Dear Great Hackers

  1. インタビュー
  1. タイアップ

Sansanが変える未来 創業時より変わらない100%へのこだわりと世界で戦う気概


多くの一般企業や個人がクラウドを活用する現在、WEBサービス開発のインフラもクラウド環境が当たり前の時代になっている。

本企画では「クラウド時代に求められるエンジニアリングの実態」をテーマに、エンジニアを積極採用し続けるユーザー向けサービス企業のCTOと、クラウド・エバンジェリストの林 雅之氏を交え、サービスの開発現場の実態や、そこで求められるエンジニア像について熱く語って頂く。

第三回目は「名刺を企業の資産に変える」がコンセプトの『法人向け名刺管理サービスSansan(サンサン)』及び、「Your business network」がコンセプトの『個人向け名刺アプリEight(エイト)』を運営するSansan株式会社 プロダクト部部長 藤倉成太 氏にお話を伺った。

プロフィール

藤倉成太(Fujikura Shigemoto)
Sansan株式会社 Sansan事業部 プロダクト部部長
技術を探求することに興味があった20代を、前職オージス総研の駐在員としてアメリカ・シリコンバレーで過ごす。イノベーションを起こそうという信念の下、母国を離れ、睡眠時間を削りながらものづくりをするエンジニアたちを目にし、技術のための技術ではなく、貨幣価値のような世の中にインパクトを与える仕事に懸けたいと思うようになる。日本発の世界で戦えるプロダクトであり、歴史上未だ解決できていない課題に挑む点に惹かれ、SansanにJOIN。同社の法人向けサービス「Sansan」のプロダクト部の部長を務める。
100万人が使う名刺アプリ Eight
Sansan株式会社 – クラウド名刺管理

 

林雅之(Hayashi Masayuki)
NTTコミュニケーションズ クラウド・エバンジェリスト
政府・地方のクラウドや情報通信政策関連の案件担当を経て、2011年よりクラウドサービスの開発・マーケティングに従事。年間50〜60件の講演やクラウド導入時のコンサルティングを行っている。国際大学GLOCOMの客員研究員やアドバイザーなど、様々な肩書きを持つ。毎日ITブログの更新を続けて約10年、東京〜群馬間の新幹線通勤を続けて約17年という稀有な一面も。趣味はジョギングで、2017年は東京マラソンを完走。
『ビジネス2.0』の視点:オルタナティブ・ブログ
エバンジェリスト | NTTコミュニケーションズ 企業情報

4年連続シェアNo.1!中小から大手企業までの働き方に革新を起こす

“名刺を企業の資産に変える”
紙の名刺がビジネスの世界に現れて200年。ITが発達して30年、誰ひとり解決できていない課題に挑み続けるSansan株式会社。『Sansan』は、これまで個人の資産に止まっていた名刺の情報をクラウド上のデータベースに蓄積し、企業の資産として新たな価値を生み出す法人向けクラウド名刺管理サービスだ。名刺をスキャナやスマホで読み取り、オペレーターの手入力によりデジタル化する。その精度は99.9%に達しており、数々の受賞と特許を取得している。リリース当初はベンチャー界隈での導入がメインであったが、現在導入社数は5,500社を突破し、大手企業や海外へと市場を広げている。

林:藤倉さんは2007年の創業から1年後にSansanへ入社され、9年目を迎えられた今、サービスの内容や市場の反応についてどんな変化を感じられますか。

藤倉:まず、創業時からやるべきことは1ミリも変わっていません。要するに僕らがやりたいことは、名刺に内在する価値を具現化し、世の中の働き方・ありようを変えよう、イノベーションを起こそうということです。もちろん、その時々で打つ手を変えるわけですがMissionはずっと変わっていません。

林:以前、御社にお伺いしてクラウドサービスの導入について議論させていただいたことを思い出します。あれから5~6年、どのようにクラウドを利用されてきましたか?

藤倉:今はAWS一本ですが、5年前の導入時は個人情報を扱う所以からクラウドを使うことの是非が議論されていた時代でした。基盤としてIaaSを使ったサービスであることはNGという風潮があったので、「クラウド」という言葉は聞かれない限りオープンにせず、オンプレミスでも運用していましたね。

林:今は本格的にクラウド一本で?

藤倉:今は100%クラウドです。Eight(*同社の個人向け名刺アプリ)ではサーバーレスアーキテクチャ、名刺のデータ化はAWSのSimpe Workflowを利用していて、結構面白い使い方をしているのではないかなと思います。

IoTやAIの起用がクラウド導入のきっかけに
クラウドファースト、クラウドノーマルの時代へ

林:クラウドの市場もこの5年で大分変わってきました。初期の頃は製造業やサービス業、グローバルに展開されている企業で導入が進んでいました。クラウドファーストという概念は、ベンチャー界隈やイノベーター的な組織に浸透が早かった。その後、FinTechやEdTechの発展に伴い、クラウドを本格的に導入しようとする金融機関も出てきました。最近はCIO向けのコンサルティングを行っていますが、組織のトップへアプローチすることで、現場とのコミュニケーションを促しています。クラウドを標準とする動きが、金融や教育・公共系など、導入に後ろ向きだった業界にも見られるようになってきました。

100%でないと意味がない
名刺をデータ化することへのこだわり

林:4年連続シェアNo.1の理由、他社に負けないポイントは何でしょう。

藤倉:気概‥でしょうか。名刺をデータ化することへのこだわりは、弊社の一つの強みだと認識しています。例えば、他社さんのOCRテクノロジーを使ったサービス。早く簡単に手に入るけれど、精度はどうかな?と。でも僕らはどうかな?では済まないと思っている。100%でないと意味がない。OCRや画像処理だけでなく、人間の手でも目でも使って何でもいいからとにかく100に近づける。

林:なるほど、Mission達成への気概が100%へのこだわりを生んでいる。

藤倉:名刺のデータ化は自動化できる部分もありますが、綺麗なアルゴリズムだけで解決できる課題ではなく、細かいところは目視で入力する必要があります。ですが人間が入った瞬間、スケーラビリティが難しくなり、コストがかかる。オペレーションはとても面倒になりますが、僕らは100%へのこだわりを捨てちゃいけないと思っています。

林:サービスの認知が高まる中、特に注力されている点はありますか。
藤倉:過去にあった事象から未来を予測して提示するといった、今流行りの領域にも踏み込んでいます。過去に交換した名刺の実績から、明日はこの人に会うべき!といったデータ予測もできるのではないかなと思っています。

林:それは面白いですね。R&D部門ではどんな研究開発をされていますか。

藤倉:R&Dには新しい領域の研究だけでなく、結果にCommitすることも求めています。ディープラーニングが得意とする画像解析や、少し込み入った話を挙げますと、弊社では名刺のデータ入力を一部外部へ依頼しています。名刺そのものを渡すと個人情報漏洩になってしまうため、名刺を切り刻む必要があります。例えば、山田太郎さんの名刺。「田太郎」と刻まれたものよりは、姓名の間を切った方が入力の効率が上がりますよね。刻む場所の最適化を、機械学習でどう解決していくかという研究も行なっています。

ものをつくって終わりではなく、運用まで同じメンバーが担う

林:現在Sansan担当のエンジニアは36名。どんな体制で開発されていますか。

藤倉:エンジニア4〜5名と、プロダクトの企画部門のプロダクトマネージャとデザイナーが1名ずつ、スクラムチームを組んでいます。ものをつくって終わりではなく、開発チームごとに1週間単位で運用を担当し、全エラーを見て対処すべきかプライオリティをつけていきます。

名刺のデジタル化を世の中の当たり前にする
目下の課題は‥

藤倉:ただただ人が足りない!ということです。法人のクラウドサービスでトップを走っているセールスフォースさんは世界中にデータセンターがあり、数千人の優秀なエンジニアがいる。世の中を変えるにはあのくらいのレベルをやらなきゃいけない。エンジニアの人数からして圧倒的に不足している状況です。やらなきゃいけないことが今の数十倍あることさえ分かっていない状態だと思っています。開発は基本的に全て内製なので、社員全体の4割程度がエンジニアである比率は最低限保ちたいですね。

SansanのMissionにいかにバリューを出せるか考え抜ける人

林:どんな方に来てほしいですか。

藤倉:マインド重視です!うちの代表がよく口にしますが、Missionを達成できなければ解散すればいいという考えを持った会社です。Missionを達成できたら勝ち、できなかったら負け、会社はその器に過ぎない。Sansanのカルチャーにフィットし、事業を半歩でも一歩でも前進させるために自分は何をもって貢献できるか考え抜ける人と一緒に働きたいですね。

林:スキル面はいかがですか。

藤倉:技術のコンバートはセンスの良い人であればいくらでもできると考えています。持論ですが、エンジニアの市場価値は高度な技術を使いこなせることではなく、事業に対してどれだけCommitできるかという目線でものをつくることだと思います。事業に求められるスピードに追いつくためには、技術的負債も積んで当たり前というぐらい振り切れている人でないと価値がない。もちろんプログラムの保守性やシステムの可用性はエンジニアとして守らなければいけませんが。弊社では制度としてのキャリアパスは特に設けていませんが、体現しながら学んでいくことで、実績と実力を身につけられる環境だと思います。

1年ごとにMission Statementの見直し
役割が明確でないポストは置かない

林:採用した方に会社の文脈を伝えたり、社員全員が100%へのこだわりを持ち続けるために工夫されていることはありますか。

藤倉:愚直にやり続けることだと思っています。実は創業以来、全社朝会で社員証に書いてあるMISSIONや行動指針の唱和を続けています。新しく入ってきた人の中には、ベンチャーなのにやっていることが昭和だな!と違和感を持つ人もいますよね。違和感を持ってくれたら、そこから理由を伝えていく。

Mission Statementもニュアンスを変えるか否か、数年に1回見直しを行なっています。その際は前回議論した時からその時までには入ってきた人まで全員参加してもらいます。多い時は80名ぐらい。工数はかかりますが、自分たちでMissionを決めることで、出来上がったMissionに対しての向き合い方が変わってくるので。

林:CTOを置かれていない点もなかなか珍しい風土ですよね。

藤倉:CTOの役割は何か、何にCommitしてくれる存在なのか。僕らの事業の中でイメージが湧かないため現状は置いていません。その代わり部門の責任者間で意識と目線を合わせるための情報共有はきちんと行なっています。

林:カチッとしたMissionを持つ御社らしい理由ですね。本日はありがとうございました!

Sansan株式会社 エンジニア募集情報

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