Dear Great Hackers

  1. オリジナル企画

Qiitaで気になる、あのエンジニアに会ってみた!<vol.2 伊藤淳一さん>


Qiitaのユーザーさんを取材する連載企画「Qiitaで気になる、あのエンジニアに会ってみた!」第2弾。今回は前回、登場いただいた広木さん(https://zine.qiita.com/original/qiita-engineer-hirokidaichi/)同様、ユーザーランキングでトップクラスの伊藤淳一さんにお会いしました。Qiitaでは多数の丁寧な記事を書かれている伊藤さんに、Qiitaを利用したきっかけや利用してよかったことなどお伺いします。なお、伊藤さんのご自宅が兵庫県にあるため、インタビューはリモートで行いました。

目次

「インターネットへの恩返し」をしたいからQiitaを使う
記事を書くときはペルソナを意識する
Qiitaを通じて得られたさまざまな出会い

プロフィール

話し手:伊藤淳一(いとうじゅんいち)
SIer、社内SEを経て、ソニックガーデンに合流したプログラマ。『プロを目指す人のためのRuby入門』の著者。および『Everyday Rails – RSpecによるRailsテスト入門』の翻訳者。QiitaのContributions数約4万4000(2019年4月現在)。

 

聞き手:Yuji Nakayama
アプリケーションエンジニアとして、2014年にIncrements株式会社に入社。エンジニアの転職支援サービス「Qiita Jobs」のプロダクトマネージャーとして開発全体を統括。社外では、RubyのOSSプロジェクトであるRuboCopやRSpecのコアコミッターとしても活躍。

「インターネットへの恩返し」をしたいからQiitaを使う

中山:まずQiitaを利用するようになったきっかけから教えていただけますか?

伊藤:2012年にIncrementsのCEO海野さんとソニックガーデンのオフィスで出会って、Qiitaについて教えてもらったことがきっかけです。それまではずっとブログで技術記事を書いていたんですけど、Qiitaの話を聞いてちょっと使ってみようと。

中山:当時はまだ僕は入社していませんでしたが、Qiitaのローンチが2011年なので立ち上げて間もない頃ですね。おそらく質の高い技術ブログを書いている方にアプローチして、Qiitaを紹介していたんだと思います。

伊藤:そうですね。確か意見交換するといった話でお会いした気がします。Qiitaを使いはじめて以降は技術系の記事はQiitaに、それ以外の日記などの文章メインの内容は自分のブログにと使い分けていますね。

Qiitaとブログの使い分けに関して 登壇の際に使用したスライドより

Qiitaとブログの使い分けに関して 伊藤さんのブログより

中山:Qiitaに書くネタって、どういうときに思い浮かぶんでしょうか?

伊藤:自分が問題にハマっていてそれが解決できたときや、勉強会に参加したときの振り返りや気付き、あとTwitterを見ていて初心者の方が困っていそうなトピックを見つけたときが多いですね。みんなが喜んでくれそうな内容をネタにしている感じです。

Qiitaを利用するきっかけとして、インターネットへの恩返しを挙げる伊藤さん

中山:Qiitaに記事を書く人って、自分のために書きつつ、ついでにほかの人の役にも立てばいいなっていう人と、そもそも自分のためというよりはじめから他人のためにボランティア的な気持ちで書く人がいるように思うんです。伊藤さんは初心者向けにすごく丁寧な記事を書かれているイメージがあるんですが、それはどういうモチベーションなんでしょうか?

伊藤:それはインターネットへの恩返しですね。Qiitaを使うよりずっと前からインターネットを使っていて、技術もそうですし、日常に関することでも助かった経験がたくさんがあるからです。

昔はブログがなくて、個人個人がホームページをつくって何かしらの情報を発信していました。ホームページの作者は、見知らぬ誰かに役立つかもしれないという気持ちでアウトプットしていたんですよね。当時、僕は読み手として検索してホームページを見つけて、ためになる情報を手に入れて、時間の節約にもなった。あの時の感謝の気持ちをいまだに持ち続けていて、そのサイクルを回し続けたいと思っているんです。

記事を書くときはペルソナを意識する

中山:記事の内容なんですけど、「ここでハマったのをこうやったら解決できました」的なコンパクトにまとめたTips的なものと、すごく構成を考えた長めのものがありますよね。その辺は何か方針があるんですか?

伊藤:僕の場合、人から読まれることを想定して書いているんですよ。ある人が困っていて、Googleでキーワードを入力して僕の記事にたどりついて、「あーこれが知りたかったんだ」という流れを意識して書いているんです。

だからエラーメッセージが出たという場合は、ここをこう直せば解決しますよということで短めの記事になりますし、もっと大きなノウハウ、例えばテストの書き方なんかだと、例えば、新人研修で「新人に教える時に何か良い資料ないか」と探している人が、「ああ、こんなところにこんな資料がまとまってる。新人はこれ読もうね」っていうような使われ方をイメージして、しっかり構成を考えた長めの記事になりますね。

中山:書くときに読者のペルソナを意識して書いているということですね。

伊藤:そうですね。あと、検索してまだ誰も書いていないテーマで書くというのも意識しています。書こうと思っても、検索してすでに誰かが書いているなら書かないです。仮に内容がかぶるような記事を書くとしても、オリジナルのエッセンスを入れるようにしています。

中山:読者にとって本当に価値になるものを提供していくことを心がけているのですね。ちなみに僕もテストコードのレビューをしているときに、テストコードの良し悪しの説明として「伊藤さんのこの記事を読んでください」って紹介させてもらうことがよくあります。
テストコードの話が出てきたので、関連した話なのですが、伊藤さんはRSpecの本『Everyday Rails – RSpecによるRailsテスト入門』を翻訳されていますよね。それはどういった経緯なんでしょうか?

話が盛り上がり、Qiitaだけでなく伊藤さんが翻訳した技術書について話す中山

伊藤:英語版を読んですごくためになったからです。最初は「英語だけど読めるから、みんな頑張って読んでみてね」みたいに勧めていたんですけど、そのうち先程も言っていた”インターネットへの恩返し”の気持ちが芽生えてきて「自分で翻訳してもいいか」と。

中山:じゃあ海外の著者の方に自主的に連絡を取って。

伊藤:そうです。翻訳の許可を取って、僕だけじゃなくてほかに知り合い二人に協力を仰いで翻訳に取り組みました。今も著者の方とは連絡を取っていて、英語版のアップデートがあればできる限り速やかに日本語版も追従するように心がけています。

中山:ちなみに伊藤さんはRSpecのどういった部分を気に入って使っているんでしょうか?

伊藤:「こんなのあったら便利だな」と思うものが一通りセットアップされていて、仕事で使うのに実用的なところですね。個人的にRSpecの中で一番好きなのは、describeやcontextで構造化したり、focusでフィルタリングしたりといったrspec-coreの部分ですね。

中山:僕も同じくrspec-coreの部分が一番好きですね。RSpec派、Minitest派みたいなくくりも聞きますけど、Minitestは本当にミニマルな感じで自分の好きなように構成できますから、それぞれにメリットはあるのかなと思います。

Qiitaを通じて得られたさまざまな出会い

中山:Qiitaを利用して良かったことがもしあればお話を聞かせてください。

伊藤:有名にはなれた気がします、おかげさまで(笑)。Qiitaを書いていて良かった点は、拡散効果が高いところですね。

自分のブログに書くよりも、Qiitaの記事はいろいろな人が注目してくれます。Qiitaトップページのトレンドだったり、Qiitaから送られてくる週刊メールのランキング掲載経由だったりでPVが上がっていって、「いいね」がたくさん付きますので励みになります。

あとは勉強会に参加した時に「いつもQiita見てます」と言われることもありますし、雑誌や書籍の執筆依頼が来たりもします。Qiitaの記事をきっかけにRubyMineの公式ブログにも記事を掲載してもらいました(※)。

※編集部:その経緯は伊藤さんのブログ「RubyMineブログに英語記事を書いたよ + 最近書いたQiita記事とか」にあります。

そんなこんなでQiitaに記事を書いてたらいろいろな出会いがありました。

Qiita がきっかけで出会いがあったと語る伊藤さん

中山:そういった出会いが出てきたのは、Qiitaを使い始めてどれくらいなんでしょうか。

伊藤:いま調べたら、2015年には雑誌に記事を書きませんかという依頼を受けていますね。Qiitaの記事に限らず、ブログなど自分がインターネットで発信したコンテンツが注目を集めると、これまでぜんぜん関わりのなかったところから声がかかります。それこそ新聞社だったり、テレビだったり。

中山:ここまでQiitaを使い始めて良かったことをお話いただけましたが、じゃあ伊藤さんが主観的に楽しいと感じるのはどういうときでしょうか。

伊藤:楽しいと感じるときはやっぱり、自分が書いた記事に「助かりました」とか「すごく分かりやすかったです」などの反応があるとハッピーになりますね。
もともと世間にアピールするようなことを目指していたわけではなくて、先程も言ったように「インターネットで調べて助かった」というハッピーになった人を増やしたい気持ちありきなんですよね。

中山:それが楽しくて、また記事書こうかなっていう感じですかね。

伊藤:そうですね。ハッピーになった人から反応をもらうと、また記事を書こうと思いますし、これからも「こんなの書いてくれた人がいた。ありがたい」って思われる側にいたいです。

僕自身も今でも、検索して「ああ助かった、ありがとう」って感謝するときはよくあるんです。そういう体験をみんなで増やしていければいいなと。そのためにQiitaを利用していきたいですね。

中山:今日はありがとうございました!

中山の感想

以前から伊藤さんのQiita記事は類を見ないほど丁寧でわかりやすく書かれていると感じていましたが、その背景には、「ペルソナを想定して書く」という明確な手法があり、納得と同時に改めて流石だと思いました。
加えて「インターネットへの恩返し」というモチベーションで記事を書き、読者からのポジティブな反応を受けてさらにモチベーションが高まるという良いサイクルの中で、多数の良い記事を書かれてきたことが伺い知れました。
技術記事のスタイルにもいろんな方向性がありますが、伊藤さんのように「あの人が書いた記事なんだったら読んでみよう」というキャラクターを確立しているのは、やはり大きな強みなのではないでしょうか。

編集部より

今回のテーマに沿った伊藤さんのQiita記事をご紹介いたします。ぜひご覧いただければと思います。

・【初心者向け】テストコードの方針を考える(何をテストすべきか?どんなテストを書くべきか?)
https://qiita.com/jnchito/items/2a5d3e15761fd413657a
・テストコードの期待値はDRYを捨ててベタ書きする ~テストコードの重要な役割とは?~
https://qiita.com/jnchito/items/eb3cfa9f7db752dcb796
・使えるRSpec入門・その1「RSpecの基本的な構文や便利な機能を理解する」
https://qiita.com/jnchito/items/42193d066bd61c740612

最後に、伊藤さんの著書「プロを目指す人のためのRuby入門 言語仕様からテスト駆動開発・デバッグ技法まで」をご紹介します。
当記事をここまでご覧いただけた皆さまにおススメです。GWの読書にぜひどうぞ😊

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