事を書き始めた当初は、小難しい技術記事が多いから分かりやすいものを書きたいっていうだけで、個性を出そうとはあまり思ってなかったですね。自分の技術力と分かりやすささえあれば、別に個性なんて意識しなくてもいいと思っていました。

清野:そうなんですね。

やめ太郎:でも振り返ると、めちゃくちゃ個性って大事だなって思いましたね。関西弁の会話形式で記事を書いている人って他にいなかったので、すぐ覚えてもらえたんです。
例えば、普通の文体で書いていたとして、その記事が分かりやすくてレベル高いものだとしても、1ヶ月後にまた同じ人が記事が出てきても、先月読んだあの記事と同じ人が書いてるって気づかないことも結構あると思うんですよ。

清野:たしかに、ありますね。

やめ太郎:でもその点、僕の場合は先月読んだあの関西弁の会話調の記事の人だって思い出してもらえるというか。記事だけではなく人を覚えてもらえるのは、個性的な文体で書くことのメリットだと後から気づきました。

「3歳娘:〇〇ってなに?」というタイトルを見ただけで、やめ太郎がまた記事書いたんだ!ってすぐに分かるみたいな。文体でもいいですし、タイトルでもいいですけど、何かシリーズものをやるっていうのは覚えてもらえるために物凄く有効なんだなって気づきました。そこからは結構意識するようになりましたね。

清野:そうなんですね。やめ太郎さんの関西型言語を使って記事書いていらっしゃる方もQiitaにいらっしゃったりするんですよ。

やめ太郎:そうですね。そういう形で真似してくれている方がいて嬉しいです!

読者に覚えてもらえる記事の書き方

清野:個性をテキストベースで出せるって凄いことだと思うんですけど、個性を出すために意識していることやテクニックみたいなものがあれば、これから同じように個性を出して記事を投稿していきたい方に向けてアドバイスをお願いします。

やめ太郎:そうですね。僕が尊敬しているエンジニアの方で、「ヤギのさくらちゃん」という方がいるんですけど、その方もQiitaに記事を書いていて。ものすごく難しい内容を噛み砕いてとても分かりやすい記事を書いている人なんですけど、その人は技術記事の中で唐突にヤギの大きな画像を何の脈絡もなく貼っているんです。

清野:たしかにありますね(笑)

やめ太郎:その人はもう一回で覚えましたね。

清野:たしかに、すごくインパクトがありますもんね。

やめ太郎:ですね。技術記事でふざけてるように見えていたんですけど、記事がめちゃくちゃ分かりやすいですし、1回で記憶に残るし、あれはブランディングとしてすごく良い方法なんじゃないかなって思いましたね。

清野:確かにテキストだけじゃなくて、視覚情報や画像とかが入っているとか印象に残るような文章は、個性を生み出すところで大事な要素なのかもしれないですね。
僕も結構技術記事を書いているんですけど、そこら辺はやっぱ苦手ですね。そもそも長い文章を書くのがものすごく苦手で、結構Tipsとか多くなっちゃいがちなので、ぜひ参考にしてみたいなと思います。

記事のネタ探し

清野:ちなみに、普段どういうものからネタを探していらっしゃるんですか?

やめ太郎:そうですね。ネタ探しは結構難しいです。公式ドキュメントを読んで分からないことが、Qiitaの記事を見て「こういう風に使えばいいんだ」ってなるんですけど、そこには既に記事があるじゃないですか。だから、僕が記事を書く必要はないなと思っていたんですけど、この記事をより分かりやすく会話形式で書けば、かなり別物になるから大丈夫だなとか思って、テーマ自体は被っていても書き口を変えたりして書けばいいかなっていうような感じでネタ探しをしてます。

清野:そうなんですね。やっぱり同じ内容でも1つの記事で100%のものにするってかなり難しいと思っていて、そういう分かりやすさもそうですけどいろんな側面や観点から記事書いてもらえるのはQiitaとしてもありがたいです。

アウトプット活動に対するモチベーション

清野:アウトプットを始めたきっかけが、転職でいろいろな会社に声かけてもらうためっていうのはお話しされていたと思うんですけど、こうして転職した後でもアウトプット活動をずっと続けてらっしゃるじゃないですか。なぜ今現在もアウトプット活動を続けているんですか?

やめ太郎:技術記事をQiitaに書いているとものすごく興奮するというか、少し分かりにくいような内容を自分だったら分かりやすく書けそうだぞと思って書き始めると、めちゃくちゃアドレナリンが出るんです。まあ他にあんまり楽しいことがない人生だっていうのはあるかもしれないですね(笑)

でも、なんだかエンジンのかかった自分になれるというか、楽しいっていうのがモチベーションですね。とはいえ、1人もいいねしてくれなかったら多分100記事かけてないと思います。いいねもらえて嬉しい、承認欲求が満たされるみたいなのも絶対ありますね。いいねがもらえるだけでも書いている人のモチベーションに繋がるので、記事を書かなくともいいねを押すだけでこちらはとても嬉しいので、是非沢山押していただきたいです!

清野:ありがとうございます!僕自身もQiitaに投稿するんですけど、いいねがもらえると「書いてよかったな」「人のためになったかな」って思えますね。書いている側も非常にうれしいですし、運営側としてもサービスとしてより良いコミュニティになっていくと思います。

やめ太郎さん、本日はありがとうございました!
次回もやめ太郎さんをゲストにお迎えし、「会社員としての仕事と個人活動」をテーマに、株式会社ゆめみでの業務内容やエンジニアとしての活動、最近使用しているオススメのツールなどについてお話をお伺いします。

やめ太郎さんの次の配信を聞く

さいごに

「エンジニアストーリー by Qiita」は、近年高まるエンジニア向けPodcastのニーズに応え、エンジニアのキャリア形成に有益な情報を発信しています。興味のあるテーマを見つけて配信を聞いてみましょう!

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