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ユーザーに最高の価値を届けるためのプロダクト開発〜「Qiita Engineer Summit 2021 Winter」イベントレポート


2021年12月17日、エンジニアとして活動している方を対象にしたオンライントークセッション「Qiita Engineer Summit 2021 Winter」が開催されました。こちらは、“Be a Contributor”がメインテーマとして据えられて、「エンジニアリングは社会に、そして世界にどう貢献できるのか?」を各企業が考え、取り組むそれぞれのエンジニアリングについて語るべく、Qiitaが主催したものとなります。

第4弾のセッションテーマは「ユーザーに最高の価値を届けるためのプロダクト開発」。freee株式会社と株式会社ゆめみ、そしてWED株式会社という、事業のフェーズやプロダクト作りの仕方が違うであろう3社によるトークセッションとなります。プロダクト作りを進めるなかで、それぞれの業態や事業による違いや、逆に変わらない部分とは何なのか。当日の様子をお伝えします。

※本レポートでは、当日のセッショントーク内容の中からポイントとなる部分等を抽出して再編集しています。

登壇者情報

新岡 健志郎
freee株式会社
プロダクトコア事業部 CREチーム
大学卒業後、それまでITの世界と無縁だったにも関わらずIT企業に就職。IP電話アプリの開発やIaaSサービスの開発に従事した後にfreeeに入社。CREチームの一員としてfreeeのchatbotとかの面倒を見たりしています。どうすればユーザーが問い合わせなくても済むプロダクトになるかについて日々考えています。

 

大城 信孝
株式会社ゆめみ
CTO/リードアーキテクト
2012年からサーバーサイドエンジニアとして経験を積み、2016年にアーキテクトとしてゆめみに入社。プロジェクトでは主にシステムアーキテクチャ設計やバックエンドの実装を担当。2021 年にCTOに任命される。現在はCTO兼リードアーキテクトとして業務に携わっている。

 

丹 俊貴
WED株式会社
テックリード
東京工業大学大学院でMOTを修了後、2015年エウレカに入社。Couplesの開発チームリーダーを経て、Pairsのスクラムマスターとしてサービスを牽引。2018年にWEDにジョインし、レシート買取アプリ「ONE」の開発を担当。現在はテックリードとして「ONE」と「Zero」を中心にWEDの開発をリードする。

各社の事業紹介と今のフェーズについて

--まず最初に、各社さんが今どういう事業をやっていて、どういうフェーズに入っているのかについて伺えればと思います。

丹:僕らは今「ONE」と「Zero」というサービスを作っています。「ONE」は2018年にリリースしたものでして、当時は「レシートが10円」ということでTwitterやYahoo!ニュースなどに載ってバズったプロダクトです。それを今順調に伸ばしていまして、ダウンロードがだいたい300万程度、集めたレシート数はちょうど2億枚に到達したくらいです。
そしてもう一つの「Zero」は、丸井グループと共同で開発しているプロダクトで、うちのOCR技術を活用して商業施設の売上管理をDX化するというサービスです。実際に導入もされていて、ユーザーの声を聞きながら徐々に改善しているようなフェーズになっています。
チーム状況としては、正社員のエンジニアが5名、業務委託のエンジニアが3名という、8名のエンジニアでプロダクトを作ってます。

新岡:freeeが今提供しているプロダクトの中で、最も利用されているものが会計領域の「freee会計」になります。それ以外ですと人事労務や受発注、開業設立、プロジェクト管理とかですね。全部で十数くらいのプロダクトを提供しております。
規模感としては、例えばfreee会計の場合、有料の課金ユーザー数は31万を越えたくらいになっていて、YoY(前年比)でも140%ほどの伸びをしている状態です。
なお、直近の改善としてはCREということで、最近はヘルプページの改修を行ってユーザー様がより解決を導きやすくするところに注力をしております。7年ぶりのヘルプページ刷新というのをやって、UIや、使いやすさというところではとても改良しています。あとは、お問い合わせの動線に関しても、今までは各プロダクトごとに実装していてバラバラだったものを、一つのプロダクトに集約して分かりやすさ向上をやっています。

大城:最初にゆめみの事業内容について軽くお話しますと、弊社では「BnB2C」(ビー・アンド・ビー・トゥー・シー)という、いわゆる受託案件をやっていまして、企画の段階からクライアント様と一緒になってシステムやサービスを作り上げていく事業が中心となっています。また最近では内製化支援にも力を入れていて、企業様のプロジェクト支援、システム開発支援、技術相談支援だったり、面接などの支援も行っております。
社内にはサーバーサイドエンジニアやフロントエンドエンジニア、デザイナーといった職務ごとにチームがありまして、それぞれからメンバーを集めてプロジェクトチームを立ち上げています。プロジェクトベースで最適な人を集める組織体制になっていまして、技術に関しても、適材適所でお客様からいただいたご要望に沿って、課題を解決できるシステム技術を採用しております。

今のフェーズで大事にしていること

--次に「今のフェーズで大事にしていること」ということで、一番ここを重要視して、こういう動きをして、こういう取り組みをしています、というようなところをお伺いしたいと思います。まずはWEDの丹さん、お願いします。

丹:まずは「採用する時」に気をつけていることがあります。僕らのフェーズだとプロダクトの品質をちゃんと高めていかなければいけないと思っていて、少人数だからこそ、凄く小さな違和感にちゃんと気付ける人を採用していきたいと思っています。こだわり抜くといいますか、履歴書でもGitHubのHを小文字で書いてしまう人は、僕はダメだなと思っていて、そういう小さい違和感に気付いて直さずにいられない人をまずは集めてきました。
その上で、本当に少人数で2つのプロダクトを作っているので、リリースのサイクルはなるべく増やしていかないといけないなと思っていて、コードレビュー・テスト・デプロイの自動化に凄く気を遣っていました。テストコードにテストをさせて、デプロイの時間も5分くらいの作業でできるぐらいな感じで、今でもそこまで困らないくらいになっています。

--テストを書くって、会社さんや価値観にもよると思いますし、あえて書かないでモノを早く出していくことを意識している会社さんもあると思います。ユーザーへの価値提供を大事にされている中で、そういうところも大事にされている理由を伺いたいです。

丹:前提として、そのリリースの時に書かなかったテストって、将来的にも書かないと思います。あとで書こうとしても、どういう機能だったかを思い出すことが必要で、かなりの無駄が発生するということが大前提にあります。例えばファーストリリースで何かバグがあって瞬時に修正してリリースしたいですってなった時、もしかしたら壊れるかもしれないという危険がファーストとセカンドの間にはらんでいるので、そこはちゃんと品質を保ったうえで作った方が、リカバリーが将来的にも効いてくるところなのかなと思っています。

清野:今のお話は「絶対にやった方が良いところ」ということでやっていらっしゃると思うのですが、逆に「ここら辺は色々な判断をして妥協をしています」というようなところはありますか?

丹:僕自身もテストを書いているのですが、サーバーサイドの方は結構書いている一方で、ネイティブの方はほとんど書いていなかったりします。サーバーサイドだと、ちょっとしたミスがデータの整合性を壊すなどしてかなりクリティカルになることが多いのですが、ネイティブの場合はギリギリちょっとボタンがずれているとかで、まだ致命的にはならないというところがあったりとか、そういう天秤にかけていますね。

--ありがとうございます。続いてはfreeeさん。WEDさんからは「価値提供のスピードを大事にしている」というお話がありましたが、対照的に今あるものをちゃんと使ってもらおうという意識をしているfreeeさんとして、大事にしていることなどがあれば教えてください。

新岡:freeeでは財務情報や人事情報といった、だいぶセンシティブな情報を取り扱っていますので、データの不整合に関してはだいぶ気を付けているのかなと思っています。先ほどテストの話もあったのですが、freeeではサーバーサイドのテストもしっかり書いていますし、UIもデプロイのたびに回しています。CREとしても、問い合わせ内容がデータ的にどうなのかとか、この動きは正しいのかとか、あるいは問い合わせとしてよく受けるがそこは起こらないようにしていこうみたいな、根本対応をどんどん進めようと注力しています。
プロダクトの数も多くなってきたので、プロダクトごとの整合性を保つとか、きちんと全体の擦り合わせがされているかを気にしないといけないフェーズなのかなと、私は思っています。

--今のお話の中でやっぱり出てきた信頼性というところが、まさにCREという役割が存在している意義にもなってくるのかなと感じました。

新岡:CREに関しては、弊チームのリーダー・Kishimotoが「問い合わせをなくしていきたい」という想いで立ち上げたチームなんです。詳しくはブログを見ていただけたらと思います。
事業規模が大きくなってくると、お客様の問い合わせ率を下げないと、問い合わせ対応するだけになって、開発も進まないし事業も回りづらいというのがあると思っています。なのでそういう観点で、お客様に快適に使って欲しいという面もありますし、開発力を最大化していこうという面もあって、CREというポジションを設けていると私は思います。

--ありがとうございます。続いてゆめみさんのお話も伺いたいのですが、内製化支援とは、具体的にどういうことをやる業態になるのでしょうか。

大城:たとえば、そもそも最初にどのように作ったらいいかわからないという状態からご相談をいただいて、そこに対してゆめみが持ってるノウハウや技術的なサポートとかの支援のやり方をしていくやり方が一つあります。
他にも、企業様の方ですでに自社でサービスを作っているが、メインとなるところ以外で手が回っていない部分をお手伝いさせていただいたり、採用の業務を支援して、実際にそれができるような状態に持っていくところをお手伝いさせていただくようなこともやっています。お客様の方で、自立して進めていけるような状態を作るというのが一つのゴールかなと。

--支援系の業務やサービスをやっている会社の中で悪徳なところだと、本当に大事なノウハウをテキストでは渡さず、関係性を切らないようにするというのもあると思うんです。価値提供し続けることがゆめみさんのゴールになると思うのですが、どういう感じで価値提供の継続をしていくのでしょうか?

大城:私個人の考えですが、お客様の方で内製化チームが出来上がったら、まずはそれ自体が価値として感じていただけるところですね。自立するような仕組みを作れたということなので、次に、そこに対して何か新しいサービスをやっていきたいというのが、おそらくは生まれると思います。そこに対して新しくお声がけいただいて、新たにそこを成長につなげていくというところで、継続的な価値を提供していくイメージですね。

--同じものを提供し続けるわけではなく、「新しい価値」を提供し続けるということを大事にしていらっしゃるところですね。

大城:そうですね。一番大事なことは、お客様がコアとなるような事業をしっかりと自分たちで制御ができるような状態に持っていくところで、そうすると付随するものって色々増えてきます。その辺りをサポートさせていただくのはもちろん、最初の段階だとコアの部分を作るのにすごく時間がかかったりしますので、そこもご支援をしているようなイメージです。

今後のプロダクト開発において提供したい最高の価値は?

--それでは最後の質問に移ります。「今後のプロダクト開発において提供したい最高の価値は?」ということで、それぞれの会社さんが取り組んでいることがどういう状態になったら会社としてゴールになるのか。定性的で良いので教えてください。

丹:うちはB2C向けとBtoB向けのプロダクトを2つ作っているので、一概には言いにくいのですが、一番届けたいコアな体験ってプロダクトに一つはあるじゃないですか。これをして欲しいという体験までの道筋を考えた時に、どんなコンテキストの人が使ったとしても、何も難しくなく考えることもなくそこに辿りついてしまうような、導かれてしまうような体験が設計できると、僕は最高の価値体験になるかなと思っています。

--その提供したい価値や体験というところを確実に実現していくにあたって、今はユーザー体験のブラッシュアップをやっていると思いますが、それに+αでやろうと思われているところはいかがでしょうか?

丹:ONEがリリースされてから4年が経っているのですが、色んな機能が追加されていく中で、社内で使っている言葉がそのままユーザーに見えてしまっていたり、「買い取り完了」というメッセージング一つとっても難しいなって感じることが増えてきています。それらをどんどんと優しくしたり、理解できるようなものに変えていくのは、一つのステップとしてあると思っています。

--ありがとうございます。それではfreeeさんはいかがでしょうか。

新岡:CREとしての「提供したい最高の価値」のお話をすると、まず一つは問い合わせ自体をなくそう、ということですね。問い合わせをなくして、ユーザーさんにどんどん使っていただきたいですし、開発者が開発にどんどんと注力できるようにしていきたいというところです。もう一つあるとすると、ユーザーさんから見てその機能って使えて当然、あって当たり前、ちゃんと動いてくれてるよね、というところを目指していきたいです。

--ありがとうございます。最後に大城さん、いかがでしょうか。

大城:「提供したい最高の価値」として、エンドユーザーさんにはストレスなく使ってもらう、良い体験をしてもらうというのを目指したいところです。それに加えて、企業様からお話をいただいているので、その企業様の中でしっかりと価値を感じていただくというところも一つのポイントになってきます。あとは、ゆめみの開発やプロジェクトに携わるメンバーが楽しく仕事できることも一つ目指したいところで、難しいことではあるのですが、それらを全部満たせるところを目指せることが「最高の価値」なのかなと思っています。

取材/文:長岡武司

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