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  1. プロダクト

「Googleの中の人」は普段GCPのサービスをどのように活用しているのか?

データ分析プラットフォームサービス「BigQuery」や、Webアプリケーション実行・開発のためのサーバレスPaaS「Google App Engine」など、多種多様なクラウドサービスを提供するGoogle Cloud Platform(GCP)。もともとは検索エンジンやYouTubeといったコンシューマ向けサービスで広く知られたGoogleですが、現在では「Google Cloud」という企業向けに各種サービスを提供するエンタープライズクラウドベンダーとしての顔も知られるようになってきました。

Googleが提供するクラウドサービスの多くは、もともとGoogleの社内で使われていたツールやシステムを、ほぼそのまま顧客向けにサービス化したものだといいます。ということは、Google社内でGCPサービスがどのように使われているかを探れば、その真価をより深く知ることができるかもしれない……そんな思いから、今回はGoogle Cloudでエンジニアとして働く寳野(ほうの)雄太さんに、主にデータ分析基盤の活用法についてお話をうかがいました。

目次

「よりお客さまに近いクラウド」を志向してGoogle Cloudに転職
データエンジニアとして社内外にデータ分析基盤を提供
BigQueryを周辺サービスと組み合わせることで多様なユースケースに対応
Google Cloudで働くエンジニアに求められるスキルや素養とは

プロフィール

寳野雄太(ほうのゆうた)
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 Regional Customer Engineer
日系通信会社でのホスティングサービス、クラウドサービスの開発エンジニア、米国駐在、海外ビジネス開発経験を経て、Google Cloud Platformチームに参画。ストラテジックなお客さまに対するGoogle Cloudのソリューションの提案、お客さまプロジェクトのアーキテクチャ設計、プロダクトの技術的な支援を実施しながら、Google Cloudをより知ってもらうための対外活動も行っている。

「よりお客さまに近いクラウド」を志向してGoogle Cloudに転職

──まずは寳野さんのこれまでの経歴を簡単に教えてください。

寳野:大学を卒業した後、日系の通信会社に入社しました。その会社ではホスティングやVPS、クラウドなどのサービスを開発・提供する部署に所属して、エンジニアとして製品・サービスの開発やインフラの運用ツール開発などに従事していました。最後の1年間はソリューションアーキテクトとして、海外のお客様向けのソリューション提案や技術アライアンスなどを担当していました。

その会社では一環して法人顧客向けのB2Bサービスに携わってきたのですが、提供していたクラウドサービスはパブリッククラウドというよりはプライベートクラウドに近く、「お客さまとの距離が遠いな」と感じていました。「もっとお客さまに近いところで、お客さまのビジネスに直接貢献できるような仕事がしたい」、そう考えて転職を決意しました。

──なぜ転職先としてGoogle Cloudを選んだのでしょうか。

寳野:一エンジニアとして、もともとGoogleはとても気になる存在だったのですが、ちょうど転職を考えているときにGoogleで働いている知り合いから「GCPの東京リージョン立ち上げに伴い、エンジニアを募集している」という情報を聞いて、応募してみることにしました。2016年当時、GCPのAPACチームはまだ発足して間もなかったので、新しい分とても可能性を感じました。

またGCPのサービスが、長い歴史を持つBigQueryにせよGoogle App Engineにせよ、「クラウドでしか実現できないサービス」だった点がとても魅力的でした。オンプレミスでやっていたことをそのままクラウドに移行するだけではなく、クラウドでしかできないことを追求していた点にとても共感を覚えたのです。

Google入社前から「Googleの『クラウドでしか実現できないサービス』にとても関心を持っていました」と語る寳野さん

──2016年12月にGoogle Cloudに入社されたわけですが、現在はどのようなお仕事をされているのでしょうか。

寳野:現在はカスタマーエンジニア(業界でいうところのソリューションアーキテクト)として、GCPのサービスの導入を検討されている法人のお客さま向けに、さまざまな技術支援を提供しています。私が所属しているチームでは、大手のお客さまがGCPの導入を検討される際に実施するPoC(事前検証)の技術支援を提供しています。ほかにも、お客さまの事業戦略により適したクラウドの導入・活用を実現するために、長期的なクラウド戦略やIT資産のロードマップの策定を支援するサービスも提供しています。

データエンジニアとして社内外にデータ分析基盤を提供

──寳野さんは現在、主にどのような技術領域を担当されているのでしょうか。

寳野:主にデータを使ってビジネス課題を解決するための方法を検討したり、データ処理のためのクラウド基盤の企画や設計を担当するデータアーキテクトやデータエンジニアとして活動しています。前職ではどちらかというとインフラ全般の技術力を強みにしていたのですが、お客さまのビジネスにより直結する仕事の在り方を追求していくうちに、自然とデータエンジニアリングの領域に行き着きました。

──具体的には、どのような活動をされているのでしょうか。

寳野:データエンジニアとしての日々の仕事には、大きく分けると2種類あります。
1つはカスタマーエンジニアとして、GCPのデータ処理・分析サービスの導入を検討されているお客さまに対して、さまざまな提案や技術支援を行っています。お客さまからデータ活用やデータ分析のニーズを直接ヒアリングして、その実現に最も適したデータ処理基盤のアーキテクチャやデータ活用方法をご案内しています。

もう1つの仕事は、Google社内で定められている「20%ルール」を使って行っています。Googleでは、業務時間の20%をメイン業務以外の仕事に使ってもいいというルールがあります。この制度を使って、Google社内の営業部門の方々がデータに基づいて営業戦略を立てられるように、データ基盤や分析ツールなどの整備を行っています。

──Googleでは、営業戦略もデータに基づいて立てられているのですね。

寳野:はい。Google社内では、「データを基に考えよう」というカルチャーが根付いています。何か提案したり意見を述べる際も、「こういうデータがあるから、こういう戦略が有効ではないか」「この戦略を採用したら、何%の確率でこうなる」といった具合に、データに基づいてディスカッションする習慣が浸透しています。これは営業とて例外ではなく、勘や思い込みではなく、「あくまでもデータに基づいて戦略を立てる」という方針が徹底されています。

BigQueryを周辺サービスと組み合わせることで多様なユースケースに対応

──普段のお仕事の中で扱われているデータ分析基盤は、どのような製品・サービスを使って構築されているのでしょうか。

寳野:データ分析のニーズに関しては、GCPが提供する「BigQuery」というデータ分析プラットフォームサービスが中心になります。先ほどお話しした、社内の営業部門に対して提供しているデータ分析基盤も、このBigQueryを使って構築しています。このサービスを使ってさまざまなデータを集計・分析し、さらにその結果を営業現場のニーズに即した形式で可視化することで、より成約確度の高いリード顧客を抽出できるようになります。

また社外のお客さまに対して提案するサービスも、データ分析案件に関してはやはりBigQueryが中心となります。ただし、必ずしもBigQuery単体だけで完結する案件ばかりではありません。BigQueryと連携してさまざまな機能を提供する周辺サービスと組み合わせることで、さらに高度な分析が可能になったり、BigQueryにさらに迅速にデータを持って来れるようになります。こうした「BigQueryと周辺サービスを組み合わせたソリューション」の提供に、現在力を入れています。

──最近では、どんなサービスをBigQueryと組み合わせた提案が多いのでしょうか。

寳野:最近増えてきてたユースケースの1つとして、「ストリーミング処理」があります。ストリーミングによってデータをリアルタイムに集計したり、BigQueryになるべく早くデータを送り込みたいという要件が増えています。

例えば、ECサイトで「過去1分間の売り上げを、リアルタイムに見たい」といったニーズに応えるためには、ストリーミング処理が不可欠です。

こうしたニーズに応えるには、GCPが提供するストリーミングデータ処理のフルマネージドサービス「Cloud Dataflow」が有効です。これをBigQueryと組み合わせることで、リアルタイムのデータ集計を極めて簡単に実現できます。これはもともとGoogle社内で長らく使われてきたシステム構成で、豊富な実績があります。オンラインゲームのプレイヤーの動向をリアルタイムに分析したり、IoTデータを処理したりといった用途でも、こうしたリアルタイムデータ処理基盤のニーズが増えてきています。

──さまざまな業態のビジネスニーズに応えているのですね。

寳野:はい。私たちは単にお客さまにサービスを提供しておしまいではなく、お客さまがGCPのサービスを使ってビジネスを成功させるところまで責任を持ちます。実際のところ、クラウドサービスはただ契約を取るだけでは何の利益も生みません。その後、実際にお客さまに長期間に渡ってサービスをご利用いただいて、初めてビジネスとして成立します。そのためには、まずはお客さまのビジネスニーズを深く理解した上で、その実現のために適した技術要素を組み合わせて本当の課題を解決できるソリューションとしてご提案するという手順を取ります。これをやらずに、いきなり技術を提案しても、お客さまのビジネス課題を解決できる保証はどこにもありません。

「Google Cloudのカスタマーエンジニアのミッションは、サービス導入ではなく、お客様のビジネスを成功に導くこと」と寳野さん

──そのような提案が行えるようになるためには、どんなスキルが必要だとお考えですか。

寳野:お客さまのビジネスを理解するとともに、数多く存在するGCPのサービスが、解決することを目指しているユースケースの深い理解も必要になってきます。一般的に、どんな技術にもトレードオフがあります。GCPのトレードオフが強い特徴のあるサービスでいうと、BigQueryやCloud Firestore等が挙げられますが、これらは「目的特化型」のサービスです。つまり、ある特定の目的を達成するために最適化されてとても良い性能や、楽な運用を提供してくれます。裏を返せば、想定した目的以外のユースケースに適用しても、必ずしも十分な効果を発揮できるとは限りません。従って、それぞれのサービスがどのようなユースケースに適しているのか、きちんと理解した上でお客様のビジネスに合った提案を行うことが重要なのです。

Google Cloudで働くエンジニアに求められるスキルや素養とは

──寳野さんのように、Google Cloudでカスタマーエンジニアとして活躍するには、どんなスキルや素養が必要ですか。

寳野:大きく分けると、「ソフトスキル」「技術スキル」「カルチャーマッチ」の3つが必要になるかと思います。ソフトスキルとしては、お客さまのユースケースを深く理解するためのヒアリング能力やプロジェクトマネジメント能力、プレゼンテーション能力、そして新技術に常にキャッチアップしていくマインドセットなどが必要になります。

技術スキルとしては、クラウドに関する基本的な知識、コンピュータサイエンスの基礎知識、そしてその人が持っている「これなら自信がある」という専門領域に関する深い知識、この3点をカスタマーエンジニアの採用活動の際には重点的に見ています。

──「カルチャーマッチ」とは、Googleの企業カルチャーに合っているかどうかということでしょうか。

寳野:その通りです。この点は、Googleにおけるすべての職種の採用活動において重要視されています。もう少し具体的に言うと、まずは全社員に「リーダーシップを持つこと」が求められます。それから、先ほど申し上げた「データに基づいて物事を考える」「データを使ってソリューションを導き出す」というデータドリブンの文化に適応できるかどうかも重視しています。我々のチームでは製品チームへのフィードバックを、お客様の立場に立ったエンジニアとして行うことも大切な業務です。この際、議論は定量や定性的なデータやお客様のビジネス上でのユースケースに基づいて行われますので、これらはとても重要な要素となります。

そして3点目として、私たちGoogler(Googleの社員)が“Googleyness”と呼ぶ素養、つまり「Googlerらしさ」とでもいうべき能力を重視しています。具体的には「周りの人と協力することを楽しむ」「上下関係を意識させないフラットでオープンな態度」などのことを指しますが、一方でGoogleはビジネスの不確実性に対応しながら成長してきた会社であるため、そこで働くということは、技術やサービス、組織体制がものすごいスピードで変化をしていく状況に多く直面することでもあります。このような状況のの中でも、先ほど挙げたような「Googlerらしさ」を貫けるかどうか。このあたりの素質も見ていますね。

Google Cloudで働くことは「エンジニアのキャリアを形成する上で素晴らしい経験になる」と語る寳野さん

──最後に、Google Cloudで働くことの魅力について教えていただけますか。

寳野:Google Cloudは、Google社内でも現在急速に拡大している組織で、ビジネスとしても急成長していますから、エンジニアにとっては最先端の技術やビジネスに触れながら自らを成長させることができる恰好の場だと思います。

またGoogle Cloudは、GCP独自のサービスだけでなく、オープンソース技術にも深くコミットしています。例えば、最近注目を集めるKubernetesやTensorflowといったオープンソース技術は、もともとはGoogleが開発したもので、オープンソース化された後も当たり前のようにGCPのサービスに組み込まれています。そのためお客様とアーキテクチャを議論する上では、Google独自のサービスだけでなくオープンソース界隈の動向やその技術を把握しておく必要があります。オープンソースのソフトウェアサービスに関する知見も身につくことで、今後のキャリアも幅広く開けていくはずです。そういう意味でもGoogle Cloudで働くことは、あらゆるエンジニアにとって貴重な経験となることでしょう。

──ありがとうございました。

GCPをどのように活用しているかといった技術の話のみならず、寳野さんのGoogle Cloudへの転職動機、カスタマーエンジニアの仕事内容について、さらにGoogle CloudのエンジニアやGoogle社員に必要とされるスキルなどのキャリアについてもお話いただけました。
GCPについてもっと知りたい方は、寳野さんも出演している、GCP活用方法や最新情報を放送するオンライン番組「Cloud OnAir」や「Google Cloud Japan公式ブログ」をご覧ください。
Google Cloudでの採用情報は以下からご確認いただけます。

Google CloudのCloud OnAirの放送ラインナップを見る

今回ご紹介いただいたGCPの使い方や最新情報を伝える番組・Cloud OnAir

・GCPなどの最新情報が投稿される「Google Cloud Japan公式ブログ」
https://cloud-ja.googleblog.com

・Google Cloudの採用情報はこちら
https://careers.google.com/cloud/

近日、「Google ドライブ」「Google ドキュメント」などのコラボレーションツールの活用方法と、ツールに込められた想い、Googleが取り組むカルチャー変革についての寳野さんへのインタビュー記事を公開いたします。

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