あらゆるサービスがクラウド化する時代。私たち一般消費者が利用するサービスはもとより、企業が使う業務用システムも、相次いでクラウド前提の環境へと移行が進んでいます。社会全体においては、今後さらにデジタルネイティブな知見が必要になると言われており、その前提には、インターネットネイティブなサービス設計が不可欠になると言えるでしょう。
今回お話を伺った株式会社トップゲート(以下、トップゲート)ではそんな時代の到来を予見して、リーマンショック直後から開発メニューにGCP(Google Cloud Platform)を導入。Google Cloud プレミア サービス パートナーとして、パブリッククラウドサービス前提の開発体制を構築してきました。
クラウドファーストな受託開発現場では、どんなメンバーがどのようなプロジェクトを進めているのか。Google Cloud専門のクラウドインテグレーターだからこそのアドバンテージややりがい等について、3名の技術者にお話を伺いました。
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プロフィール

取締役技術顧問

システムソリューション事業部 エンジニア

システムソリューション事業部 エンジニア
3年連続で「Google Cloud Japan Partner of the Year」を受賞
――まずはトップゲートの事業内容について教えてください。
加藤:基本的にはお客様のご要望を伺って、システム開発等を通じて解決するのが主たる業務です。その上で弊社の特徴的な点としては、そこで必ずGoogleの技術を組み合わせていることにあります。
具体的には、Google Cloud プレミア サービス パートナーとして事業展開をしています。
――ありがとうございます。加藤さんは取締役技術顧問ということで、どのようなお仕事をされているのでしょうか?
加藤:主にアーキテクトや、新規案件獲得のカスタマーエンジニアとして活動しています。GCPをはじめ、Google技術に関わる困りごとはなんでも対応する、という立場ですね。
――GCPとはどういうものなのでしょうか?
加藤:GCP(Google Cloud Platform)は、Google独自のパブリッククラウドサービスです。
Compute EngineのようなIaaSサービスから、FirebaseやApp EngineのようなPaaS/FaaSサービス、GmailやGoogle DriveのようなSaaSサービスまで、同じインフラ上でアプリケーションやウェブサイトなどのサービスを構築、導入、拡大できる、非常に高いインフラ性能を誇るプラットフォームです。
※Google、Google Cloud、 Android は Google LLC の商標です
――基本的には、このGCPを使っての開発プロジェクトとなるのでしょうか?
加藤:GCPでのシステム開発が得意ですが、それ以外にも、Google Workspace(旧G Suite)やJamboard、Androidなど、何かしらのGoogle技術を活用した、プロダクトの販売や導入支援、技術コンサルティングなどを手がけています。
また、日本で最初のトレーニングパートナーとしても活動をしておりまして、受託開発ではなく自前での開発を希望されるお客様には、トレーニングの提供や設計、コードレビューなどのコンサルティングも提供しています。
2017年、2018年、2019年と、3年連続で「Google Cloud Partner Award」を受賞しています。
Google提供サービスに関する最新情報を、いち早く得ることができる
――貴社は、最初からGoogle Cloud専門のクラウドインテグレーターだったのでしょうか?
加藤:いえ、元々はGoogle技術に限らない形でのシステム開発全般を請け負っていました。それがリーマンショックを機に事業方針を変えまして、2009年にGoogle App Engineでのシステム開発を開始。2013年にはGCPのサービスパートナーを締結し、Googleのクラウド技術を活かした開発体制へと完全にシフトしました。
――なぜ、そのような決断をされたのでしょうか?
加藤:当時から、クラウドによるサーバーレスでのシステム開発が前提になると考えていたからです。今でこそパートナー企業自体は日本だけでもそれなりにいますが、サービスパートナー締結当時は、まだ弊社含めて2社しかいませんでした。Google Cloudの2強なんて言われていましたよ。
――2社はすごいですね。プレミアサービスパートナー企業のメリットとしては、どんなことがあるのでしょうか?
加藤:最大のメリットは、Google提供サービスに関する最新情報をいち早く得ることができる点ですね。Googleのご担当者と週に2回はミーティングをして常に情報をアップデートしているので、Googleサービスおよび技術の恩恵を、最大限享受していただけるような提案が可能です。
――なるほど。Googleのパートナー企業になるためには、どのような条件が必要なのでしょうか?
加藤:色々な条件があるのですが、例えばGoogle Cloud 認定資格の有資格者が一定数所属している必要があります。弊社では、全員が取得することを目指しています。ここにいる赤間と橋本も有資格者ですよ。
GCPのコンソール画面は、いい意味でゆるい
――お二人は現在、どんなお仕事をされているのですか?
加藤:赤間は在庫管理や分析基盤構築プロジェクトの管理を、橋本はDWHの構築を、それぞれ担当しています。
――ありがとうございます。皆さまはどのようなご経歴で、また、何がきっかけでトップゲートに入社されたのですか?
赤間:私はもともと、病院向けパッケージ導入の業務をしていました。いわゆる医療システムエンジニアです。
業務ではないところで、Paizaを使ってPythonで遊んでいたのですが、そこでトップゲートのことを知り、最先端のクラウド技術を扱えることに魅力を感じて2018年に入社しました。
橋本:私は、以前は人材派遣会社でウェブアプリを開発していました。トップゲートは、同じくGCPなどのクラウド技術に興味があって入社しました。
――GCPのどこがいいと思いましたか?
橋本:細かい話ですが、画面のコンソールを見て「あ、いいな」と。
クラウドは他にもAWSとか色々と見ていたのですが、例えばAWSはエンタープライズっぽい雰囲気があるのですが、GCPはいい意味でゆるい。コンシューマー向けの雰囲気があるんですよね。
そこがいいなと思いました。
――ニッチな感想でいいですね(笑)。ちなみに加藤さんは、どのようなご経歴なのですか?
加藤:私は1990年からエンジニアをやっている人間でして、25年間独立系のソフトウェア企業にいました。ネットワークケーブルの作成からデータセンター構築、.NET Framework など、本当に色んなことをしてきましたよ。もちろん、コードも書いていました。
Googleのファンになってもらうつもりで提案している
――Google Cloud プレミア サービス パートナー企業ならではのやりがいや面白さって、どんなところにあるのでしょうか?
赤間:パートナーにしか配布されないパンフレットだったり、パートナー向けのトレーニングなど、技術力向上に向けた様々な支援があるのが良いですね。
中身は、NDAの塊みたいなものなので言えませんが。
加藤:お客様に対して、こんなサービスもできるよって、エンジニア魂をくすぐるような提案ができるのも楽しいと思います。
例えばこの前、お客様にBigQueryでの処理を実際に見てもらったのですが、120億行のフルスキャンを30秒でやってしまう様子に「こりゃすごい」ってなっていました。
いつも、Googleのファンになってもらうつもりで提案しています。
橋本:新機能は必ず連絡がくるのもありがたいですね。
――いいですね。Googleのトレーニングプログラムって、結構なお値段ですよね?
加藤:もちろんお客様には適正価格を提案していますが、従業員であれば無料で受講できます。
――それは羨ましいです。入社前と入社後では、何かギャップはありましたか?
橋本:システムを受託開発しているので、使う技術はある程度決められていると思っていましたが、実際に業務を始めると、そこに対して裁量があるのが、いい意味でのギャップでしたね。
――受託開発だと、色々と要件定義が決まっていて、使う技術も指定されているとかがあるかなと思ったのですが、そんなことはないのですか?
加藤:そこはいい意味で、営業がガッチリと決めるのではなく、余白を作って案件を受けてきてくれます。
退職者と交流できる社内Slackチャンネル
――技術力の観点で、トップゲートがこだわっている部分や強みなどを教えてください。
加藤:レガシーの技術を使わない。自動化にこだわっているといったところですね。
フロントエンドではAngular/TypeScriptで、モバイルアプリケーションはFlutter/Kotlin、サーバーサイドはGAE/GoとFirebase、データベースはCloud SpannerやCloud Datastore、Cloud Firestoreなど。他にも、橋本がやっているDWH構築や機械学習、IoTなど、様々な技術要素での対応が可能です。
――なるほど。
加藤:あとユニークな点として、うちの会社ではトップゲートを辞めた人と交流や情報交換ができるチャンネルがSlackにあります。
何かわからないことがあれば、トップゲートOBメンバーに質問することもできますよ。
――それはすごく面白いし、珍しいお取り組みですね!
加藤:辞めてもトップゲート。仲はいいと思います。
橋本:もちろん退職者だけでなく、社内メンバーにSlackでさくっと聞けるので、業務が非常にスムーズです。
赤間:個人的には、これまでトップゲートが培ってきたアーキテクチャやGCPの組み合わせノウハウなどが強みだなと思います。
社内には相当詳しい人間がゴロゴロいて、事例の共有もやっているので。
――いいですね。社内で勉強会みたいなものはされているのですか?
加藤:金曜日は集まって勉強会をしようという「フロントエンド・フライデー」というのを毎週金曜夜にやっています。
他にもSREを勉強する会や、Googleイベントのパブリックビューイングなど、随時集まっています。現在はオンラインですが。
――イベントのパブリックビューイング、楽しそうですね。先ほどおっしゃっていたGoogle Cloud 認定資格の取得者が多いというのも、強みですよね?
加藤:そうですね。勉強熱心の人が多いので、最近では若い人でも先輩がサポートしながら積極的にとっていますね。
取得者には資格内容に応じて手当を給与に上乗せ支給しているので、それ目当てかもしれませんが(笑)
「全ての日本企業にクラウドのパワーを届ける」ために
――トップゲートならではのやりがいとは、何でしょうか?
赤間:プレミアサービスパートナーとしてGoogleの技術を存分に使えて、しかもそれが好きな人だけが集まっていることが、僕にとっては刺激的でやりがいがあります。
加藤:弊社のビジョンが「全ての日本企業にクラウドのパワーを届ける」でして、国内中のクラウドアレルギーを払拭する必要があると考えています。
だからこそ、先ほどのBigQueryのように、お客様の価値観に風穴が開いたときは純粋に嬉しいですね。
――ビジョンが素晴らしいですね。
橋本:開発環境にレガシーが少なく、割とモダンなのが嬉しいですし、あとほとんどの案件がプライム案件だというのもいいです。何よりもコミュニケーションロスが少なくて済みます。
――二次受け・三次受けだとコミュニケーション起因のトラブルが発生しがちですから、直接というのはとてもいいですね。
加藤:あと、学びやすい環境があって、かつ声を伝えやすい環境ができている点も魅力だなと思います。
――このコロナ禍で、そのあたりの働き方に変化はありましたか?
橋本:元々は出社前提だったのですが、コロナでガラッと変わりましたね。
Slack勤怠チャンネルができて、基本は在宅リモートになりました。僕の場合、出社は毎週水曜日だけです。
赤間:とはいえ、もともとSlackコミュニケーションが前提の会社だったので、リモートワークへの移行自体はすごくスムーズでした。私の場合、前職が社内外問わず「対面で会話をして決める」ことが通例だったのですが、トップゲートでは隣に座っていてもSlackが飛んでくるので、その文化に驚いたことはあります。
加藤:働き方が柔軟になった分、目下の課題は、会社の空気感や文化の維持だなと思っています。
今のところ大きな悪影響はないですが、半年後などに会社としてのアイデンティティがぼやけてしまわないかなどが、少し心配です。
この辺りは、みんなの意見を聞きながら進めていこうと思っています。
――リモートだからこその弊害は、それこそ多くの会社さんが悩んでいますよね。
加藤:コロナで無くなったのですが、もともとは部署を超えてのシャッフルランチをやっていたので、そういうのを上手く活かせないかなと思っています。
エンジニアの幸せを追求するような職場環境を作っていきたい
――皆さまの今後の目標を教えてください。
加藤:ボードメンバーとしては、会社という箱にとらわれることなく、社員にとってどれだけ幸せなのか。エンジニアの幸せを追求するような職場環境を作っていきたいと思っています。
また技術者としては、今後自動化の技術が確実に伸びていくと思うので、そこに着手したいなと思っています。
橋本:個人的にはGo言語に強いエンジニアになりたいと考えています。今のところPythonばかりなので。
あと、今回せっかくのご縁なので、Qiitaにもっと投稿します。まずは1記事100LGTMを目指します。
赤間:私からはシンプルに。
社是が「成長と挑戦」なので、自分自身がそういう人になりたいし、そういう人と今後も一緒に働きたいと思っています。
――ありがとうございます。最後に一言、読者の皆様にメッセージをお願いします。
橋本:Google技術が好きな人お待ちしています!
赤間:多様性があるといいなと思っているので、いろんな人と一緒に仕事をしたいと思います。
加藤:Google技術をがっつりやりたい人、お待ちしています!ほぼ被っちゃいましたね(一同笑)
編集後記
一般的にパートナー企業と聞くと、いわゆる「代理店」というイメージをもたれる方が多いかもしれませんが、今回お話を伺ったトップゲートは、それこそモダンな開発環境を揃えたクラウドファーストなエンジニア集団、という印象でした。
社内にある本棚には、新旧様々な技術本が陳列してあり、モダンな技術はもちろん、実は枯れた技術が好きな方にとってもワクワクする環境だと思います(あくまで筆者の所感です)。
今後は機械学習や深層学習など、自動化に向けた技術実装も進めていくということで、様々な技術を学びたい方にはぴったりな職場だと感じます。
取材/文:長岡 武司
撮影:法本 瞳