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「誰もが移動をあきらめない世界」を作る。若手エンジニアが開発にかける想いとは

高齢者でも障がいがあっても「誰もが移動をあきらめない世界」の実現を目指して、全日本空輸株式会社(以下、ANA)と京浜急行電鉄株式会社(以下、京急電鉄)、横須賀市と横浜国立大学が中心となり、産官学が取り組む『Universal MaaS』プロジェクト。

『Universal MaaS』とは、MaaS(Mobility as a Service)の概念に、より多くの人に使いやすくするという「ユニバーサルデザイン」の思想を合わせた造語です。
様々な交通手段による移動を一つのサービスとしてとらえ、利用者が誰でも自由かつスムーズに移動できる社会づくりを目指しています。

このプロジェクトに「社会の問題点を解決する」会社として参加したのが株式会社パソナテック(以下、パソナテック)です。同社は実証実験パートナーとして、アプリケーションやインフラ基盤といったシステム開発領域に携わっています。今回は、そのパソナテックから同プロジェクトに参加した山崎直輝氏と廉民基氏に、エンジニアとして成長を感じられた点などを伺いました。

プロフィール

山崎 直輝(やまざき なおき)
株式会社パソナテック
中部支社 中部エンジニアグループ フロントエンドエンジニア
情報系専門学校を卒業後、2018年4月、仕事を通じて幅広く学ぶことができスキルを身につけられると感じた株式会社パソナテックに入社。フロントエンドエンジニアとして開発を行っている。「Universal MaaS」プロジェクトではWeb Viewを担当。

 

廉 民基(よむ みんぎ)
株式会社パソナテック
中部支社 中部エンジニアグループ Androidエンジニア
大学卒業後、韓国のIT専門学校で技術を身につけ、成長の場を求めて2019年4月に株式会社パソナテックへ入社。入社後はAndroidエンジニアとして主にプログラミングを担い、「Universal MaaS」プロジェクトでもAndroid領域を受け持った。

Universal MaaSプロジェクトで「誰もが移動をあきらめない社会」を実現したい


―― Universal MaaSプロジェクトはどのような経緯でスタートしたのでしょうか?

山崎:Universal MaaSプロジェクトは、ANAのMaaS推進部、大澤信陽氏の問題提起からはじまりました。大澤氏の90代のお祖母さんは長距離の自律歩行が難しく、車いす等を利用されていたそうです。あるとき、周囲のサポートを得て岡山県から上京されてひ孫さんに会い、大変喜ばれたたそうです。Universal MaaSプロジェクトはこのエピソードがきっかけとなって発案されていて、「誰もが移動をあきらめない社会へ」をコンセプトに様々な障がいのある方や高齢者の方が自由かつスムーズに世界中を移動できるシステムの開発を目指しています。

「社会の問題点を解決する」会社としての使命感で参画

―― 御社はどのような流れでUniversal MaaSプロジェクトに参画されたのでしょうか?

山崎:私たちパソナテックには、「社会の問題点を解決する」という企業理念があります。社会や地域の問題を解決するためにいち早く行動して、その成果やテクノロジーを社会のために活用する業務に取り組んでいます。Universal MaaSプロジェクトでも「何か我々にお手伝いできることはないか」という流れで参画し、私もその流れの中でプロジェクトに参加させていただきました。

―― プロジェクトがスタートしたのはいつ頃でしたか?

山崎:弊社としては、2019年の夏頃から検討を開始しました。はじめから2020年2月にプレスリリースを出すスケジュール感で動いていたため、昨年末には大枠の部分は出来上がっていました。今年のはじめは、2月のプレスリリースと製品リリースに向けて日々、アジャイル開発で修正を加えていくことを繰り返しました。

「がんばるほど社会貢献できる」開発の喜びを実感

―― 実際にUniversal MaaSプロジェクトで開発に参加して、どのようなことが印象に残っていますか?

山崎:エンジニアとして、これまで様々な案件に携わってきましたが、実際に空港や駅構内に赴いて実証実験やアプリ動作の検証をした経験があまりなかったこともあり、社内でテストした結果と現地で実際に動作させた結果をすり合わせる作業が新鮮でした。ユーザー側に立ってものづくりをしていく上で良い経験ができて印象に残っています。

―― 移動をサポートするためにはアプリのインターフェースは重要だと思いますが、設計と現実で違いを強く感じたのはどのようなことですか?

廉:経路案内アプリなので当然ですが、移動者やバス、電車の位置を正確に把握する必要があります。はじめは30秒間隔で位置情報を取得していたのですが、実際にテストすると30秒では遅すぎて、移動者、バス、電車の位置を正しく追えないことがわかりました。5秒間隔に縮めるなど、様々な実験を繰り返して少しずつ直していきました。実験に際しては、車いすの方だけでなく、多くの人々が使えるよう意識して作り込みました。

―― そういった時間などは、実際に機材を持って、ストップウォッチ等で測るなどして検証されたのでしょうか?

山崎:はい。30秒あれば結構移動できるというのが現地で試してわかったことでした。秒数をはじめとする、各種の細かい設定は現地でその都度やっていました。

廉:時間は少しずつ縮めていって調整しました。同じ経路を何度も行ったり来たりして…。冬だったので寒かったことをよく覚えています。現地でテストすることで、開発側でも利用者がどんな気持ちでアプリを使うのかなどの理解が進み、良い経験になりました。

―― 開発していて、どんなときに「やりがい」を感じていましたか?

山崎:Universal MaaSプロジェクトのアプリを使用する方は何らかの障がいがあることが多いので、使いやすさには気を配りました。使っていただいて、そういった点を「使いやすい」と評価していただけたり、逆に「こういう機能があるとうれしい」といったリクエストが届いたりするたびに「やってよかったな」と思います。自分がやったことが皆さんのプラスになっていることがわかって、やりがいを感じています。

廉:昨年は入社一年目で、日々勉強しながら進めましたが、Universal MaaSプロジェクトは、がんばるほど人の役に立てるのがすごくうれしいですね。記者会見で自分が開発したAndroidアプリが会場に映し出されたときは喜ばしい気持ちでした。

―― 今回開発されたアプリでこだわった点や「推しポイント」を教えてください。

山崎:Google Mapをはじめ、数多くの経路案内アプリがリリースされています。その多くが位置情報の取得にはGPSを採用していると思います。GPSは屋外で使用するには誤差が少なく採用しやすいと思いますが、今回私たちが作成したアプリは駅構内や地下での利用も想定していますから、GPSの電波が受信できない状況も多いと事前に想定できました。

経験をお持ちの方も多いと思いますが、GPS電波がうまく受信できないと、経路案内アプリで、実際とは何十メートルも離れた場所に「自分」が表示されてしまうこともあります。そこで、屋外ではGPSを従来どおり採用して、屋内や地下といったGPS電波が悪いところではBeaconを各地に設置して、その電波強度によって位置情報を取得するようにしました。条件にもよると思いますが、屋内ではGPSより高い精度で検出できるのが私たちのアプリの推しポイントのひとつになっています。

―― Beaconは独自のものを使用しているのでしょうか?

山崎:はい。Beaconは今回のサービス用にANAさんと一緒に独自に設置しています。現時点(2020年8月)では、羽田空港をはじめ、京急電鉄の必要な駅などで合計20個程度ですが、今後さらに増やしていく予定です。

―― 他にポイントはありますか?

山崎:移動者の方々向けのAndroidアプリと駅係員の方をはじめとする事業者・提供者向けのiOSアプリがあり、移動者だけでなく事業者にも焦点をあてたアプリ構成となっているのもポイントになっています。

廉:AndroidアプリとiOSアプリ、サーバー側とで構成されています。

―― 利用者の中には経路案内アプリの操作に慣れていない方もいると思いますが、工夫した点はありますか?

山崎:インターフェースと使いやすさにはこだわりました。
利用者が理解しやすいよう、専門用語を使わないように工夫しました。また、テストをしていただいて、画面上の見づらい箇所はフォントのサイズを調整し、使いにくいとご指摘いただいたところはすぐ修正するよう努めました。

―― 今回は、Android OS、iOS、GPS、Beacon等の技術を使われていますが、他にはどんな技術を使いましたか?

山崎:地図表示にGISソフトの「ArcGIS」を活用し、駅構内図や細かいエリア図のレイヤーを重ねて、さらに見やすく細かくしています。例えば、トイレの位置や車いすの方用エレベーターやスロープの位置などを見やすく表示するようにしています。

また、バス会社が出しているバスロケーション情報も活用しています。到着時間に遅延しているときなどに不安を感じることがあると思いますが、そういうストレスを利用者に感じさせないよう、リアルタイムで次のバスが今どこを通過しているかなどもアプリの地図上に表示するようにしています。

―― エンジニアとして触っていて興味を持って、学びがいがあると思った技術はありますか?

山崎:さきほど、位置情報の取得についてGPSとBeaconを使い分けていると簡単に言ってしまいましたが、実はその切り分けが難しかったですね。「GPSの精度がどのくらい悪くなったらBeaconに切り替えるのか」、「Beaconはどこで使うのか」といったことを現地で何度もシミュレーションして、通信関係の精度を高めていく作業は、苦労はしましたが楽しかったです(笑)。現地に行かないとわからないことが多いのは発見でした。

廉:私もBeaconの設定には興味を持っていました。例えば、「ふたつあるBeaconの真ん中にいるケースでは、どちらのBeaconの信号を取るか」といったケースです。同時に両方のBeacon信号を取ったり、強さを判断して片方だけを取ったり、正確に使用者の位置を表示することは難しくもありましたが、同時に取り組みがいも感じました。

―― Beaconを使ったプロジェクトはまだ少ないと思いますが、実際に参加していかがでしたか?

山崎:Universal MaaSプロジェクトを通じて、他ではあまり扱われていない最先端のテクノロジーに取り組めたのは、エンジニアとしてはプロジェクトの魅力のひとつだなと思いました。

―― 他の企業や機関、大学とやり取りをして開発で苦労した点はありますか?

山崎:今回は、多くの企業、大学と連携させていただき、累計50人くらいの方々と開発をしました。各々で作成していた機能等を実際にひとつに合わせたときにはトラブルも多かったため、密に連絡を取ることで解決していきました。多くの方々と一緒になってチューニングしていくことで完成度を高めていく作業は、確かに苦労もありましたが、手応えややりがいを感じました。

―― プロジェクトで、どんなことが印象に残っていますか?

山崎:2020年2月の記者発表です。2月に大きな場で発表することは事前からわかっていたので、ある種の責任感といいますか、「ハンパなものを作れない」という気持ちで完成度を高めました。不具合等がないように弊社のみに留まらず、関係各社が協力して、記者発表に向けてチーム一丸となって協力して進めていたのが印象深いです。

廉:多くの企業や大学の方々と話し合うことができたことが印象に残っています。社会人一年目には、なかなか経験できないことだと思います。いい経験と学びになりました。

「誰もが移動をあきらめない社会」を実現するための取り組み

―― Universal MaaSプロジェクトを開発者としてどのように進化させていきたいですか?

山崎:今回のプロジェクトでは、特に移動者が何かしらの障がいがあることを前提としてアプリを作っています。私個人としては、世の中のアプリやサービスが誰でも使えるようにしていけたら素敵だと考えています。用途によってそうではないものがあることは当然のこととして理解できますが、「誰でも使える」が当たり前になっていってほしいと思っています。

――フロントエンドエンジニアだから特にそう感じられるのでしょうか?

山崎:そうだと思います。サーバーサイドやバックエンドと違い、実際に利用者の方が直に見るところを開発していますので、UI/UXで使いやすさは今後も強く意識してきたいですね。

廉:外国人という視点でも、今回のようなアプリがあったら、誰もが気楽に移動できるようになります。どんな人にとっても使いやすく、様々なところで使えるアプリにしていけたらと思っています。

Universal MaaSプロジェクト開発者としての成長と今後の展望

―― Universal MaaSプロジェクトに参加して、ご自身で成長を実感したことはありますか?

山崎:障がい者の観点で開発することを半年くらいやってきたこともあり、最近では店舗や施設に行っても「ここはちょっと車いすの方には使いづらいかな?」と思ったりするなど、社会の見え方が少し変わってきました。自分目線だった視野が広がった感覚で、問題点なども見るようになり、成長できたのかなと思っています。

廉:技術者として、新しいことをやり遂げるだけではなくて、利用者が使いやすいものを作ることも大切だと気付きました。作る側の立場だけではなく、利用者側を常に想定しながら開発するようになったと思います。

―― 株式会社パソナテックは社員をサポートする制度が多く用意されていますが、利用されてよかったと思った制度はありますか?

廉:「フューチャー研修」です。現在は新型コロナウィルス禍で行くことができませんが、それまではAndroidのサーバー技術等々を勉強することができ、今回のプロジェクトでも活用できる技術が身につけられました。それと「トレーナー制度」です。社員ひとりに先輩社員がついて、サポートしてもらえる制度で不安も多い中、心強かったですね。

山崎:制度とはあまり関係がありませんが、私は、パソナテックだと多くの案件に携われそうだと思い、新しい学びを得て自分自身が成長できそうだと思って進路に決めました。今回のようなプロジェクトに参加できてとても良かったと思います。

―― Universal MaaSプロジェクトにおける今後の開発について教えてください。

山崎:2020年度中の社会実装開始を目指しています。これから、ANAさんとも調整してBeaconの設置数を増やしたり、移動者用アプリや事業者用アプリの精度を高めたりして、利用される方々にとってより使いやすいアプリ、システムへとブラッシュアップして着実に社会に実装していき、多くの方々にご利用いただきたいです。

―― お二人のエンジニアとしての今後の目標は何ですか?

山崎:Universal MaaSプロジェクトに参加して、自分が作ったアプリやサービスが人の役に立てるのは素晴らしいことだと思いました。記者発表後は、ついつい家族や友人に話してしまいました(笑)。

「人助け」といったら大げさですが、エンジニアには人の役に立てるサービス等を作れるチャンスは多く、平等にあると思います。自分もこれからさらに役立っていきたいですし、人の役に立ちたいと考えている方は、ぜひエンジニアを目指してほしいと思っています。

廉:自分が作ったもので世の中の生活が豊かになるのがエンジニアとして働く魅力だと感じています。自分が努力するほど人の役に立てるようにしていきたいと考えています。皆で協力して社会を豊かに変えていきたいですね。

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編集後記

ストレートに人の役に立つ仕事がしたいとおっしゃる山崎氏、廉氏がとても輝いて見えました。ご自身のエンジニアとしての興味と社会の課題、仕事のバランスを取り、しっかり学びながら仕事をされているようです。また、若い二人が安心して活躍できるのはパソナテックのエンジニアをサポートする体制がしっかりしていることもあると感じました。大きなプロジェクトでのプレッシャーも「トレーナー制度」など各種制度でうまく消滅させているようです。

「誰もが移動をあきらめない世界」の実現を目指すUniversal MaaSプロジェクトはとても志のある取り組みだと思います。今は元気に働いている世代も、いずれは高齢化しますし、体が不自由になる可能性もゼロではありませんが、こういったプロジェクトが実現する「新しい社会」では皆が安心して暮らしていくことができます。今後の発展を楽しみに、多くの方々に注目していってほしいと思いました。

取材/文:神田 富士晴
撮影:AtoJ


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