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「場所にとらわれない働き方」LINE Growth Technologyが札幌に拠点を設立した理由とは

「使っていない人はいないのでは?」というほど普及し、私たちの生活に溶け込んでいる「LINE」をはじめ、様々なサービスを手掛けて成長を続けるLINEグループ。同グループがGrowth領域の開発専門の子会社として2018年に設立したのが「LINE Growth Technology」です。

同社は東京と福岡という大都市に拠点を構え、グループの成長と発展を支える骨太のGrowth開発を手掛けました。2020年には第3の拠点となる「札幌開発室」をスタートさせ、開発体制を全国的なものへと展開しはじめています。

札幌に拠点を構えた理由や、Growth開発の醍醐味、これからLINEグループ内で担っていく役割と“北のIT都市”札幌で働く魅力などについて、LINE Growth Technology取締役の片野秀人氏、札幌開発室マネージャーの寺田崇寿氏に伺いました。

プロフィール

片野 秀人(かたの ひでと)
LINE Growth Technology株式会社
取締役
2009年3月ライブドア(現LINE)にサービスインフラ担当として入社し、「ライブドアブログ」やLINEのファミリーサービス等のサービス運営に参加。2013年より社内IT部門責任者を兼任。2016年のLINEモバイル立ち上げなどを経て、Growth領域の開発を専門とする「LINE Growth Technology」を立ち上げ、2019年1月よりLINE執行役員。

 

寺田 崇寿(てらだ たかとし)
LINE Growth Technology株式会社
札幌開発室マネージャー
2007年にキャリアをスタート。エンジニアとして金融系企業で銀行のシステム開発を4年、その後、通信系SIerで7年間流通サービス向けシステムの開発に携わる。海外勤務も経験したが、北海道札幌市に生活基盤の中心を置き、2020年2月に「LINE Growth Technology」に参加。札幌開発室のスタートメンバー(第一号社員)として開発とチームマネジメントを担う。

「LINE Growth Technology」が札幌に開発室を設立した理由とは?

――はじめに「LINE Growth Technology」がどんな会社なのかと、LINEグループ内でのミッションを教えてください。

片野 : 「LINE Growth Technology」は、LINEグループが2018年6月に設立した開発専門の子会社で、サービスの成長領域(Growth領域)の開発業務が主軸になっています。

設立の背景には、LINEの事業の柱であるWEBサービスを0から1へと開発するだけではなく、10から100へと成長させるために、グループとしてサービスを持続的に提供し続けていくことが大きなミッションになっていたことがあります。それまでGrowth領域に入っているサービスやビジネスを継続的に成長させていくことに特化した開発組織がグループ内になかったことも大きいですね。

LINEグループ全体として、これまで開発領域の切り分けが明確ではありませんでした。新規事業の開発が入れば、新規開発を進めながら既存サービスの追加開発や障害対応もやるという形でやっていたのですが、LINEの規模感でそのやり方は厳しかったため、明確に担当領域を分けることにしたのです。

また、サービスの規模が大きくなり、業務の流れが複雑化してきたこともあって、WEBサービスのGrowth領域での高度な運用・開発業務などに特化したエンジニアを集めた組織を作りたいと考えました。組織の担当領域を明確に分けてメッセージを出すことで、それぞれにコミットしたいエンジニアを集めたいという意図もあります。

――日本ではGrowth領域に特化した開発組織は少ないと思いますが、先駆けて取り組んでいる意識はありましたか?

片野 : そうですね。いわゆるSIerの業界に運用の専門子会社は存在していると思いますが、Growth領域というよりは少し泥臭い印象をお持ちの方もいるのではないでしょうか。「運用」という言葉は一般的にはあまりポジティブに評価されませんが、Web業界にいると、「運用」はとてもレベルが高い仕事と認識している方も多いと思います。

その世間との認識の差を埋めて「運用」という言葉のイメージ自体を変えていきたいと思ってるので、明確にそういったメッセージを出してブランディングをしていきたいという意識はありました。

――LINEグループの「LINE Fukuoka」という拠点があったことが福岡開発室の設立の理由のひとつだったと伺っていますが、今回、札幌に開発室を設立した理由をお聞かせください。

片野 : 前提として、弊社は東京と福岡で今までも採用活動をしてきており、ロケーションにこだわらずに仕事をしています。そのため、採用する拠点を増やしたほうが優秀なエンジニアに巡り会えるチャンスが増えることになりますので、早い段階から拠点を増やしたいと考えていました。

LINE本社は京都にも拠点がありますし、私たちにも福岡に拠点があるので西側は充実しています。東京から少し離れた他のエリアの地方都市をいくつか検討しました。LINEが拠点を持たない地方都市の中で、札幌はエンジニアのコミュニティや勉強会などの活動も多く、優秀なエンジニアにも出会えるんじゃないかという肌感があったため、第1候補になりました。

LINE Developer MeetupというLINE主催の勉強会は東京以外の都市でも開催しており、2019年1月に札幌で開催しました。イベントでの交流や、地元企業訪問で色々な話を聞き、地元エンジニアのレベルを上げていきたいという熱量が多い一方、成長のチャンスが少ないように感じました。LINEグループには様々な仕事があり、ロケーションにも縛られていません。「私たちが札幌に拠点を構えたらシナジーが出せるのでは」という感触を得て、札幌での採用活動をスタートしました。

エンジニアが地方都市・札幌で働く意味

――寺田さんは札幌開発室で働くことを想定してLINE Growth Technologyに転職したのでしょうか?

寺田 : そうです。実は、私は生まれも育ちも札幌ではないのですが、東京の会社で働いた際の配属先が北海道だったので入社前から札幌に住んでいました。

転職を考えたときに、海外で働いた経験もあって場所はどこでも良いと思っていました。
札幌は家族で住んでいるので候補のひとつではありましたが、あえて札幌にしたのは、片野さんの話を聞いて、LINE Growth Technologyがやろうとしていることに興味を持ち、札幌の街やコミュニティに還元していける仕事ならやりがいを持って取り組めそうだと考えたからです。

――札幌で働いてみて、地方で働くことのデメリットを感じることはありますか?

寺田 : リモートワークが当たり前になってきたこともあって、デメリットは全く感じないです。入社して最初の1ヶ月は東京のオフィスで研修を受けて3月から札幌に戻ってきたのですが、そこにギャップがあるかというと…ないですね。弊社の場合、拠点によって制度が分かれているとか収入が違うといったルールはなく、すべて一律です。

仕事そのものにギャップがないので、通勤にかかる時間が短いとか、家賃が安いとか、そういったメリットの方を多く享受していますね。

――技術的にみて、都市圏と地方の差はなくなっているのでしょうか?

寺田 : 技術的なところでいうとないですね。お客様とのコミュニケーションについては経験値の積みやすさという面で都会との差を感じることはありますが、核心のエンジニアリングの部分に関して差はないです。本人のやる気によるところが一番大きくなってきているんじゃないかなと感じます。

――地方では学習機会が東京と比べて少ないといわれますが、札幌はいかがですか?

寺田 : 学習機会はあります。地域での勉強会は、東京ほどあるわけではありませんが、必要十分にはあります。

片野 : LINEグループ全体で誰でも参加できる勉強会を頻繁に開いていおり、弊社でも個別に開催しています。技術に関するものから、もっと幅広いものまであり、LINEグループ全体としてエンジニアの数が多いので、グループ会社内だけでも様々なキャッチアップができるのがメリットになっています。

場所よりも、“意欲次第”という面は強いですね。例えば、社員は基本的に社内にあるソースコードはすべて見ることができるので、その気になれば自分が業務で携わっていないサービスのソースコードを読み解くこともできます。そういう意味では、チャレンジできるチャンスがいくらでもあると思います。

寺田 : 先日も社内でJavaの最新版の勉強会がありました。Javaに限らずグループ内のどこかにスペシャリストがいて、積極的にWEBでいつでも参加できる勉強会を開催してくれています。マネジメントの勉強会もあり、技術や分野を問わず様々な勉強会に参加出来て、これはすごいことです。

――東京、福岡、札幌と拠点によって違いを感じることはありますか?

寺田 : 地方ごとの特色はありますね。福岡はアントレプレナー的な新規の企業が多いせいかそこに合わせたエンジニアリングの経験を積んだ人が多いですし、札幌はSIerが多く大企業向けのシステムで経験を積んできた人も多いです。そのため、札幌はJavaやPHP、Oracle、MySQLなどの大規模システムでよく使われる技術をもとにした業務を受けやすく、強みになっているのかなと思っています。

――札幌開発室では、どのような開発を行っていますか?

寺田 : 札幌開発室の社員はまだ私1人ですが、パートナーのメンバーが7名いて、そこに東京、福岡のメンバーが加わってやっています。メンバーの管理、プロジェクトの全体管理は私がしていますが、個々のプロジェクト活動は役割分担してメンバーに任せています。

今は社内向けのITシステムが中心で、社内のネットワーク機器の情報を確認するオフィス系のシステムやフードデリバリー事業に関連したプロジェクトもはじめています。また、「LPGen(Landing Page Generator)」というLINEグループで使用するランディングページを簡易に作れるプロダクトがありまして、このメンテナンスと開発もやっています。

この「LPGen」、すごくLINEらしいシステムだと思います。「LPGen」を開発しているとLINEグループの需要に合わせてプロダクトをグロースさせていることを実感できます。

――東京や福岡と合同で開発を進めるなど、勉強会以外でも拠点間で交流はありますか?

寺田 : もうそこは、通常というか当たり前のように交流しています。「LPGen」も東京のメンバーと一緒に開発をしていますし、直近のオフィス系のシステムもロケーションに関わらず、他の拠点のエンジニアやPMの手を借りて進めています。

――ネットがあるから「隣の部屋が福岡」というような“どこでもドア”的な感じで繋がっているのですね。

寺田 : 仕事上では本当にそんな感じですね。デイリーでミーティングしているので、それこそ隣に人がいるような感覚です。気軽にオフラインの飲み会ができないのが寂しいくらいで…。

片野 : (笑)。すぐにはできないですね。

寺田 : オンライン飲み会は飽きてきましたね(苦笑)

LINE Growth Technologyが求める人物像とは

――どんな人がLINE Growth Technologyにあうと思いますか?

寺田 : 弊社のメンバーを見ると、エンジニアらしいエンジニアが多いなという印象です。「自分のスキルを伸ばしつつ、それを活かせるシステムを開発してサービスを向上させたい」というマインドを持っている人が良いのかなと思います。また、エンジニアとしてのスキルはもちろん重要ですが、組織を育てていくという気持ちを持っていることも重要なポイントです。

一言でいうと、「自ら作ることを考えて動きたいと思っている人」でしょうか。

――LINE Growth Technologyには、チャンスや取り組みがいのあるプロジェクトが多そうですね。

寺田 : そうですね。LINEグループ内の様々な部署から問い合わせや仕事の話がやってくる環境なので、幅広く経験するチャンスがあります。そして、そのすべてが自社サービスというのはなかなか珍しい環境だと思います。

――「Growth開発」にはどのような人が向いていると思いますか?

片野 : 2点あると思っています。ひとつは、課題ベースで考えるというのが得意で、それが好きということです。これは絶対条件ですね。

エンジニアにはゼロベースで考えたいタイプと、何かの課題をベースにしてそれをどうやったら改善できるか積み上げて考えるタイプの2パターンがありますが、Growth開発は後者の課題ベースだからです。誰かが困っていて、それをどうすれば解決できるのか、ということを自然に考えられる人が向いていますね。

もうひとつは、周りの人を助けるとか周囲に何か良い影響を与えることが好きで、そこにモチベーションを持てるタイプの人が向いていると思います。誰かが困っていたり、課題を抱えていたら、それを発想の取っ掛かりにして、自分が今までやってきた経験・エンジニアリングで何ができるのかを考えられる人がGrowth開発に向いています。

――LINE Growth Technologyの各拠点で働く際に、「地元に貢献したい」というマインドは必要でしょうか?

寺田 : 私の場合、札幌は地元ではないですが、長く住んでいるところに貢献していきたいという意欲はあります。札幌のエンジニアリングのコミュニティを育て、盛り上げていける規模の会社にしていければと思います。

片野 : 私は神奈川出身で地元に対してそういったマインドは無いのですが、福岡・札幌と拠点を立ち上げて「地元に貢献、還元したい」「長く住んでいたい」という軸を持っている人は強いと感じています。「そこで働いて、住み続けたい」という軸が満たされていると、仕事への取り組みが安定して強みになっていくのだと思います。

「働く場所を自分で決めた!」と、自分の考えを持っていることが大きいんだと思います。意志を持って自分で決めている人は強いということなのかもしれません。

在宅勤務の広がりが地方拠点勤務に与えた影響

――新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、在宅勤務が以前より一般的になりましたが、札幌開発室での業務に影響はありましたか?

寺田 : 意外と無かったというのが正直な感覚です。コミュニケーションの機会を増やすなど、マネージャー陣と相談して環境を整えるなど対策をしていたので、コロナ禍の影響を受けずに業務を維持できたかなと思います。

体調管理の難しさはあると思いましたが、私個人としては、最近は庭で仕事をするというスタイルを確立して、太陽の下で働くようにしたら調子が良くなりましたね。

――ご自宅の庭でお仕事をされているのですか?

寺田 : はい。庭にキャンプ用のベンチを置いてそこに座ってパラソルの下で仕事をしています。

――ビデオ会議に参加しても、背景の自然は合成ではないのですね。他に自然の中で働いているメンバーはいらっしゃいますか?

寺田 : 同席された方に、「その背景はどこですか?」とよく言われます(笑)。多分私だけですね。他のメンバーはおそらく家の中にいると思います。

札幌でGrowth開発をしたい方へ

――UIターンをはじめ、「北海道に住んで働いてみたい」というエンジニアに札幌開発室の良さを教えてください。

寺田 : 北海道は物価が安く、ウィンタースポーツができるなど楽しめることが多いです。仕事面では自社サービスということもあってスケジュールが調整しやすく、余暇も取りやすいですね。また、SIからキャリアチェンジしたい人はやりがいが感じられる拠点かもしれません。

札幌開発室にはSI系の経験が豊富なメンバーが多いので、社員として入ってくる人はチームリーダーとして皆を引っ張っていくことが求められています。テクニカルな面はもちろん、チームリーディングやマネジメントといったスキルも伸ばしていきたいと考えている方にとっては、この環境はチャンスが多くてとても魅力的だと思います。

――最後に読者へのメッセージをお願いします。

寺田 : 私も働いて半年ですが、「LINE」というプロダクトの開発に札幌からロケーションに関係なく携わることができ、他ではできない経験をしていけるのは本当に魅力的だと思っています。北海道を盛り上げていきたいと考えているので、そういう気概があって、様々なことにチャレンジしてみたいという方には、ぜひ興味を持って受けていただきたいですね。

片野 : 自社サービスの開発なので、労働時間を含めて裁量があり、決まったことをやるのではなく「どうしたらもっと良いサービスになるか」ということを自分たちで考えるチャンスがいくらでもあります。それを東京でなくてもやれるというのが、大きなメリットだと思っています。

リモートワークをきっかけに、コミュニケーションは今まで以上に距離の壁がなくなりましたし、良い意味で皆がオンラインで繋がってフラットになり、地方で働きやすい時代になりました。北海道に帰って働きたいと思っている方や、札幌でチャレンジできる仕事をしたいと考えている方に、LINE Growth Technologyで働くことを検討していただけると嬉しいです。

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編集後記

エンジニアにとって、リモートワークが「当たり前のひとつ」となってきている今でも、まだ「裁量を持って働くには都会(東京)でないと…」といった感覚は根強く残っています。

片野さん、寺田さんから、日本中の人々をつなぐ「LINE」のGrowth領域を担うLINE Growth Technologyが3つ目の拠点を札幌に選んだ理由や、地方で働く意味・意義などを伺うと、「都会でないとできない」という感覚は単なる思い込みにすぎないことがわかります。

意欲があればどこに住んでいてもエンジニアとしての可能性を広げることができ、生き方の選択肢は大きく増やせるのだと感じられ、晴れ晴れとした気持ちになれました。札幌で働きたいエンジニアの方々、チャンスです!

取材/文:神田 富士晴


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