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de:code 2018 レポート(後編)「女性のキャリア」「テクノロジーと人体」

de:code2018womanintechnology

セッション「Women in Technology~ 女性のキャリアにおける危機を乗り越えるヒント~」の様子

2018年5月22日、5月23日の2日間に渡って開催されたマイクロソフト主催のイベント「de:code 2018」を取材いたしました。

本記事では「女性のキャリア」、「テクノロジーと人体」をテーマにした2つのセッションについてレポートします。前編はこちらからご覧いただけます。

Women in Technology~ 女性の キャリアにおける危機を乗り越えるヒント~

女性エンジニア、女性エンジニアのキャリア開発に興味のある方を対象にしたセッション「Women in Technology」。

マイクロソフト社の4人の女性幹部社員が登壇しました。

ジュリア・ルイソン氏(Corporate Vice President Developer Division)、ジュリア・ホワイト氏(Corporate Vice President Azure Marketing)、ロレイン・バーディーン氏(General Manager Mixed Reality Studios)を迎え、伊藤かつら氏(執行役員 常務 デジタルトランスフォーメーション事業本部長)をモデレーターに、女性のキャリアについての話がパネルディスカッションで行われました。

約25年マイクロソフトに在籍しているホワイト氏は、マイクロソフトにおけるこれまでのポジティブな変化として、女性の活躍を含めたダイバーシティ&インクルージョン(ひとりひとりの個性やスキルを尊重し、組織活性化につなげること)の取り組みが活発になったこと、アンコンシャス・バイアスへの対応の2点を挙げていました。

アンコンシャス・バイアスとは、「一人ひとりが持っている無意識のバイアス」のことで、マイクロソフトでは、自分がどのようなバイアスを持っていのかを意識するアンコンシャス・バイアスのテストに取り組んでいるそうです。

また、マイクロソフトにおける女性のキャリア推進についてどのような点を意識しているか?
という問いについて、ホワイト氏は、スポンサーシップの重要性を語っています。

アドバイスやコーチをするメンターとは別に、キャリアを構築する上で背中を押してくれたり、ストレッチするような機会を与えてくれる存在としてスポンサーが大切だということでした。


講演内容のスライドと音声はこちら↑

セッションでは会場からの質問も受け付けていました。

「キャリアを築いていく上で責任が重くなるのが怖い」という女性にどのような言葉をかけるか? という問いに対して、ルイソン氏は、女性が上のポジションを目指さないのは、会社の許容度に問題があると指摘しています。

例えばミーティングで大勢の男性がいる中で発言するとなると「女性代表としての意見を言わなくてはならない」というプレッシャーを感じるのではないか、とのこと。

この話を受けてバーディーン氏は、「会社が自分を欲していて、自分が孤立することなく、馴染んでいる」と感じてもらうことが、昇進した女性も働きやすくなるダイバシティー&インクルーシブな環境をつくると語っています。

またバーディーン氏は、マイノリティが3人以上いることで、マイノリティへの理解が周囲に促せる仕組み「Power of Three」をミーティングなどで実験的に取り入れているそうです。

最後にホワイト氏の「テクノロジー分野で働くメリットはいつでもどこでも働けるということです。そのメリットはぜひ活用してください」という言葉で、このセッションは締められました。

de:code2018では、この「Women in Technology」の拡大版として、複数の女性エンジニアがトークセッションしたり、参加者と話すラウンジを会場内に設けており、女性の活躍について真摯に取り組んでいる様子が伺えました。

テクノロジで人は超人になるか ~本来の能力も障碍も越えさせるテクノロジの可能性~

稲見昌彦氏(東京大学先端科学技術研究センター教授)、為末大氏(Deportare Partners代表)をゲストに迎え、大島友子氏(日本マイクロソフト株式会社 プリンシパルアドバイザー)をモデレーターにテクノロジーが人体や身体をどのように変えていくのかをテーマにしたセッション。

まずは稲見氏の「アップデートされる身体」をテーマにした研究が紹介されました。

脚の動きをロボットハンドに反映して指まで動かしながら、ロボットハンドが触った感覚を脚に返すといった取り組みや、「人の脳は身体性に対して、可塑性・適応能力を持っている」という考察からローテーションプラスティ(切断した大腿部と180度反転させた足首部分を接合する手術を受けた人が使用する装置)を例に挙げ、ロボット技術でも同じようなことができないか研究を進めているといった話が語られました。

またテクノロジーだけにとどまらず、世の中に実装していくために、人間拡張技術を使った新しいスポーツとして、ドリフトなどエクストリームスポーツのような動きができるスーパー車イスの試みもムービーで披露されました。

de:code2018人体とテクノロジー

稲見昌彦氏(東京大学先端科学技術研究センター教授)のプレゼンテーション

次に話された為末氏は「スポーツを通じてどうやって人間を理解するか」をテーマに活動を行っているとのこと。

テクノロジーと身体の関わりの例として、オリンピックのこれまでをひもときながら、「競う」オリンピックと「参加する」パラリンピックの違いが、テクノロジーによって差がなくなりつつある現状について指摘していました。

例えば、義足の走り幅跳び選手マルクス・レームは8m40cmの記録を出しており、これはリオオリンピックの優勝記録8m37cmを上回るという事例を挙げています。

パラリンピックで使われているテクノロジーが「助けるテクノロジー」だとすると、稲見氏が試みているスーパー車イスは、スポーツを楽しんでいるうちに身体が鍛えられていく「鍛えるテクノロジー」なのではないか、その2つによって人間の可能性が広がっていくのではないかという話をされていました。

引き続いてのお二人の対談の中で、為末氏は、「健常者スポーツの場合は、走り方などに大体のパターンが見て取れるので説明しやすいが、パラリンピック選手の場合は、膝下の切断と言っても切断位置によって身体性が違ってくるのでパターン化しずらい。一人ひとりにフィードバックしてそれぞれの技術を改善している」と語っています。

それを受けて稲見氏は、「今後は、各選手ごとの切断レベルなどをデータにしたバーチャル選手をコンピュータ内に作って強化学習をさせて、最適なフィードバックを本人に提供するということができるのはないか。

そもそも健常者でも筋肉の付き方や関節の長さなどは個々人で違っており、強化学習でたくさんのトライができるのは、どんな選手にもメリットになるかもしれない」

と答えており、トレーニングの方法もテクノロジーで変わっていく可能性について言及されていました。

最後にマイクロソフトからは、身体や認知に困難のある方を支援する技術開発の取り組みが紹介されました。

de:codeテクノロジで人は超人になるか

大島友子氏(日本マイクロソフト株式会社 プリンシパルアドバイザー)による身体や認知に困難のある方を支援するマイクロソフトの技術の紹介

例えば視覚を助けるSeeing AI。こちらはセッション当日にiOSのアプリ(英語版)が公開され、誰でも試すことができます。

またマイクロソフトでは、AI for accessibilityという取り組みを行うとしており、今後5年間にわたって2500万ドルの投資をするそうです。

日本では「アクセシビリティ・デベロッパー・コミュニティー」(一般社団法人 日本支援技術協会)の活動を支援するとのこと。AIなどの最新技術を活用した製品やサービスを一般のエンジニアと開発してくために、情報提供などを行っていきます。

興味のある方は参加してみてはいかがでしょう。

まとめ

セッションの動画や資料については、de:code (decode) 2018 Onlineのページで公開されています。各セッションに興味がある方はぜひこちらをご覧ください👍

また、テクノロジーに関する情報をお伝えする日本マイクロソフト株式会社の公式Twitterアカウント「Microsoft TechVerified account(@msdevjp)」が発信するハッシュタグ「#decode18」がついているツイートをチェックすると、当日のセッションだけでなく、出展ブースの様子もご覧いただけます。

今回は最近の大きなトレンドや注目の技術を中心に取材を行いました。AI系の事例が多いのは最近の流行が出ている感じがします。

セッション記事では割愛しましたが、企業ブースには多くの企業が参加され盛況でした。

「仮想通貨」、「教育版マインクラフト」、「AI・人工知能」をテーマにした3つのセッションについてのレポート記事「de:code 2018 レポート(前編)」はこちらから。


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