Dear Great Hackers

  1. インタビュー
  1. タイアップ

未来の予測が難しい時代のリスクを、テクノロジーで予測せよ。疑似量子コンピュータからノーコードまで。日立の保険業界DX。

少子高齢化に伴う生産年齢人口と労働力人口の減少や、COVID-19の発生に伴うニューノーマル対応など、現代社会は何かとVUCAな状況が続いています。不確実な環境だからこそ、人は人にしかできないことに注力し、そうでない部分は機械に任せるという、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)の機運が高まっています。

今回は、日立製作所による保険業界におけるDXの取り組みをご紹介します。健康寿命の延伸に向けた行動変容ソリューションから、業務のDXを民主化するノーコードツール、そして既存の計算ロジックの限界を突破するための疑似量子コンピュータまで、様々な取り組みを進めるメンバー3名にお話を伺いました。

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プロフィール

魚川 大輔(うおかわ だいすけ)
株式会社日立製作所
金融システム営業統括本部 金融営業第三本部 ビジネスプロモートG 部長代理
2003年、日立製作所に新卒入社。入社以来、金融機関向けの営業に従事。損害保険会社向けの営業を長く担当していたが、2019年より損害保険会社向けの協創案件やデジタルソリューション案件の立ち上げ・推進に注力。現在は、保険会社、共済組合向けの案件立ち上げ・推進を幅広く支援している。IT企画部門や情報システム部門はもちろん、営業企画、商品企画など、クライアント内の多様なステークホルダーと連携して、DXの推進を進めている。直近では、損害保険ジャパン株式会社の損害保険業務において、日立が開発した量子コンピュータを疑似的に再現するCMOSアニーリングの実務利用案件(損害保険ジャパン株式会社との協創事業)などを担当している。

 

高村 亘(たかむら わたる)
株式会社日立製作所
金融第二システム事業部 金融システム第四本部 技師
2013年、日立製作所に新卒入社。大学院での修士課程で化学を専攻した後、入社後は一貫して生命保険業界向けのITソリューション開発に従事。入社後3年間は生命保険会社向け基幹システムのアプリケーション設計・開発に携わった後に、海外パッケージシステムからAIまで、最先端の技術を活用したソリューション提案・開発に従事。直近では、3年ほどかけて本記事でも言及する健康リスク予測サービス「マイリスク®」の事業立ち上げやサービスの拡販推進を経験した後に、現在は生命保険会社向けコンサルティングを担当している。

 

田野 桂(たの けい)
株式会社日立製作所
金融第二システム事業部 金融システム第四本部 インシュアテック推進G 技師
2011年、日立製作所へ新卒入社。金融システム事業部へと配属され、保険会社/共済組合向けシステムの設計開発・提案活動に携わった後、共済組合のシステム開発部に出向となり、様々な立場・視点からシステム開発を経験。その後、海外研究開発拠点にて、海外大手銀行向けの新技術の有効性の検証を目的としたPoCプロジェクトに従事。現在は、生命保険・共済組合向けのデジタルソリューションの提案を担当している。

 

「ITパートナーの日立」から「ビジネスパートナーの日立」へ


――今回のテーマが「保険業界のDX」ということで、まずは保険業界向けの取り組みに長く携わっている魚川さんから、保険業界がかかえる課題について教えていただければと思います。

魚川 : まず大前提となりますが、DXと一言で言っても、そこには組織課題から日々のオペレーション課題まで、様々なレイヤーの課題があると思います。日立の場合は、特に「ITで顧客を支える」という切り口がベースになるので、効率化やシステム化という観点でお伝えしたいと思います。

業界を俯瞰して見てみると、少子高齢化に伴って生命保険の売上が減少したり、自動車を運転する人が減ることによる自動車保険の売上が減少したりするなど、ビジネスそのものの環境が大きく変化している状況です。また、ここ最近では特に自然災害が頻発しているので、会社として支払いが大きくなりすぎてしまい、ビジネスとして成り立たなくなってしまうということも挙げられるでしょう。

つまり業界全体として、保険をかけていただいて保険金を支払うという従来のビジネスモデルを超えて、これまでとは抜本的に違うことをやっていく必要がある。そのようなフェーズになってきているため、ITツールを導入するだけではなく、その先を見越したDXの必要性が顕在化したと言えます。

――なるほど。保険を含む金融領域では「フィンテック」というワードが出てきたタイミングも早いように、DXの機運も高まりやすい状況だった、ということですね。

魚川 : そうですね。もともと保険業界とはサーバーやITシステムの提供というITベンダーとしてのお取引が多かったわけですが、気付いたら業界全体のDXが進みはじめていたという状況でした。

当然ながら日立としても「DXをやらねばならない」ということで、顧客の課題を解決するためにDXソリューションを提供し、ITパートナーからビジネスパートナーになるという目標を持ってビジネス展開をするようになりました。ここ10年くらいの話です。DXを進めやすい業界だということも大きかったのかもしれません。

――ビジネスパートナーとなると、ITパートナー以上に広く課題を汲み取っていかないといけないと思います。その辺りはどうされたのでしょうか?

魚川 : まさに、DXソリューションの提供にあたっては、そこがもっとも大きな課題となりました。いくつか面白いソリューションができても、それを上手くお客さまに持っていけず、結果として花開かないケースも散見されました。

例えば、後ほどお伝えするような「疑似量子コンピュータ技術」を使ったソリューションを情報システム部門の方にご提案しても、「おもしろいですね」とは言ってもらえても、そこから先にはなかなか進みません。
お客さまの中でも、新規ビジネスの立案やDXを推進する部門の方にアプローチできないと、ビジネスとして具体化していかないというわけです。

そのような背景から、私が所属している「ビジネスプロモートグループ」が立ち上がることになりました。保険会社本体の経営企画部や営業企画部のカウンターパートとして話せるように、日立の営業メンバーを中から育てよう、という試みです。

――魚川さんも、そのメンバーの一員として活躍されているのですね。

魚川 : 現在10名ほどのメンバーが所属しており、今回のおふたりをはじめとした開発メンバーとも協力しながら、DXの協創に向けて取り組んでいます。これまで様々な取り組みを行ってきましたが、ここではテックアプローチとして、健康リスク予測サービス「マイリスク®」とノーコード開発プラットフォームサービス「Unqork(アンコルク)」について、それぞれお伝えできればと思います。

健康改善への行動変容につなげる「マイリスク®」

――それぞれについて教えていただきたいのですが、まず「マイリスク®」とはどのようなサービスなのでしょうか?

高村 : マイリスクは、日常生活の様々な健康リスクを定量的に予測して、利用者の健康改善に対するモチベーションを高め、健康増進をサポートするサービスです。こちらの画面が分かりやすいと思いますが、健康診断や日常測定の結果を入力することで、リスク年齢をはじめ、入院リスクや死亡リスク、疾病リスクなどの「健康リスク」を、健康余命・入院確率・日数・費用といった指標で把握することができます。

わかりやすい数値で表示される健康関連リスク

高村 : また、ここで確認できた健康指標をもとに、検査項目や生活習慣についての改善目標を設定して改善効果をシミュレーションする「マイチャレンジ機能」というものもあります。

――「死亡リスク:5.7%」など、結構はっきりと表示するものなんですね。こちらはどのような背景で提供されているものなのでしょうか?

高村 : 年に一度、健康診断や人間ドックなどを受けられると思うのですが、例えば血圧が150という結果が出たとします。平均値と比較すると「良くない」ということになると思うのですが、「年齢が上がると血圧が高くなるのは当たり前」という意識が芽生えてしまい、うまく健康改善のアクションにつなげることができないというケースもあると思います。

このようなケースもあるなかで、いかに健康改善への行動変容につなげるかという課題を考えたときに、「実社会のなかでどのような影響があるかを示す」というアプローチで解決するのがマイリスクの特徴です。つまり、「一ヶ月間会社に行けない」などの、生活にダイレクトに影響する指標を見せることで、行動変容につなげられないかということです。
エンドユーザーの健康増進はもちろん、保険会社は保険金の支払いが減るなど、双方にとってWin-Winとなる状況を創出できるのではないかと考えたことが、提供の背景です。

健康改善の意欲を促進するためのマイチャレンジ機能

――なるほど。こちらは株式会社レグラルとの協創のもとで事業開発を進められているのですね。

高村 : はい、2018年10月より事業開発をご一緒しています。
先ほど魚川さんからお伝えしたとおり、保険業界では早い段階からDXの機運が高まっていまして、ヘルスケア × テックの動きも活発化していました。2016年頃から日立も本格的にソリューション開発をしようという動きがあり、スピーディーな事業立ち上げを狙い自社技術に限定せず、魅力的なスタートアップと協創を検討しました。2016年下期から具体的な技術の選定を開始し、健康リスクの予測・可視化という領域でレグラルさんとの協創を進めていくことになったのです。

――何が協創の決め手だったのでしょうか?

高村 : 日本語ベースで分かりやすいことが、まずは大きなポイントでした。実は当初、欧州のスタートアップ企業との協創を視野に検討、協議を進めていたのですが、先ほどご覧いただいた死亡リスクや疾病リスクのような機微な結果をフィードバックするには、どうしても言語のハードルがありました。

――翻訳するにしても、表現が難しいところはありそうですね。

高村 : はい。ですので、利用者の行動を変容させていくためにも、日本語ベースで扱われていることがとても大事でした。あとは細かい話ですが、当時の日立の技術者がメインで扱っていた技術で対応しやすいようなサーバーやアプリケーションの構成になっていた点も、選定ポイントの1つでしたね。

――実際に、ユーザーとしてご利用されている会社・団体としてはどんなところがあるのでしょうか?

高村 : 実は保険会社よりも先に、健康保険組合にご利用いただきました。健康保険組合は病気やケガの際、加入者に代わって医療費を一部負担し、医療機関へ支払う大事な役割を担っていますが、財政悪化に直面しており複数年わたって赤字が続くケースはめずらしくありません。そのため、健康増進を通じた医療費削減が重要なミッションとなっています。マイリスクをご利用いただいている健康保険組合では、マイリスクを通じて1人でも多くの人が自身の健康状態に興味を持ち、改善への意欲を喚起できることに期待感を持っていただいていると伺っています。

直観的な操作でエンタープライズレベルの開発ができる「Unqork(アンコルク)」

――もう1つの「Unqork(アンコルク)」についても、どのようなサービスなのかを教えてください。

田野 : Unqorkは、ドラッグ&ドロップといった直観的なGUI上の操作でアプリ開発ができるノーコード開発ソリューションです。米国のUnqork社が提供しているもので、プログラミング知識がなくとも、大規模なトランザクションや複雑なロジックを必要とするエンタープライズレベルのアプリケーションを開発・運用できるものとなります。

――ローコードではなく、ノーコードなんですね。こちらも他社との協業ソリューションとのことで、どのような背景で日立としての提供をはじめたのでしょうか?

田野 : すでに多くの方がご認識のとおり、コロナ禍に代表される現在の世界情勢の中で、ビジネスモデルの変化やテクノロジーの進展によるデジタル時代にふさわしい社会にむけた変革が進んでいます。ビジネスの側面では、消費者の価値観の変化・多様化に加えてリモートワークなど、働き方に大きな変化をもたらしました。またテクノロジーの側面では、AIをはじめとしたデジタル技術の飛躍的な発展など、大きな変革期を迎えていると思います。

しかし、IT人財・DX人財は決して有り余っているという状況ではありません。そこで、より多くの人が、デジタル変革に向けてスピーディーな開発を行える。それを可能にする「ノーコード・ローコードソリューション」に注目が集まっているのです。

そのような背景から、これまでも日立ではノーコード・ローコードツールの提供をしていましたが、新たなノーコードツールとして、北米で保険・金融業界向けに豊富な適用実績を持つUnqork社との協業を開始しました。日立はサポート体制をもつソリューションパートナーに認定されており、ライセンスの再販と技術サポートを行っています。

ワークフロー設定画面。画面を配置し、矢印で繋ぐだけで画面遷移を実装することができる。また、画面に入力した値を判定し、画面遷移を分岐させることも可能

――プログラミング知識が不要とは言え、デジタルリテラシーは必要だと思うのですが、どのような部署がクライアントになるのでしょうか?

田野 : ソリューションに興味を持っていただいて、最初にコンタクト、ソリューションをご紹介させていただくのは、DX推進を担当する部署などが多い印象です。

実際の開発となれば、従来のような縦割りを解消し、業務部門・システム部門・ベンダーが一体となった開発推進が可能になります。しかし、おっしゃる通り、ノーコードといっても一定のデジタルリテラシーは必要になりますので、初期開発はシステム部門、その後の保守・メンテナンスを業務部門でも一部行う、という形も考えられると思います。

保険会社向けには、新たな商品を販売する場合のダイレクト販売システムや、契約者向けサイトの開発などにおいて、Unqorkをご提案していることが多いです。

――実際に顧客へのアプローチを進める中で、どのような反応がありますか?

田野 : ノーコードやローコードに興味のある顧客は多いのですが、Unqourk社が2017年に設立された比較的新しい企業ということもあり、その他競合ツールの中での知名度は決して高くはありません。現状は、日本国内における認知度や開発実績をこれから積み上げていく段階になります。

また、(2022年4月時点では)日本法人のない米国企業による海外ソリューションであり、日本国内の実績がまだ少ないことに対して、導入に向けては懸念を持たれるお客様もいらっしゃいます。

――それに対して、どのような工夫をされていますか?

田野 : Unqork社と技術サポート契約を結んでおり、日本語での問合せ受付、回答を行うサポートを提供しています。弊社では、Unqork社と技術サポート契約を結んでおり、日本語で問合せ受付、回答ができる点など、Unqork社との橋渡し、サポートがしっかりとできることをお伝えするようにしています。

また、海外で国内企業のグループ会社が活用しているようなケースもあるので、実績が徐々に増えてきていること、注目されているソリューションであることをご紹介するようにしています。

加えて、HSIF2021という弊社のイベントに出展して認知度の向上を図ったりと、情宣活動も適宜行っています。

日立 × 損保ジャパンが進める疑似量子コンピュータ技術活用ソリューション

――もう1つ、魚川さんが冒頭におっしゃった「日立の疑似量子コンピュータ技術を活用したソリューション開発プロジェクト」についても教えていただけますか?

魚川 : こちらは、損害保険ジャパン株式会社(以下、損保ジャパン)の損害保険業務において、日立が開発した量子コンピュータを疑似的に再現する「CMOSアニーリング(※)」の実務利用を開始する、というものです。保険会社の基幹業務で疑似量子コンピュータを本番適用するのは、初めてのケースです。

※磁性体の性質を説明するために考案されたイジングモデルを用いて組合せ最適化問題を解くために日立が開発している新型コンピュータ。詳細については、以下の記事も併せてご参照ください

「10年先のコンピュータ技術」を今!?CMOSアニーリングの性能に迫る!

――具体的にはどういうことでしょうか?

魚川 : 今回のプロジェクトは、損保ジャパンの他に、SOMPOホールディングス株式会社とSOMPOリスクマネジメント株式会社(以下、SOMPOリスク)、そして弊社という、4社の協業体制で進められています。

具体的には、SOMPOリスクがもつ自然災害リスク定量化技術と、先ほどお伝えした日立のCMOSアニーリングを活用しています。損保ジャパンがお客さまからお引き受けする自然災害リスクのポートフォリオに対して、損保ジャパンで保有すべきリスクや外部移転すべきリスク、外部移転時の条件、そして実務上で考慮が必要なその他条件などをモデル化。その膨大な組み合わせからリスクテイクと安定収益を両立する条件を求める手法を、CMOSアニーリングで実装するというもので

各社の役割分担内容

――量子・疑似量子コンピュータ技術は着々と注目度が高まっていますが、社会実装はまだまだ少ないので、損保ジャパンのような大企業が採用するのはすごいですね。このプロジェクトは、どのような背景で進められたのでしょうか?

魚川 : もともと損保ジャパンと日立はITパートナーとしてのつながりがあり、お互いに「何か協創ができたらいいよね」という話をしていました。2019年頃からは、様々な部署の方と具体的なお話をさせていただくようになり、量子技術の活用に関心を持たれている方と巡り合ったことがキッカケでした。

始めるだけであればどのプロジェクトも簡単にスタートするのですが、この分野ではPoCで止まってしまうことが非常に多いのも現実です。それでは、何の解決にもならないということで、私たちは「マシンを使ってください」では止まらず、損保ジャパンの業務を理解し、ソフトウェア開発やマシンチューニングだけでなく、具体的な業務改善に繋げるところまでを一緒に進めていきました。

――冒頭でもおっしゃったように、適切なアプローチを行えずに話が進まなくなることは往々にしてあると思います。この損保ジャパンのプロジェクトは、なぜ実業務への実装まで進めることができたのでしょうか?

魚川 : 双方のプロジェクトメンバーに恵まれたことも大きかったと感じます。従来型のITプロジェクトだと、役割のすみ分けがハッキリしていたと思いますが、今回のプロジェクトに関してはいい意味でグレーゾーンが多く、それぞれが役割を超えた当事者意識をもって取り組むというマインドセットがあったことが大きいと思います。

誰もやったことがない領域に興奮する

――ここまで様々な取り組みについて伺いましたが、各プロジェクトを通じて、「日立ならではの強み」を感じるのはどんなときでしょうか?

高村 : マイリスクをやっていて如実に感じたことですが、一番は幅広い事業領域を持っていることだと思いますね。

日立の中にはヘルスケア製品を専門でやっている部隊があるのですが、僕たちはそことは別に、保険会社の課題基点でソリューションを構築していきました。プロジェクト開始から程なくしてヘルスケア部隊とも定期的にコミュニケーションを取りながら進めるようになり、ヘルスケア業界の動向やビジネス展開の部分で様々な意見交換をしていきました。その結果、ファーストユーザーにつなげてもらい、具体的に活用いただけているという状況になっています。

多様な事業領域をもち、そこに対して専門的な知見を持つメンバーが多くいるからこそ、顧客に対する打ち手を柔軟に提案できるんだと感じました。

田野 : 多様なお客さまがいることや幅広い事業領域を抱えているのもそうですが、日立とお客さまのこれまでのお付き合いもあると思います。
お客さまの背景や事情、システムを理解していることが日立の強みだと考えていて、これによりお客さまの立場に立ったご支援・ご提案ができるのも大きいと思います。

魚川 : おふたりのお話と少し重なりますが、研究所がありますし、OT(Operational Technology)系統の知見も多くもっているので、IT/DXだけでなく、物理的なハードも含めた提案ができるのも強みだと思いますね。

――なるほど。そんな環境の中で、皆さまのモチベーションが上がるポイントは、どんなときでしょうか?

魚川 : 誰もやったことがない領域をやっているときですね。疑似量子コンピュータの実装もそうですし、2019年に損保ジャパンと、さいたま市で「AIを活用したインフルエンザ予報サービス」の実証を進めた時もそうでした。

インフルエンザの罹患率の低下に向けて、さいたま市における4週間先までのインフルエンザの流行度合い(レベル0~3)を予報する住民向けWebサイトを立ち上げて公開。PCやスマートフォン、タブレット端末などから本サイトにアクセスすることで、さいたま市における流行速報やインフルエンザの予防・処置に役立つ関連情報をいち早く把握することが可能となっているまた、小売店の店舗内にあるサイネージにも予報情報を表示するほか、コミュニケーションアプリ「LINE」上に専用アカウントを開設し、予報情報を定期的に通知。感染症予報に関する実証を自治体規模で行うことは、全国で初めての取り組みとなった

魚川 : 実証の取り組みの中で、自治体、スーパーや薬局などの小売店、学習塾、鉄道会社など、様々な会社をめぐる仕事があり、これまでやったことのないアプローチでのプロジェクトだったので、非常に楽しかったです。

高村 : 個人的には、SEの他に法務や調達部門の仲間など、多くの関係者と物事を進めている時ですね。各関係者との連携を通じて、何かを作る時に新たな知識を得る機会があることが楽しいです。

田野 : 例えば、至る所に散らばっている情報・データをシームレスにつなげて利活用していくことなどを通して、ビジネスそのものを変えるような取り組みに携われることは楽しいと感じます。

――高村さんと田野さんは、もともとはエンジニアとして開発をメインで行われていたと思いますが、現在はセールス寄りのこともされていると思います。キャリアとしてはどのように感じられていますか?

高村 : 配属の面談では「10年間開発をやってもらう」と言われていたのですが、3年目からチャンスがあって、ここまでお話ししたような役割に携わることができるようになりました。

もちろん技術も好きですが、セールスに近いから技術に携われないなんてことはありません。むしろ顧客に説明するという視点でエンジニアリングの知見はとても重要になるので、開発の経験も十分活かせていると感じます。なので、現在の役割は個人的に本望ですね。

田野 : 私も開発からキャリアをスタートしていますが、幅広い経験ができるような多くのチャンスをいただいていると感じています。

顧客先に出向して顧客の立場から日立と接したり、海外のPoCプロジェクトを進めたりと、幅広く活動させてもらっています。1つの専門知識というよりは、より広くゼネラリスト的にキャリアを広げていきたいと思っているので、現在の役割もその中の1つとして、特に楽しく取り組ませていただいています。

いかに人同士をつなぐかというところで、価値を出していきたい

――今後、保険DXという観点で、中長期的な未来をどのように描いていますか?

魚川 : 一つひとつのプロジェクトに単発で関わるよりも、顧客との中長期的なビジネスパートナーになれるようになりたいと考えています。DXなどの新しいことをやろうと思った時に「まずは日立に相談しよう」という関係性を目指したい。そのためには、顧客から言われたことをやる旧来の関係ではなく、課題に寄り添えるようなマインドセットを持って、ビジネスパートナーとしてご一緒できたらなと思っています。

高村 : 僕個人の目標になりますが、いかに人同士をつなぐかというところで、価値を出していきたいと考えています。つながりによって新しいアイデアが出たり、事業ヒントにつながる話ができると思っているので、それをどんどん増やしていきながら、これまでとはまた違う観点で保険会社に役立つサービスやシステムを作り上げていきたいし、そこが僕の強みだとも思っています。

田野 : 今はマイリスクやUnqorkといったソリューション視点でのご提案が多いですが、今後は先ほどお話しした日立ならではの強みを活かして、お客さまの課題に寄り添い、それに適したソリューションのご紹介・ご提案によりシフトしていければと考えています。

――それでは最後に、読者の皆さまにメッセージをお願いします。

高村 : いかに幅広い人と繋がって価値を出すことにトライできるのは、日立だからこそだと思っています。技術と顧客課題、そして人を繋いで新しいモノを作るのには、最適なフィールドだと思います。

田野 : DXと言っても、業務をデジタル化することによる生産性の向上や、さらにその先にあるビジネスモデルの変革など様々な視点・切り口があると思います。日立なら、幅広い事業領域があるからこそ、様々な経験やスキルを活かして、活躍できる場所があると思います。

魚川 : 今回お伝えした取り組みはほんの一部ですが、まだまだ発展途上の領域もたくさんあります。先ほどお伝えしたOTの資産も十分に活用できていないと思うので、新しいことが好きな人はぜひ、一緒に日立を盛り上げていきましょう!

編集後記

今回はマイリスク®とUnqork、そして疑似量子コンピュータを活用したソリューションや事例のみの紹介に留まりましたが、このほかにも実証を含めて、たくさんの取り組みが保険業界でなされていることを、取材を通じて知りました。インタビューでも言及されたとおり、多様な事業領域を持つ日立製作所だからこそ、アプローチの仕方もたくさんあるのだと実感しました。ゼネラリストとして技術を活用したソリューションの立ち上げを志向する人にとっては最高の環境なのではないでしょうか。

取材/文:長岡武司
撮影:平舘平


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